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終活はエンディングノートだけで足りる?エンディングノートの効力と遺言書を併用すべきケースを弁護士が解説

2026.07.01

終活を始めるにあたり、エンディングノートの作成を検討している方もいらっしゃるでしょう。エンディングノートは、家族にご自身の情報や希望を伝える大切な手がかりとなりますが、財産の分け方など、相続に具体的な希望がある場合はエンディングノートだけでは不十分な場合もあります。本記事では、エンディングノートの効力を整理したうえで、遺言書を併用すべきケースを弁護士が解説します。

第1章 終活はエンディングノートだけで足りるのか

1-1 家族への情報共有にエンディングノートは有用

終活を始めるときに、まずエンディングノートを書こうと考える方は多いと思います。
エンディングノートは、自分に万が一のことがあったときに、家族が必要な情報を確認しやすくするためのものです。
たとえば、相続発生後に家族が困りやすいのは、「どの銀行に口座があるのか」「生命保険に加入していたのか」「不動産の資料がどこにあるのか」が分からないといったケースです。このような情報を残す場合にもエンディングノートは非常に有用です。

1-2 財産の分け方を決めたい場合はエンディングノートだけでは不十分

一方で、エンディングノートだけで終活がすべて完了するわけではありません。特に注意が必要なのは、財産の分け方です。
たとえば、エンディングノートに「自宅は長男に相続してほしい」「預貯金は長女に多めに残したい」と書いても、それだけで当然にその内容どおりの相続になるわけではありません。相続人全員が納得すれば、その希望に沿って遺産分割を進めることはできますが、相続人のうち一人でも反対すれば、希望通りの相続は叶わなくなる可能性が高くなります。

そのため、自分の希望通りに財産を相続させたい場合は、エンディングノートだけではなく、法律上の要件を満たした「遺言書」を作成することをおすすめします。

第2章 エンディングノートとあわせて、遺言書の作成が望まれるケース

2-1 自宅や預貯金を特定の相続人に残したい場合

特定の相続人に特定の財産を残したい場合は、遺言書の作成を検討する必要性が高いといえます。
たとえば、自宅は同居している長男に相続させたい、預貯金の一部を長女に多く残したい、賃貸不動産は管理をしている子に承継させたい、といった場合です。

特に不動産は、現金のように簡単に分けることができません。誰が取得するのか、その代わりに他の相続人に金銭を支払うのか、売却して分けるのかなどで意見が分かれやすい財産です。そのため、希望する承継先が明確にある場合は、法的な効力のある遺言書で整理しておくことが重要です。

2-2 法定相続分と異なる分け方を希望する場合

相続では、法律上、相続人ごとの相続割合が定められています。これを法定相続分といいます。たとえば、配偶者と子が相続人になる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子の法定相続分は子全員で2分の1です。

前述した「特定の財産を特定の相続人に」という場合だけでなく、この法定相続分とは異なる分け方を希望する場合も、遺言書の作成を検討すべきケースです。
配偶者に全ての財産を相続させたいというようなときや、兄弟で相続の割合を変えたい(長男:次男で7:3にしたい)などは、エンディングノートに書くだけではなく、別途遺言書で定めておきましょう。(なお、一定の相続人が多めに財産をもらうとなったときには別途遺留分の問題も考慮する必要がありますので、そこは遺言書作成の際に専門家に相談の上で実際に相続させる割合を決めることが望ましいです。)

2-3 相続人以外の人や団体に財産を渡したい場合

相続人以外の人に財産を渡したい場合も、エンディングノートだけでは不十分です。
法律上、遺言書がない場合に遺産を取得するのは、原則として法定相続人です。
内縁のパートナー、世話になった友人などは法定相続人ではないため、エンディングノートにその人たちに財産を渡してほしいと書いても、実際の相続の際にそれが実現されるかどうかは相続人の任意によります。
このような人たちに財産を渡したい場合は、遺言書を作成することで、遺贈として財産を渡すことができるようになります。

2-4 相続手続を任せる人をあらかじめ決めておきたい場合

相続が発生すると、預貯金の解約、不動産の名義変更、財産の引渡しなど、さまざまな手続が必要になります。相続人が多い場合や、財産の種類が多い場合には、誰が中心となって手続を進めるのかが決まらず、対応に時間がかかることもあります。
このような場合は、作成する遺言書の中で、財産の分け方に加えて遺言の内容を実現するために必要な手続を行う遺言執行者を指定しておく方法があります。

エンディングノートに「この人に相続の手続をお願いしたい」と書いておくことも、家族に希望を伝える意味では有用です。しかし、それだけで遺言執行者としての権限が当然に発生するわけではありません。
相続開始後の手続を進めやすくしたい場合は、エンディングノートで希望を伝えるだけでなく、遺言書で遺言執行者を指定しておくことを検討するとよいでしょう。

第3章 エンディングノートと遺言書の使い分け

3-1 エンディングノートには家族が確認すべき情報や気持ちを残す

エンディングノートには、家族が確認すべき情報や本人の気持ちを残すのが適しています。
たとえば、財産や借入金の概要、通帳や保険証券の保管場所、利用している金融機関、医療・介護・葬儀の希望、親族や友人の連絡先、家族へのメッセージなどです。
これらは、遺言書に細かく書くよりも、エンディングノートにまとめた方が実用的なことがあります。特に、どんな財産があるのか、その保管場所はどこか、確認するにはどうすればいいか、といった情報はエンディングノートに向いています。

3-2 遺言書には財産の承継など法的効力を持たせたい内容を書く

財産の分け方など、法律上の効力を持たせたい場合は、遺言書を作成しましょう。
たとえば、誰にどの財産を相続させるか、相続人以外の人に財産を遺贈するか、不動産を誰に取得させるか、遺言執行者を誰にするか、といった内容です。
エンディングノートに希望として書くこともできますが、法律上の効果を持たせたい場合は、遺言書として作成することで、その希望を実現しやすくなるためです。

ただし遺言書は、自筆証書遺言や公正証書遺言など、法律で定められた方式に従って作成する必要があります。内容だけでなく形式にも注意が必要なため、不安な場合は弁護士などの専門家に相談してみましょう。

第4章 【FAQ】エンディングノートと遺言書に関するよくある質問

Q1. エンディングノートと遺言書の内容が違う場合、どちらが優先されますか?

A1. 法的効力は原則として遺言書が優先されます。

エンディングノートと遺言書に異なる内容が書かれていた場合、財産の分け方など法律上の効力が問題になる場面では、原則として遺言書の内容が優先されます。たとえば、遺言書には「自宅は長男に相続させる」と書かれている一方で、エンディングノートには「自宅は長女に住んでほしい」と書かれている場合、通常は、相続手続では遺言書の内容を前提に進めることになります。

Q2. 遺言書を作った後でもエンディングノートは必要ですか?

A2. 遺言書を作った後も、エンディングノートは役立ちます。

遺言書は、財産の分け方など法律上の効力を持たせたい内容を書くための書面です。一方、エンディングノートは、家族が確認すべき情報や本人の気持ちを残すためのものであり、目的が異なります。特に、遺言書を作成している場合には、エンディングノートに遺言書の有無や保管場所、相談した専門家の連絡先を書いておくことで、家族が遺言書にたどり着きやすくなるといえます。

Q3. 財産があまりない場合も、エンディングノートと遺言書の両方を作成した方がいいですか?

A3. 財産額だけでなく、家族関係や財産の内容で判断します。

遺言書が必要かどうかは、財産の金額の多さだけで決まるわけではありません。
たとえば、主な財産が自宅だけというケースでは、財産額が極端に大きくなくても、誰が自宅を取得するのかで話し合いが難しくなることがあります。財産が預貯金中心であっても、相続人同士の関係が疎遠なような場合は相続手続が難航する可能性もありますので、ご自身の希望通りに財産を分けてほしいという意向がある場合は、エンディングノートとは別に遺言書を残しておいた方がトラブルを避けやすくなります。

Q4. 配偶者も子も親もいませんが、エンディングノートや遺言書は必要ですか?

A4. むしろ遺言書の必要性が高い場合があります。

配偶者、子、親がいない場合では、ご自身の兄弟姉妹や甥・姪が相続人になることがあります。とすると、普段あまり交流のない親族が相続人になるケースにおいては、相続発生後に手続が進みにくくなることがあります。また、前述の通り、親族ではない内縁のパートナーや友人、お世話になった人・団体などに財産を残したい場合は、遺言書で遺贈を定めるなどの備えがなければ希望通りに財産を承継するのは難しいといえます。
単身の方こそ、実際に相続が発生した時に誰にどう手続をしてもらうかという点がネックになりやすくなりますので、エンディングノートや遺言書の準備をご検討いただくとよいでしょう。

Q5. 遺言書の作成を専門家に相談したらいくらかかりますか?

A5. 費用は遺言書の依頼内容によって異なります。

弁護士に遺言書作成を依頼する場合の費用は、事務所や依頼内容によって異なりますが、一つの目安としては10万円~20万円前後です。
相続はそれぞれ個別事情が異なるため、遺言書の内容によって金額が前後する可能性がありますので、まずは無料相談などで依頼内容と状況を伝え、対応範囲と費用を比較して検討するとよいでしょう。

Nexill&Partnersの遺言書作成の費用はこちらから確認できます。

遺言書作成促進プラン

エンディングノートとあわせて、終活を総合的に検討しましょう

エンディングノートは、終活を始めるうえで取り組みやすく、ご自身の情報や希望を整理する大切なきっかけになります。もっとも、終活で考えるべきことは多岐にわたります。エンディングノートを書きながら、遺言書や任意後見、家族信託など、必要となる具体的な備えがないかもあわせて確認しましょう。
終活全体を整理したい場合は、弁護士・税理士・司法書士が連携する私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループへお気軽にご相談ください。

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監修者:後藤 祐太郎
弁護士後藤 祐太郎

弁護士法人Nexill&Partners

弁護士後藤 祐太郎

  • 2010年
    日本大学法学部 卒業
  • 2012年
    慶應義塾大学大学院法務研究科 修了
  • 2014年
    竹口・堀法律事務所 入所
  • 2016年
    現:弁護士法人Nexill&Partners 入所 那珂川オフィス支店長 就任

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