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相続税

事前に検討しておきたい「教育資金」の一括贈与

2020.10.27

教育資金の一括贈与を利用される場合には、事前の検討が必要です。
その際、受贈者であるお子様やお孫様に将来かかるであろう教育資金の見積もりすることになるかと思います。
見積もりなしで一括贈与すると、使い切れない金額を贈与してしまい、「結局贈与税がかかってしまいました」ということになりかねないからです。

1.教育費の目安

幼稚園から大学まで教育にかかる費用はさまざまですので一概にいくらとは言えないのですが、大雑把な目安として、オール公立の場合には約1,000万円程度、オール私立の場合には約2,000万円程度かかると言われています。
大まかな目安ですので、実際には将来のライフプランに基づいて、かかる教育費の見積もりをすることになります。

2.「教育資金」の範囲

見積もりをするにあたって、もうひとつ障壁となるのが「どの資金が教育資金の範囲になるのか」ということです。
これについては、基本的な考え方を見たうえで個別の事例を見ていくのがよいものかと思います。

3.基本的な考え方

教育資金については、次の2つに大分類できます。各々のポイントを列挙しておきます。

①学校等に対して直接支払われる費用
・1,500万円非課税枠の対象です。
・「学校等」に「直接」支払うのがポイントです
・入学金、授業料、施設設備費、入学試験の検定料などが該当します。

②学校等以外に対して直接支払われる費用
・500万円非課税枠の対象です。
・「学校等以外」に対して「直接」支払うのがポイントです。
・「学校等以外」とは塾や習い事など、学校等以外の者や教材や学用品などの物品の販売店などです。
・通学定期代の支払先も含みます。

4.学校等で必要な費用について

学校等で必要な費用は、①学校等(学校等の設置者)に支払う場合と、②学校等以外(業者等)に支払う場合の両方が考えられます。
このうち①の場合(学校等に支払ったことが領収書等で確認できる場合)のみが、1,500万円までの非課税の対象となります。
②の場合のように、個人が直接業者等に費用を支払った場合は、一定の条件の下、500万円までの非課税の対象となる場合があります。

5.基本を押さえたらあとは個別事例で

各事例で判別しにくいものを何点かあげていきたいと思います。

①複数の学校を受験し、入学しない学校に支払った受験料や入学金は非課税?
・1,500 万円までの非課税の対象としてOK

②入学願書
・非課税の対象外
※ 願書作成に伴う手続の費用(添付する証明写真代、送料等)も非課税の対象外

③教科書、学用品
・学校等に直接支払:1,500万円非課税対象
・業者等に直接支払:500万円非課税対象

④制服、通学カバン、体操着、上履き
・学校等に直接支払:1,500万円非課税対象
・業者等に直接支払:500万円非課税対象

⑤通学定期券代
・学校等に直接支払:1,500万円非課税対象
・業者等に直接支払:500万円非課税対象

⑥修学旅行費
・学校等に直接支払:1,500万円非課税対象
・業者等に直接支払:500万円非課税対象

⑦習い事の月謝(学習塾、スイミングスクール、音楽スクール、習字など)
・500万円非課税対象

⑧習い事の月謝(手品,占い、ゲーム、カラオケなど)
・非課税の対象外

⑨資格試験の受験料や通信教育費
・500万円非課税対象

⑩学校等に支払う寄附金は,非課税の対象?
・原則:対象外
・例外:入学時の寄附金は1,500万円の非課税の対象

⑪スポーツジムの費用
・コーチ指導あり:500万円非課税対象
・単なる施設の利用:対象外

⑫留学費用のうち授業料
・学校等に直接支払:1,500万円非課税対象
・業者等に直接支払:500万円非課税対象

⑬留学費用のうち渡航費
・学校等に直接支払:1,500万円非課税対象
・業者等に直接支払:500万円非課税対象

⑭留学費用のうち滞在費
・原則:滞在費は対象外
・例外:以下の場合には滞在費も対象
(1)学校に直接支払う場合(1,500 万円枠)
(2)外国の教育施設のうち一定のものに直接支払う場合(1,500 万円枠)
(3)仲介業者支払で学校等の授業やカリキュラムの一環である場合(500 万円枠)

6.まとめ

上記で挙げてみた個別事例はいかがでしたでしょうか。
ポイントのみのご紹介でしたので、細かいところは記載しませんでしたが、もし、ご興味のあるかたは文部科学省のHPに教育資金の一括贈与のQ&Aがありますのでぜひご覧になられて下さい。

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