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夫が亡くなった後に必要な手続きと専門家への相談のポイント【チェックリスト付き】|相続時に確認すべき行政手続き・お金・相続の流れを弁護士が解説

2026.06.26

大切な人を亡くされ精神的にもお辛い中、一気に発生する届出や手続などをどう進めてよいのかわからず、ご不安を感じておられませんか。
一度にすべてを進めようとされなくても大丈夫ですので、まずは明確に期限があるものから対応を始め、そのうえで残りの手続についても順番に整理の上で対応ができれば問題ありません。
以下、相続が発生した際に必要となる主な届出・手続等をチェックリストとしてあげていますので、ご自身の現状の整理にお役立てください。

第1章 夫が死亡した後の必要手続きの前提

1-1 期限が短くリスクが高い手続きを把握しておく

最初は、期限が短い手続きから確認しましょう。

期限が決められている手続きの中でも特に注意したいのが、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記です。

相続放棄は、原則として、相続が開始したことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で行う必要があります。この期限を過ぎると、相続放棄は原則できませんので、夫に借金や保証債務があった場合でも、それらを含めて相続することとなってしまいます。

準確定申告や相続税申告が必要な場合も注意が必要です。期限までに申告・納付を行わないと、延滞税や加算税などが発生する可能性があります。
また、不動産を相続した場合の相続登記も期限があります。正当な理由なく期限内に申請しなかった場合、過料の対象となる可能性があるため、こちらも注意しておきましょう。

手続き 主な期限 期限を過ぎた場合のリスク
相続放棄 相続が開始したことを知った時から3か月以内 借金や保証債務があった場合でも、それらも含めて相続することとなります。
準確定申告 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 申告や納税が遅れると、延滞税や加算税などが発生する可能性があります。
相続税申告 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内 申告や納税が遅れると、延滞税や加算税などが発生する可能性があります。
相続登記 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内 正当な理由なく申請しない場合、過料の対象となる可能性があります。
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1-2 残された家族の生活費の確保と相続放棄の可能性を早めに確認する

残された家族が不安になりやすいのは、当面の生活費です。
夫名義の銀行口座は、金融機関が死亡の事実を把握すると口座が凍結され、預金を自由に引き出せなくなるため、葬儀費用や生活費をどこから支払うのかを早めに整理しておく必要があります。

一方で、夫に借金や保証債務がある可能性がある場合には、夫名義の財産を使うべきか慎重に考える必要があります。相続放棄を検討する可能性がある場合、夫名義の財産を不用意に処分したり、消費したりすると、相続を単純承認したものと扱われ、相続放棄が認められなくなる可能性があるためです。

第2章 【チェックリスト】夫が死亡した後に必要な手続き

2-1 死亡直後から14日以内に必要な手続き

亡くなった直後は、役所や公的機関で行う手続きが中心になります。葬儀の準備と並行して進めることになるため、必要書類や提出先を早めに確認しておきましょう。
確認すべき主な手続きは、次のとおりです。

7日以内を目安に行う主な手続き
□ 死亡診断書または死体検案書の受け取り
□ 死亡届の提出
□ 火葬許可証の取得
□ 葬儀会社と葬儀内容・費用の確認
□ 死亡診断書や死亡届関係のコピーの保管

死亡届を提出すると、火葬許可証の交付を受ける流れになります。
葬儀会社が死亡届の提出を代行してくれることもありますが、提出後に死亡診断書の原本が手元に戻らない場合もあるため、提出前にコピーを取っておきましょう。生命保険、勤務先、金融機関、年金手続きなどで死亡の事実を示す資料として必要になることがあります。

14日以内を目安に確認する主な手続き
□ 世帯主変更届が必要か
□ 国民健康保険や後期高齢者医療制度の資格喪失手続き
□ 介護保険証の返却手続き
□ 印鑑登録証やマイナンバーカードの取扱いの確認
□ 高額療養費や未払い医療費の有無
□ 妻が夫の扶養に入っていた場合、自分の健康保険への切り替え

世帯主変更届は、夫が世帯主だった場合でも必ず必要になるとは限りませんが、念のため役所で確認しておきましょう。
健康保険や介護保険の手続きは、夫が加入していた制度によって必要な対応が変わります。国民健康保険、後期高齢者医療制度、勤務先の健康保険などで窓口が異なるため、保険証や資格確認書、年金関係資料などを手元に置いて確認すると進めやすくなります。

2-2 残された家族の生活費に関わるお金の手続き

残された家族の当面の生活費についても考えておきましょう。
夫名義の口座が凍結されることを考慮し、年金、保険、勤務先から受け取れるお金を早めに確認しておくことが大切です。

年金事務所で確認すべき事項の例
□ 遺族年金を請求できるか
□ 未支給年金を請求できるか

遺族年金や未支給年金は、夫が加入していた年金制度や家族構成によって、受け取れるかどうかが変わります。会社員・公務員だった場合と、自営業だった場合でも要件が異なるため、年金事務所で確認しましょう。

健康保険の窓口で確認すべき事項の例
□ 葬祭費や埋葬料を請求できるかの確認

葬祭費や埋葬料は、加入していた健康保険の種類によって請求先が変わります。国民健康保険であれば市区町村、勤務先の健康保険であれば健康保険組合や協会けんぽなどに確認します。

夫の勤務先で確認すべき事項の例
□ 未払い給与や賞与の有無
□ 死亡退職金や弔慰金の有無
□ 会社の団体保険や福利厚生制度の確認

会社員や公務員だった場合は、勤務先から未払い給与、賞与、死亡退職金、弔慰金、団体保険などを受け取れる場合があります。
また、勤務先から案内された書類や支給予定額は、相続税や遺産分割との関係で必要になることもあるため、保管しておきましょう。

保険会社・金融機関で確認すべき事項の例
□ 生命保険や医療保険の契約内容
□ 住宅ローンの団体信用生命保険について

生命保険や医療保険は、保険証券や通帳の引き落とし履歴、夫宛ての郵便物などから契約先を確認します。住宅ローンが残っている場合は、団体信用生命保険によってローン残高が完済される可能性があるため、金融機関に確認しましょう。

2-3 支払い停止や不要な引き落としを防ぐための契約関係の手続き

夫名義で契約していた公共料金やインターネット、サブスクリプションなどについても名義変更や解約の手続が必要となります。
以下のような項目について確認をし、必要な手続きを行いましょう。

□ 夫名義の銀行口座からの引き落とし状況
□ 公共料金の契約名義の変更
□ 家賃や住宅ローンの支払い状況の確認
□ 夫名義の携帯電話回線の解約
□ 夫名義のクレジットカードの解約
□ サブスクリプション契約の確認 など

2-4 相続手続きに入る前に確認すること

夫名義の預金を解約したり、不動産の名義変更をしたりするには、相続人全員と相続財産を確認する必要があります。
相続人や財産の内容が不明確なまま手続きを進めてしまうと、後から別の相続人が判明したり、別の財産や思わぬ借金が見つかったりして、申告や手続きをやり直す必要が生じる場合もあります。
主に次のような項目について確認が必要です。

遺言書・相続人・相続財産で確認すべき事項の例
□ 遺言書があるか
□ 夫の出生から死亡までの戸籍
□ 前妻との子、認知した子、養子がいないか
□ 預貯金、不動産、株式、投資信託などの確認
□ 生命保険、死亡退職金、自動車、貴金属などの確認 など

自宅で自筆証書の遺言書を見つけた場合は、原則として家庭裁判所での検認が必要になります。自分で開封したり処分したりせず、まずは家庭裁判所や専門家に確認しましょう。

借金や保証債務で確認すべき事項の例
□ 借入金がないか
□ クレジットカード債務がないか
□ 税金や社会保険料の滞納がないか
□ 連帯保証や事業用借入がないか

夫の財産を相続する場合、預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金や保証債務といったマイナスの財産も引き継ぐことになります。財産よりも負債が多い可能性がある場合には相続放棄の検討が必要になるため、負債についても十分な確認が必要といえます。

第3章 夫の死亡後の手続きで専門家に相談すべき場面

3-1 自分で進めやすい手続きと、専門家に相談すべき手続きは分けて考える

手続きのすべてを専門家に依頼しなければならないわけではありません。
死亡届の提出や、健康保険証や介護保険証の返却、公共料金の名義変更などは、役所や勤務先、各契約先に確認しながらご家族で進められます。

一方で、相続人同士で遺産分割協議が進まない、相続税が不安、不動産の取り扱いに迷いがある、といった法的・税務的な判断が必要な場面では、専門家が入ることで問題が解決することが少なくありません。
自身で進められる事務手続きと、専門家に判断を相談しながら進めた方がよい手続きを分けて考えることが大切です。

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3-2 相続人の関係・税金・不動産が関係する場合は専門家に相談を

専門家に相談した方がよいのは、判断を間違えると不利益が大きくなる場合です。
特に、相続人の関係が複雑な場合、借金や保証債務がある場合、相続税や準確定申告が必要になりそうな場合、不動産の名義変更が必要な場合は、早めに専門家へ相談することを検討しましょう。

相続では、弁護士、税理士、司法書士がそれぞれ異なる役割を担います。
どの専門家に相談すべきか迷う場合は、まず自分の悩みが「相続人・話し合い・借金の問題」なのか、「税金の問題」なのか、「不動産の名義変更の問題」なのかで整理すると分かりやすくなります。

相続人・話し合い・借金の問題は弁護士
相談した方がよい場面 主な対応内容
相続人関係が複雑な場合、相続人同士で意見が合わない場合、借金や保証債務がある場合 相続人の整理、遺産分割協議、遺言書や遺留分の問題、相続放棄、相続人間の交渉、調停・裁判対応
税金の問題は税理士
相談した方がよい場面 主な対応内容
相続税がかかるか分からない場合、夫が自営業・個人事業主だった場合、財産が多い場合 準確定申告、相続税申告、財産評価、生命保険金や死亡退職金の税務確認、税務上の特例の検討
不動産の名義変更の問題は司法書士
相談した方がよい場面 主な対応内容
夫名義の自宅や土地がある場合、不動産の名義変更が必要な場合 相続登記、登記に必要な戸籍収集、不動産登記申請、登記関係書類の作成

3-3 どの専門家に相談すべきか迷う場合は、相続全体を整理できる窓口へ

ただし、実際の相続は、相続人の確認、財産の把握、遺産分割の話し合い、相続税の申告・納付、相続した不動産の登記、とつながっているため、相談先を一つに絞ることが難しい場合が少なくありません。

どの専門家に相談すべきか分からない場合は、弁護士・税理士・司法書士が連携する私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループへご相談ください。早い段階から、相続人や財産、税金、不動産を整理しながら確認できるため、その後の手続きも進めやすくなります。

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監修者:池本 稔洋
弁護士池本 稔洋

弁護士法人Nexill&Partners

弁護士池本 稔洋

  • 2017年3月
    兵庫県立星陵高等学校 卒業
  • 2021年3月
    神戸大学法学部 法律学科 卒業
  • 2023年3月
    神戸大学法科大学院 修了
  • 2025年4月
    弁護士法人Nexill&Partners 入所

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