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親の財産の調べ方は?|財産がわからないときの調査方法を種類別に弁護士が解説

2026.07.02

親が亡くなった後、遺言書やエンディングノートが見つからず、どこにどのような財産があるのか分からないことがあります。相続では、預貯金や不動産だけでなく、生命保険や有価証券、また借金やローンなどマイナスの財産も確認する必要があります。本記事では親の財産の調べ方を、財産の種類ごとに解説します。

第1章 預貯金の調べ方と金融機関への照会手続

1-1 親が使っていた金融機関を生活圏や通帳から調べる

親の預貯金を調べるときは、まず「どの金融機関に口座がありそうか」から見当をつけていきます。
家の中で通帳やキャッシュカードが見つかれば、金融機関名、支店名、口座番号を確認できますが、通帳が見つからない場合は、親の生活圏から候補を絞るのが現実的な方法です。たとえば、自宅近くの金融機関や、勤務先の給与振込に使っていた銀行、年金の受取口座として使っていた銀行などです。

また、見つかった通帳の入出金履歴から、他行への振込や証券会社への送金など、別の金融機関が分かることもあります。そのほか、金融機関名が印刷されたカレンダーやタオルなどが実家に残っている場合には、その金融機関にも問い合わせてみましょう。

相続時預貯金口座照会制度で口座の所在を調べられる場合もある

相続時に預貯金口座の所在を確認する制度として、2025年4月から相続時預貯金口座照会制度が始まっています。

これは、被相続人が生前にマイナンバーと預貯金口座を紐づけていた場合に、相続人が金融機関の窓口で申込みを行うことで、そのマイナンバーが付番された預貯金口座の所在を確認できる制度です。

この制度によって、金融機関名、支店名、口座番号などの口座情報が確認できます。預貯金の残高や過去の取引履歴まで確認できるわけではありませんが、預貯金口座の存在がまとめて確認できるため便利な制度といえます。

ただし、先述の通り、被相続人が生前にマイナンバーとの紐づけをしていた口座に限られること、また、一部の対象外金融機関については確認できない場合もあるため、通帳や郵便物など、他の方法とあわせて活用することが大切です。

1-2 ネット銀行の口座がないかスマートフォンやメールから確認する

ネット銀行は、紙の通帳が発行されなかったり、郵送物がほとんど届かなかったりするため、自宅の書類だけでは見落としやすい財産です。
親が使っていたスマートフォンの中に銀行アプリがないか、取引通知が来ていないか、口座開設時のメールや、パソコンのブックマークなど、ネット銀行に関する情報を確認することも重要です。
別の銀行口座の入出金履歴にネット銀行名が出ていないかも確認しましょう。

ただし、ネット銀行の利用が疑われる場合も、無理にログインしようとするのではなく、確認できた金融機関名をもとに、その金融機関の相続手続窓口へ連絡し、相続人として正式に照会する流れで進めることが大切です。パスワードを無理に解除したり、利用規約に反する方法でアカウントに入ろうとしたりすると、相続人であっても、不正アクセスや利用規約違反と評価されるおそれがあります。

1-3 金融機関が分かったら残高証明書と取引明細書を取得する

親が利用していた金融機関が分かったら、その金融機関に相続が発生したことを伝え、預貯金の有無や残高を確認します。

相続では、亡くなった時点でどの口座にいくら残っていたのかを把握する必要があるため、死亡日時点の「残高証明書」を取得するのが基本です。また、相続税申告が必要になる場合には、死亡日時点の残高だけでなく、生前のお金の動きも確認する必要があるため、通帳の写しや、「取引明細書」の取得が必要になることもあります。
相続税申告が必要になりそうな場合や、生前のお金の動きに不明点がある場合には、残高証明書の請求とあわせて、必要な期間の取引明細書も取得しておくとよいでしょう。

金融機関でこれらの書類の発行を依頼する場合、亡くなった親の死亡が分かる戸籍謄本、相続人であることが分かる戸籍謄本、印鑑登録証明書など必要書類の提出を求められます。具体的な書類や取得できる期間は金融機関によって異なるため、事前に相続手続の窓口へ確認しておきましょう。
なお、親が死亡したことを金融機関に伝えると、直ちに預貯金口座は凍結され、入出金等は一切不可能とされる場合が多いため、注意が必要です。

第2章 不動産の調べ方と名義変更に向けた確認事項

2-1 固定資産税の課税明細書から不動産の所在地を確認する

親が不動産を持っていたかどうかを調べるときは、まず「固定資産税の納税通知書」を確認します。
固定資産税の課税明細書には、土地や建物の所在地や評価額などが記載されており、毎年4月〜6月頃に自治体から届きます。

ただし、不動産の評価額が一定額より低い場合など、固定資産税が課税されないことがあります。その場合、納税通知書が送付されないことがあり、相続人が不動産の存在に気づきにくいことがあります。

2-2 登記済証や登記識別情報通知書から情報を集める

固定資産税の納税通知書が見つからない場合や、通知書に記載された不動産の権利関係をさらに確認したい場合には、自宅に登記済証や登記識別情報通知書が残っていないかを確認します。

登記済証とは、いわゆる権利証と呼ばれる書類です。近年の登記では、権利証に代わって登記識別情報通知書が発行されています。
これらの書類には、不動産の所在地や地番、家屋番号などが記載されているため、親がどの不動産を取得していたかを確認する手がかりになります。

ただし、これらは不動産を取得した当時の情報を示す書類です。現在の登記内容と異なっている場合もあるため、登記済証や登記識別情報通知書が見つかったら、その情報をもとに法務局で最新の登記事項証明書を取得しましょう。

2-3 名寄帳を取得して同じ自治体内の不動産をまとめて確認する

固定資産税の納税通知書や登記済証が見つからない場合でも、親が不動産を持っていた可能性のある市区町村が分かる場合には、役所で名寄帳(なよせちょう)を取得して確認する方法があります。

名寄帳(なよせちょう)とは、その市区町村が把握している土地や建物などの固定資産を、所有者または納税義務者ごとに一覧化した資料です。市区町村内にある不動産をできるだけもれなく確認したい場合には、これを取得して調べる方法もあります。

ただし、名寄帳は市区町村ごとの管理であるため、市区町村ごとに取得する必要があります。たとえば、福岡市に実家があり、糸島市に山林があり、生家が佐賀県にあるという場合、それぞれの自治体で名寄帳を確認しなければならないため、不動産を所有していそうな自治体の手掛かりがない場合は、この方法では見つけることが難しいといえます。

また、名寄帳は固定資産税に関する資料であり、登記簿上の名義人とは異なる場合があります。そのため、名寄帳で不動産が見つかった場合には、その不動産の登記事項証明書も取得して、登記上の権利関係を確認しましょう。

2-4 【2026年2月開始】所有不動産記録証明制度で親名義の不動産を全国的に確認する

また、親名義の不動産を探す制度として、令和8年2月2日から所有不動産記録証明制度も始まっています。
この制度は、亡くなった親の氏名や住所をもとに、登記簿上、親が所有権の登記名義人として記録されている不動産を法務局で一覧化してもらえる制度です。

具体的には、相続人が法務局に対して、被相続人の氏名や住所などを記載した請求書を提出し、必要書類を添えて請求することで、被相続人名義の不動産が一覧化された証明書の交付を受けることができます。
先述の名寄帳は自治体ごとですが、こちらは全国の登記情報から探せるため、親が遠方に土地や山林を持っていた場合や、昔の相続で親名義に登記されていた不動産などを見つけるのにも有用な調査方法の一つといえます。

ただし、この制度もこれだけで親名義の不動産をすべて確認できるとは限りません。
この制度は、あなたが法務局に提出する請求書に記載した氏名や住所と、登記簿上の氏名や住所を照合して検索する仕組みです。例えば、親が不動産の登記後に引っ越しをし、その後に住所変更登記をしていなかった場合、現在の住所で請求しても、その不動産が一覧に出てこない可能性があります。
また、親が祖父母などから不動産を相続した後、自己名義で相続登記をしていなかった場合や、そもそも対象不動産が未登記であった場合には、親名義で登記がされていないため、そのような不動産はこの制度では確認できないことになります。

便利な制度ではありますが、親の不動産を探す場合には、固定資産税の納税通知書や登記済証・登記識別情報通知書、名寄帳など、複数の手掛かりを組み合わせて確認することが大切です。

第3章 生命保険や株式など預貯金以外の財産の調べ方

3-1 生命保険は保険証券と生命保険契約照会制度を確認する

生命保険に加入していたか分からない場合は、一般社団法人生命保険協会が提供している「生命保険契約照会制度」を利用する方法があります。親が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無について、生命保険協会を通じて一括で照会することができます。
法定相続人であれば、必要書類と手数料を添えてオンラインや郵送で照会申請が可能です。

生命保険の死亡保険金は、必ずしも遺産分割の対象になるとは限りませんが、契約者、被保険者、保険料負担者、受取人の関係によって、相続税の計算に影響することはあります。
また、保険金を請求する権利は、原則として3年間行使しないと時効により消滅する可能性があります。生命保険の存在に気づかないまま長期間放置してしまうと、本来受け取れたはずの保険金を受け取れなくなるおそれがあるため、調べておくことが推奨されます。

3-2 株式や投資信託は証券会社からの書類を確認する

株式や投資信託などの有価証券を調べるには、証券会社からの郵便物や電子交付書面を確認します。
特に3ヶ月〜1年ごとに届く取引残高報告書は、どこの証券会社でどの銘柄を保有しているかを確認する有力な手がかりになります。また、企業の株主総会招集通知や配当金計算書などから、親がどの会社の株式を保有していた可能性があるかを推測できることもあります。

こうした書面が見つからない場合は、次に説明する証券保管振替機構(ほふり)も確認してみましょう。

3-3 証券保管振替機構への開示請求で証券口座の所在を確認する

証券会社からの書類が見つからず、どこに株式口座があるか分からない場合には、証券保管振替機構(通称:ほふり)へ「登録済加入者情報の開示請求」を行います。

ほふりは、国内の全上場株式などの振替システムを運営している機関であり、開示請求により、親がどこの証券会社等に口座を持っていたかを確認できることがあります。
具体的な保有銘柄や数量、評価額については、判明した証券会社等に対して個別に残高証明書などの発行を依頼して確認する流れになります。

第4章 見落としがちなマイナスの財産を調べる方法

相続ではプラスの財産だけを引き継げるわけではありません。借入金やローンといったマイナスの財産も相続の対象になります。プラスの財産よりも借金の方が多い場合には、相続を放棄する相続放棄の検討が必要になるため、親の財産を調べる際は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産についても調査が必要です。

4-1 信用情報機関への開示請求で借入状況を明確にする

親に借金があるか分からない場合は、信用情報機関への開示請求を検討します。信用情報機関では、金融機関、貸金業者、クレジットカード会社などとの契約内容や支払状況を確認できる場合があります。
代表的な信用情報機関として、以下の3つがあります。

【金融機関等】全国銀行個人信用情報センター

住宅ローンやカードローンなど、銀行、信用金庫、信用組合など主に金融機関からの借入れの有無を確認できる場合があります。

【消費者金融等】JICC

消費者金融、信販会社、クレジット会社など、加盟している貸金業者等との契約内容や返済状況を確認できる場合があります。カードローンやキャッシングなど、日常的に利用していた借入れを調べる際の手がかりになります。

【クレジットカード会社等】CIC

クレジットカード会社や信販会社などとの契約内容、利用残高、支払状況などを確認できる場合があります。クレジットカードの未払金や分割払い、リボ払い、ショッピングローンなどの有無を調べる際に確認しておきたい機関です。

ただし、連帯保証債務など、信用情報機関への開示請求だけでは把握しにくい債務もあります。

4-2 開示請求だけで探せない債務は書類等から手がかりを探す

信用情報機関で確認できない借金や未払金については、自宅に残された書類や郵便物から手がかりを探す必要があります。

たとえば、親族や知人との借用書、金銭消費貸借契約書、返済予定表、督促状、裁判所からの書類などがあれば、個人間の貸し借りや未払いの債務が残っている可能性があります。また、税務署や市区町村からの通知、納付書、督促状がある場合には、税金や保険料の滞納がないかも確認しましょう。

親が事業をしていた場合には、取引先への未払金やリース料などが残っていることもあります。請求書、契約書、帳簿、通帳の入出金履歴などを確認し、継続的な支払い先や未払いが疑われる相手を整理することが大切です。

第5章 まとめ

遺言書やエンディングノートがない状態での財産調査は、新たな口座照会制度や法務局の手続きを活用しても見落としのリスクが残り、相続人にとって精神的な負担も小さくないものです。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループでは、弁護士だけでなく、税理士、司法書士が連携し、煩雑な財産調査から相続税申告まで見据えたサポート体制を整えています。少しでも不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者:松﨑 洋二
弁護士松﨑 洋二

弁護士法人Nexill&Partners

弁護士松﨑 洋二

  • 2015年3月
    私立九州学院高等学校 卒業
  • 2015年4月
    福岡大学法学部 法律学科 入学
  • 2018年3月
    福岡大学法学部 法律学科 早期卒業
  • 2018年4月
    福岡大学法科大学院 入学
  • 2021年3月
    福岡大学法科大学院 修了
  • 2025年4月
    弁護士法人Nexill&Partners 入所

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