遺言が不公平に感じた場合
遺言書を見つけた後、いざ中身を読んでみると、遺言の内容が平等ではなかったという場合には、遺留分侵害額請求という手続きを取ることで一定程度の相続分を受け取ることができます。
遺言書が有効であれば、誰でも最低限の遺産は受け取れる
このお話をする上でご留意いただきたいのが、遺留分侵害額請求については、あくまで遺言書の内容が有効であるということが大前提であるということです。
判断能力がない状態で書いた遺言の内容だったり、無理やり書かされたのではないかという疑問があったりという場合は、遺言書自体が有効なのか無効なのかという争いになってきます。
そのため遺留分を考えるうえでは、遺言書自体は有効である必要があります。
そして、冒頭の話に戻るのですが、仮に遺言書の内容に納得がいかなかったとしても、遺言書が有効な場合は、その内容に納得がいくかどうかというのは法的に考慮されません。
不平等な内容だったとしても、遺言書を書いたその人の意思が尊重されますし、それが法律です。
ですが、あまりにも不公平な内容だと、それはそれで可哀そうだよねということで、そこの救済措置として、法律が遺言書のある場合でも最低限奪われない相続分を定めており、この最低限の相続分のことを遺留分と呼びます。
遺留分として認められるのは、法定相続分の2分の1となります。
この相続分については、たとえ遺言書がどんな内容だったとしても堂々と請求してよいものになりますので、きちんと請求していきましょう。
情報がないと遺留分の請求は進められない
遺留分を請求するにあたって、一番大変になってくるのが財産状況の調査です。
例えば、長男・長女が相続人だったものの、残された遺言書には全て長男に相続させるという内容だったパターンで見てみましょう。
この場合ですと、長男が全ての財産を相続するという前提で相続手続を進めていることが多いので、遺言書の原本を含めて、財産の情報や実際の相続手続まで、全て長男が握っており、他方の長女が情報を一切もらえていないということが起こり得ます。
ここが、本人で解決するのが一番難しい部分になってきており、長女としては情報を持っていないので長男に情報を教えるように伝えても、長男が全く取り合ってくれなければ、遺留分を請求する段取りが組めません。
財産調査から弁護士に依頼するのがスムーズ
遺留分を請求するうえでは、まずは相続財産をはっきりさせるところが大事になってきますので、そこがきちんと把握できればその後はスムーズに手続きを進められます。
情報が手元にない状態での網羅的な財産の調査は骨の折れる作業になりますが、この調査段階から弁護士に任せてしまうことで、情報がない状態からでも遺留分の請求は可能です。
自分が貰える相続分が全くなかったという方、すごく少ないという方は、すぐに弁護士にご相談ください。
まずは前述した通り財産調査の実施を行い、その後、内容を把握した上で、遺留分を請求するかどうかを弁護士が判断していきますので、皆さんの方でも調査内容を見たうえで請求するかどうかを決めていただくことができます。(調査をしてみた結果、請求しないという結論でも構いません。)
払ってくれない可能性もあるので、積極的に弁護士を頼りましょう
なお、財産調査を行った結果、遺留分を請求する場合は相手と話し合いをすることになります。
相手は財産を一定程度引き継いでいるはずで、そのうちのわずかな遺留分を下さいという話になりますので、ある程度のお金を持っていることからも基本的に回収には困らないと言えます。
しかし、お金を持っていたとしても、相手が任意に払うかどうかという点は、話をしてみないと分からない部分になってきます。
万が一、遺留分を払ってくれないとなってくると、訴訟や強制執行の手続きを踏まえながら進めていく必要がありますので、この話し合いの部分も弁護士に任せた方がよいでしょう。
不公平な内容で遺産の分け方に納得ができない場合は、一度ご相談に行かれることをお勧めします。