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株・投資信託

相続税申告に必要な書類(有価証券、非上場株式)

2021.06.05

皆さんは、税金の申告をご自身でされたことはありますか。
特にこれから説明する相続税申告については、専門的な知識が必要とされるため、一般的には専門家にご相談される方が多いのではないかと思います。

今回は、あえてご自身で相続税申告を行うことを念頭に、相続税申告の必要書類のうち、一部をご紹介したいと思います。

1.有価証券に関する書類

(1)書類一覧
書類名 取得できる場所 取得費用 注意事項
残高証明書 ①証券会社や銀行で取引していた場合、その証券会社や銀行等で取得できる。 手数料は金融機関により異なる。 相続開始日現在の残高を依頼する。
②株券を現物で保有していた場合等は、株式名義書換代行機関になっている信託銀行等(株主名簿管理人)で取得できる。 手数料は金融機関により異なる。
配当金計算書、支払通知書、株主総会招集通知 自宅に保管があれば取得できる。 1単元に満たない株式がないかどうかを確認する。
取引残高報告書 郵送または電子(インターネット)で金融機関から交付される。 基準日現在の預かり資産の一覧が記載されている。

 

(2)書類を集める上でのポイント

有価証券とは、株式、債券(公債や社債)、投資信託等のことです。

①残高証明書
通常は、取引していた証券会社や銀行に発行を依頼してください。一般的に、取引店や相続専用のセンターで手続きをします。「相続税の申告に使います」と伝えると、所有していた株式数や口数、相続税申告に必要な評価額や利率等を記載してもらえることが多いです。

株券を現物で保有していた場合等は、株式名義書換代行機関になっている信託銀行等(株主名簿管理人)に残高証明書の発行を依頼してください。株主名簿管理人は、株主になっている会社のホームページや、配当の時期に郵送される「配当金計算書」で確認することができます。

②単元未満株式
単元未満株式とは、1単元(100株や1,000株など、銘柄ごとに決められている最低売買単位の株式)に満たない株式のことです。長年同じ銘柄を保有していた場合に生じることが多いです。これは、証券会社や銀行の残高証明書に記載されないために確認を忘れがちですが、相続税の対象になります。

「配当金計算書」や「配当金支払通知書」、「株主総会招集通知に同封されている議決権行使書」には、単元未満株式も含めた所有株数が記載されているので、亡くなった方がこれらを保管していないか探してみてください。見つからない場合は、株主名簿管理人に単元未満株式の有無を問い合わせてください。

③取引していた証券会社等が分からない場合
証券会社等からは、期間中に取引があれば3か月に1度、取引がなくても1年に1度は「取引残高報告書」が郵送または電子で交付されます。これには、預り資産の詳細な内容が記載されていますので、まずは探してみてください。見当たらない場合は、インターネットで取引を行っていた可能性があるので、亡くなった方のパソコンやスマートフォンを調べ、インターネット上のお気に入りに証券会社のホームページが登録されていないか確認してください。パソコンのメールを確認するのも方法の一つです。

それでも見つけることができなければ、証券保管振替機構(通称ほふり)に、「登録済加入者情報の開示請求」という手続きを行えば、どの証券会社に口座を開設していたのかだけは、確認することができます。ただし、保有銘柄や株数等の情報は、別途証券会社への問い合わせが必要です。

2.非上場株式に関する書類

(1)書類一覧
書類名 取得できる場所 取得費用 注意事項
法人税申告書 通常は、税務署に提出したものの控えが会社に保管されている。
株式を発行している非上場会社に問い合わせること。
直近3事業年度分。
修正申告書、県民税申告書、市民税申告書、消費税申告書も必要。
決算報告書(賃借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)
勘定科目内訳明細書
法人事業概況説明書
定款 株式を発行している非上場会社。 現行のもの。
株主名簿
従業員数のわかる資料 役員は除く。
登記事項証明書又は登記情報 登記事項証明書は法務局(郵送も可)。
登記情報は、インターネットの登記情報提供サービス。

法務局の場合、600円。登記情報提供サービスの場合、335円。

日本標準産業分類 総務省ホームページ

 

原則的評価方式(類似業種比準価額)で評価する場合に必要。
日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表 国税庁ホームページ
類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等 国税庁ホームページ 原則的評価方式(類似業種比準価額)で評価する場合に亡くなった年分のものが必要。

 

(2)書類を集める上でのポイント

非上場株式は、株式の保有目的は会社の規模、資産や利益の状況などをもとに評価するために必要です。
亡くなった方が会社を経営していた場合など、遺産の中に非上場株式(取引相場のない株式)が含まれていることがあります。

非上場株式の評価方法は非常に複雑です。また、相続後にその株式をどうするか等、相続税申告以外の面から検討しなければならないことが多く、専門的な知識が必要です。そのため、まずは、顧問税理士がいればその方に、いなければ相続税に強い税理士などの専門家に相談し、自分で相続税申告ができるかできないかも含めて、アドバイスをもらうことをお勧めします。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事をきっかけに、相続税申告について少しでも興味を持っていただければと思います。
なお、上記以外の書類や手続きについては、機会がありましたら別の記事で取り扱います。

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