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遺産分割

遺産分割協議書の作成方法

2021.03.01

相続が発生すると遺産分割協議を行い、相続人みんなで話し合った結果を遺産分割協議書にまとめて記載します。
この時、遺産分割協議書の作成方法が曖昧だったり、記載内容が不十分だったりすれば、法的には遺産分割協議が完了していると評価できず、後にトラブルになるリスクを背負ってしまいますので、確実に問題ないと言える遺産分割協議書を作成しなくてはなりません。

この遺産分割協議書の作成の仕方ですが、思いのほか様々な作成方法があり、ケースバイケースでその相続に応じた遺産分割協議書の作成方法を採用すれば様々なメリットがあるものです。
しかし、一般的には単に遺産分割協議書を作成して全員で押印をするという形しか知られていないのが実情ですから、その作成方法をご説明いたします。

1 通常の作成方法

最も一般的な遺産分割協議書の作成方法は、相続人全員で誰がどれだけ相続するのか話し合い、その決まった内容を遺産分割協議書に書き込みます。
仮に3人の相続人がいたとすれば、3通の遺産分割協議書を作成して、3通すべてに3人全員が署名と実印を押印するという方法です。
その印鑑が実印であることの証明として印鑑証明書を各自添付し、3名の相続人がそれぞれ遺産分割協議書を手元に置いておきます。
記載する内容としては、まずは被相続人の情報として、被相続人の氏名や本籍、最後の住所地や生年月日等、被相続人をきちんと特定できるだけの情報を記載します。
その上で各相続人が何をどれだけ相続するのか具体的に口座番号や不動産の地番などを書き込んで財産を特定しながら、その相続分を記載していきます。

通常の遺産分割協議書の場合、1枚の紙に相続人全員が押印をしますので、本人たちの手元を郵送などでグルグル回すことになります。
現代の世の中では、必ずしも相続人全員が地元に残っているとも限らず、長男は東京、次男は大阪、残りの家族は地元に残っているなど、全国に散らばっているケースも多数見受けられます。
その場合、全員が一堂に会する機会はそれほど多くなく、結局はその遺産分割協議書を郵便で送付しながら各自の印鑑を押印する流れになることでしょう。

2 遺産分割協議証明書

もう一つの方法として、遺産分割協議証明書というものを説明します。
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書、言葉がすごく似ていますね。
実際に内容もほとんど変わりません。
では、何が違うかと言うと、遺産分割協議書は1枚の紙に協議内容である条文が多数あり、その書面の末尾に相続人全員の署名押印欄が並びます。
つまり、相続人が3人いるケースでは、遺産分割協議書の末尾に3人分の署名押印欄が並び、1枚の紙に3人の署名と押印が集まる形になります。
これに対して、遺産分割協議証明書の場合は、署名押印欄以外は遺産分割協議書と変わらず、署名押印欄は1人分しかありません。つまり、3枚の別々の紙にそれぞれ3人が1人ずつ署名押印を行います。

Aさん用の遺産分割協議証明書、Bさん用の遺産分割証明書、Cさん用の遺産分割協議証明書と、3つの遺産分割協議証明書が作成されることになります。
通常の遺産分割協議書であれば、Aさんが署名押印してからBさんに渡して署名押印し、その後にCさんが署名押印するといった形で回しますが、遺産分割協議証明書であれば、それぞれ1人分の署名押印欄しかありませんので、各自の手元を回さずに各自の分をそれぞれ各自で署名押印して完成します。
そして、3名分の遺産分割協議書が3通揃って、一般的な遺産分割協議書と同等の効力を発生します。
これなら同時に署名押印ができますので、手続きをかなり簡略化できますね。

3 相続分譲渡証明書

最後に、遺産分割という形ではなく、相続分譲渡という形で手続きを終える方法をお伝えします。これは相続人それぞれが何らかを相続する場合には使うことができず、何ももらわない相続人がいるときのケースです。
何ももらわない相続人がいる場合、遺産分割協議書や遺産分割協議証明書には、その人は何ももらわないと明記されることになります。

例えば、Cさんが何ももらわずにAさんとBさんで相続する場合、CさんがAさんとBさんに対して、半分ずつ相続分を譲渡する旨の証明書を作成すれば、遺産分割協議書や遺産分割協議証明書はAさんとBさんで作成すれば足ります。
これなら何ももらわないと確定した相続人が、その他の相続人の分け方が決まる前に手続きから書面を作成して離脱することができますので、他の相続人の遺産の分け方が決まるまで手続きを待っておく必要がありません。

4 まとめ

以上のとおり、遺産分割協議書や遺産分割協議証明書、相続分譲渡証明書等、様々な方法で書類を作成することができます。
相続人の状況や相続される内容、事案ごとの特徴などを踏まえながら、最も適切な方法で書面作成を行うべきでしょう。
この判断はなかなか専門的だと思いますので、何もトラブルや紛争になっていなかったとしても、専門家と相談しながら最もスムーズな相続手続きを行えるようサポートしてもらうべきです。

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