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コラム

【相続登記義務化】祖父・祖母の不動産が未整理の方へ|親が元気なうちに確認・手続してもらうことを弁護士が解説

2026.09.18

祖父・祖母が亡くなってから何年も経つのに、不動産が祖父・祖母名義のままになっている。親に聞いても、誰が相続したのかよく分からない。このような状態を放置すると、親が亡くなった後に、孫世代が祖父・祖母の相続まで整理することになる場合があります。
本記事では、祖父・祖母の不動産問題を孫世代まで持ち越さないために、親が元気なうちに何を確認し、どこまで整理してもらうべきかを解説します。

第1章 祖父・祖母の不動産を今のうちに確認しておくべき理由

1-1 相続登記は2024年4月1日から義務化されている

相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

過去の相続も原則として2027年3月31日までに対応が必要

重要なのは、2024年4月1日より前に発生した相続も対象になることです。
たとえば、祖父が20年前に亡くなり、親世代が当時から祖父の不動産を相続したことを把握していながら相続登記をしていない場合、原則として2027年3月31日までに申請する必要があります。

1-2 整理しないまま親が亡くなると、孫世代の手続が複雑になる

祖父・祖母の相続が未処理のまま親が亡くなると、親が祖父・祖母の相続について持っていた権利を、親の相続人である配偶者や子が引き継ぐことになります。

問題1.祖父・祖母と親の2世代の相続手続に関わることになる

たとえば、祖父の相続人が父・叔父・叔母の3人で、祖父の不動産について誰が取得するか決めないまま父が亡くなったとします。この場合、父が祖父の不動産について持っていた権利は、父の相続人である母や子に引き継がれます。
その結果、母や子は父自身の相続手続だけでなく、父が終わらせていなかった祖父の相続についても、叔父や叔母とともに手続を進めなければなりません。

問題2.時間がたつほど、関係する相続人が増えていく

さらに、叔父や叔母も亡くなると、叔父や叔母が持っていた祖父の相続に関する権利も、それぞれの配偶者や子などに引き継がれます。
つまり、時間がたつほど手続に関係する相続人が増え、誰が相続人なのかを把握する作業や、一人ひとりの意思確認など、遺産分割の話し合いが複雑になりやすいのです。

そのため、祖父・祖母名義の不動産が残っていることが分かっているのであれば、親が元気なうちに、誰が相続人なのか、遺産分割が済んでいるのか、相続登記がどこまで進んでいるのかを確認しておくことが大切です。

第2章 親に確認してもらうこと① 祖父・祖母の不動産が現在誰の名義になっているか

まず確認したいのは、当該不動産の登記名義です。登記が祖父・祖母の名義のままなのか、すでに親名義になっているのか、あるいは曾祖父・曾祖母など祖父母よりさらに前の世代の名義で止まっているのかによって、必要な手続は変わります。

2-1 登記事項証明書で現在の登記名義を確認する

不動産の登記名義は、法務局で登記事項証明書を取得することで確認できます。
登記事項証明書を取得する際には、土地の場合は「地番」、建物やマンションの場合は「家屋番号」が必要です。いずれも不動産を登記上特定するための番号で、固定資産税の課税明細書などに記載されていますが、分からない場合には、不動産を管轄する法務局に問い合わせれば確認できます。

登記事項証明書はオンラインで交付請求することもできます。請求した証明書は郵送で受け取ることもできるため、不動産が遠方にある場合でも、現地の法務局に出向かずに取得できます。

参考

法務局 登記事項証明書のオンライン交付請求

親が固定資産税を払っていても、親名義とは限らない

祖父が亡くなった後、固定資産税の納付は父名義で行っているような場合でも、相続登記をしていなければ登記名義は祖父のままになっているはずです。
固定資産税を払っている人=登記名義人とは限らないということを踏まえて、登記名義人は必ず登記事項証明書で確認するようにしてください。

2-2 登記名義が誰になっているかによって、確認する相続が変わる

不動産の登記名義が祖父・祖母名義であれば、手続は祖父・祖母の相続から確認していきます。
一方、登記が曾祖父・曾祖母などさらに前の世代の名義で止まっている場合には、その世代の相続までさかのぼって確認する必要があります。

第3章 親に確認してもらうこと② 祖父・祖母の相続人から現在の相続人まで把握する

登記名義人がどの世代で止まっているか分かったら、その名義人が亡くなったときの相続人を確認します。

3-1 祖父・祖母が亡くなった時点の相続人を確認する

祖父・祖母名義の不動産であれば、祖父・祖母が亡くなった時点で誰が相続人だったのかを戸籍をもとに確認します。
祖父・祖母が亡くなってから長期間が経っている場合には、祖父・祖母の相続人だった叔父や叔母などが、すでに亡くなっていることもあります。その場合、1-2で確認したように、その人が祖父・祖母の遺産について持っていた権利は、その人の相続人に引き継がれます。

祖父・祖母より先に亡くなった子についても確認が必要

祖父・祖母が亡くなる前に子が亡くなっていた場合、その人に子がいれば、その子(祖父母から見て孫)が代わって相続人になります。もしそういった子がいる場合は、祖父母から見た孫までを含めての戸籍の確認が必要となります。

3-2 祖父・祖母より前の世代の名義で止まっている場合は、さらにさかのぼって相続人を確認する

登記が曾祖父・曾祖母など、さらに前の世代の名義で止まっている場合は、登記名義人である曾祖父・曾祖母が亡くなった時点の相続人を確認し、その後に亡くなった相続人がいれば、現在まで順番に相続関係をたどらなければならず、相続人の把握はさらに複雑になります。

曾祖父母など古い世代から相続人を確認する場合の具体的な進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。

相続人が多い場合の相続手続き

相続人が多すぎて相続手続きが進まない場合|放置されていた不動産の相続登記の進め方と弁護士への相談のポイント

このように、不動産が長期間そのままになっている場合には、複数世代の相続関係を確認しなければならず、現在の相続人を確定するまでに時間を要することがあります。
相続登記を進める際には、まずこの相続人調査に一定の時間がかかる可能性があることを想定しておく必要があります。

第4章 親に確認してもらうこと③ 祖父・祖母の相続で何が決まっているか

不動産が祖父・祖母名義のままであっても、すでに誰が不動産を取得するか決まっていて、相続登記だけが終わっていない場合もあれば、遺産分割そのものをしていない場合もあります。
この違いによって、親に進めてもらう手続が変わります。

4-1 遺言書や遺産分割協議書が残っているか

祖父・祖母の遺言書や、祖父・祖母が亡くなった際に作成した遺産分割協議書が残っていないか確認します。
遺言書や遺産分割協議書があれば、すでに不動産を取得する人が決まっているのか、それとも改めて遺産分割が必要なのかを判断する手掛かりになります。

4-2 誰が取得するか決まっている場合は、その内容に沿って相続登記を進める

遺言書や遺産分割協議によって、すでに不動産を取得する人が決まっている場合は、その内容に沿って相続登記を進めます。
不動産を取得する人が自分の親であれば、親名義への相続登記を進めます。一方、叔父や叔母など親以外の人が取得する内容になっている場合、不動産を取得することになっている親族名義での登記を進めてもらうこととなります。

遺産分割協議書がそのまま使えるか確認する

ただし、遺産分割協議書が残っていても、相続人全員が協議に参加していなかったり、どの不動産を誰が取得するのかが明確に記載されていなかったりする場合には、その協議書をもとに相続登記を進められるか確認が必要です。
遺産分割協議そのものが有効に成立しているか判断に迷う場合には、弁護士や司法書士などの専門家に確認した方がよいでしょう。

4-3 誰も取得したくない土地は、処分方法を検討する

不動産が山林や利用していない土地などで、親を含めて相続人の誰も取得したくない場合でも、そのまま放置し続けてよいわけではありません。親の代で整理しないまま相続が続けば、将来的には自分もその土地の処理に関わる相続人となり、処分や対応を求められる可能性があります。

売却・譲渡・相続土地国庫帰属制度などを検討する

まず親に、現在の相続人と話し合って土地をどう処理するか決めてもらいます。売却や第三者への譲渡をする場合も、遺産分割と相続登記を行ったうえで処分するのが基本です。
買い手が見つからず、今後も利用する予定がない土地については、一定の要件を満たせば、相続土地国庫帰属制度によって国へ引き渡す方法もあります。
相続土地国庫帰属制度には利用できる土地の条件や費用などがあるため、詳しくは以下の記事をご確認ください。

※相続土地国庫帰属制度

「相続土地国庫帰属制度」について詳しくはこちら。

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相続土地国庫帰属制度で「不要な山林・農地」を手放すには?~弁護士が解説する要件・手続きの流れと注意点~

その不動産だけ相続放棄することはできない

「自分の代になったら相続放棄すればよい」と考えるかもしれませんが、相続放棄は特定の財産だけを放棄することはできません。相続放棄をすると、不要な不動産だけでなく、預貯金などほかの相続財産も取得できなくなります。
そのため、親が元気なうちに、売却・譲渡・相続土地国庫帰属制度などを含めて、不動産をどう処理するのか検討しておくことが大切です。

第5章 自分が祖父・祖母の不動産を引き継ぎたい場合はどうする?

祖父・祖母名義の不動産を将来自分が取得したいと考えている場合には、まず祖父・祖母から親への相続関係を整理し、その後、親から自分へ不動産を引き継ぐ方法を考える必要があります。

5-1 まず親が不動産を取得できるよう、現在の相続人との遺産分割を進める

将来自分が祖父・祖母の不動産を引き継ぎたいのであれば、基本的には、まず親がその不動産を取得できるように、祖父・祖母の相続を整理する必要があります。
まだ遺産分割が済んでいない場合、たとえば、祖父の相続人が父・叔父・叔母の3人であれば、「不動産は父が取得する」という内容について、叔父・叔母を含む現在の相続人全員の合意を得ます。

孫世代が連絡役となり、電話と郵送で進めることもできる

孫である自分が相続人ではない場合、遺産分割の内容を決めることはできませんが、親を手伝って相続人への連絡や書類の準備を進めることはできます。

たとえば、次のような流れです。

①現在の相続人と連絡先を確認する
②親が不動産を取得したいことを相続人に電話で説明し、意向を確認する
③全員の合意が得られたら、遺産分割協議書を作成して各相続人へ郵送する
④実印を押した協議書と印鑑証明書を返送してもらい、相続登記を進める

このように、相続人が遠方に住んでいても、電話などで話し合ったうえで書類を郵送することで手続を進めることができます。

5-2 親から自分へ不動産を引き継ぐ方法も決めておく

祖父・祖母名義から親名義へ変更しただけでは、将来その不動産を自分が取得できることまで決まったわけではありません。
たとえば、親に子が複数いる場合、親が亡くなると、その子たち(あなたの兄弟姉妹)が相続人になります。何も準備していなければ、その時点で改めて遺産分割を行うことになり、自分が希望していても必ずその不動産を取得できるとは限りません。

将来、自分がその不動産を引き継ぎたいのであれば、親名義に変更した後のことまで考えておく必要があります。
代表的な方法としては、親に遺言書を作成してもらい、その不動産を自分に相続させる方法があります。また、親が元気なうちに、生前贈与によって自分へ不動産を移しておくことも選択肢の一つです。

どちらを選ぶべきかは、不動産だけを見て決められるものではありません。親のほかの財産や相続人の構成、遺留分を有する他の相続人への影響に加え、相続と贈与では税負担や登記にかかる費用も異なります。判断に迷う場合には、遺言や遺留分について弁護士に、税負担について税理士に相談しながら整理する方法もあります。

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第6章 どこまで自力で進められる?判断に迷いやすいポイント

祖父・祖母の不動産について、登記名義や相続人が分かり、過去の遺産分割協議書も残っているのであれば、比較的手続きは進めやすいといえます。
一方、次のような場合は、家族だけで判断すると手続をやり直すことになったり、相続人同士の話し合いが難しくなったりすることがあります。

  • 登記名義が曾祖父・曾祖母など、さらに前の世代で止まっている
  • 昔の遺産分割協議書が残っているものの、そのまま使えるか分からない
  • 不動産を親が取得したいが、他の相続人との調整が難航している
  • 不要な不動産を売却すべきか、国庫帰属を検討すべきか判断できない

特に、祖父・祖母が亡くなってから長期間が経っている不動産では、相続登記だけで終わるのか、その前に相続人調査や遺産分割が必要なのかを早めに知ることが重要です。

私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループでは、弁護士・司法書士・税理士などが連携し、相続人の確認から遺産分割協議の調整、相続登記、不要な不動産の処分まで、現在どこで手続が止まっているのかを整理したうえで対応できます。祖父・祖母名義の不動産について判断に迷う場合には、お気軽にご相談ください。

相続のご相談・費用について

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Nexill&Partnersの解決事例

・複雑な不動産関係を整理し、相続手続と土地処分の方針を明確化した事例

・親族間の対立で長年進まなかった不動産相続について、弁護士が介入し遺産分割協議を成立させた事例

 

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監修者:後藤 祐太郎
弁護士後藤 祐太郎

弁護士法人Nexill&Partners

弁護士後藤 祐太郎

  • 2010年
    日本大学法学部 卒業
  • 2012年
    慶應義塾大学大学院法務研究科 修了
  • 2014年
    竹口・堀法律事務所 入所
  • 2016年
    現:弁護士法人Nexill&Partners 入所 那珂川オフィス支店長 就任

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