相続税申告には様々な添付書類が必要になります。
添付書類の1つに「戸籍関係の書類」がありますが、これは何をどこまで集めればいいのでしょうか?
もくじ
1.戸籍関係の必要書類
相続税申告の際に必要となる戸籍関係の書類は、以下のとおりです。
・被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍
・相続人全員の現在戸籍
・被相続人と相続人の相続関係説明図
これらの書類を準備して、申告書に添付をしなければなりません。
きちんとステップを踏んで行えば、そこまで難しい作業ではありませんので、一つ一つ丁寧に進めていきましょう。
2.Step1 相続人を確定しましょう
戸籍を集める前に、まずは相続人をきちんと確定することが必要です。
ここが間違っていると、無駄な戸籍を取得してしまったり、逆に必要な戸籍が足りなかったりすることがありますので、注意しておきましょう。
【相続人を考える上のルール】
①配偶者は常に相続人になります。
(注)事実婚である場合は、配偶者にはなりませんので気をつけてください。
②配偶者以外の相続人には、相続の優先順位があります。
◎相続の優先順位
第一順位 子
亡くなられた方に子がいない場合は孫に、子も孫もいない場合はひ孫にと続いていきます。
↓第一順位の人がいない場合・・・
第二順位 直系尊属(両親)
両親のどちらもいない場合は祖父母に、祖父母もいない場合は曾祖父母にと続いていきます。
↓第二順位の人もいない場合・・・
第三順位 兄弟姉妹
兄弟姉妹がいない場合は、甥・姪まで続きますが、それ以降は相続人にはなれません。
第一から第三順位のうち、先に一人でも相続人がいる場合は、それより後の順位の人は相続人にはなりませんので、注意しましょう。
(例)
被相続人に子どもがいる場合・・・
第一順位に相続人が存在しますので、それ以降の順位の人は相続人にはなりません。
3.Step2 必要な戸籍を取り寄せましょう
相続人がきちんと確定したら、次は戸籍を集める作業に入ります。
(1)戸籍の集め方
相続税申告に必要な戸籍は、本籍地の市区町村役場で取得することができます。
申告の際は、被相続人が亡くなられた日から10日を過ぎた日以後に発行された原本が必要ですので、取得時期には気をつけておいてください。
遠方の場合は、郵送で申請・取得ができますので、各役所のホームページ等で確認をしてみましょう。
(2)添付書類として必要になる戸籍
①被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍
被相続人が亡くなった記載がある戸籍が必要なのは何となくわかるけど、なぜ連続しているものが必要なんだろう?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
相続税申告の際に亡くなった方の連続した戸籍を提出するのには、以下のような理由があります。
・被相続人の死亡を証明する意味合い
・すべての相続人を明らかにする意味合い(隠れた相続人がいないかどうかの確認)
「相続人は誰ひとり知らなかったけど実は前妻との間に子どもがいた」「家庭の外に認知している子どもがいた」など、思ってもみないところに相続人が存在している可能性も大いにあります。
法定相続人の人数が変わると、相続税の額にも影響が出ますので、そこを防ぐためにも戸籍をたどっての確認作業が必要になるという訳なのです。
さて、連続した戸籍を集めるには、まずは被相続人の一番新しい戸籍(被相続人の死亡の記載があるもの)を取得し、その戸籍からどんどん古い戸籍に遡って生まれた時の戸籍までを取っていきます。
一般的には4~5通ほどで生まれてから亡くなるまでの戸籍が網羅できることが多いですが、被相続人が転籍(本籍を移動させること)を繰り返しておられた方だと、集める戸籍が10通近くになることもあります。
亡くなられる前に本籍地を頻繁に移動させていた場合、戸籍が各地の役所に散らばって存在しているため、全て集めきるまでに時間がかかることが予想されます。
早めの収集を心がけましょう。
②各相続人の現在戸籍
亡くなった方の戸籍に加えて、相続人全員の現在戸籍の取得が必要です。
戸籍を取得できるのは、本人、配偶者、直系血族で、委任状があれば代理人が取得することも可能です。
また、第三順位の法定相続人(兄弟姉妹、甥・姪)が相続人になる場合は、上記に加えて以下の戸籍も必要になりますので、該当する場合は取得をしておきましょう。
(兄弟姉妹が相続人になる場合)
・被相続人の両親の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍
(代襲相続で甥・姪が相続人になる場合)
・既に亡くなっている兄弟姉妹の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍
4.Step3 相続関係説明図を作りましょう
集まった戸籍をもとに、相続関係説明図(家系図)を作ります。
この書類については、特に決まったひな型はありません。
縦書き横書きも問いませんし、手書きでもパソコンでも構いません。
【相続関係説明図の例】
婚姻関係は二重線、それ以外は単線で書くのが一般的です。
相続関係説明図まで完成したら、戸籍関係の書類の準備は完了です。
まとめ
相続人が誰になるかによって、集めるべき戸籍の種類が変わります。
◎どこまでが相続人になるのか
◎どこまで戸籍を取得すればいいのか
この2つを押さえて、確実に一つずつ取得作業を行うことが大切です。