inheritance basis

相続の基礎知識

「法定相続情報証明制度」とは?

2021.04.02

相続はどなたかが亡くなったら必ず始まります。

「ご自身は揉めていないから相続問題は関係ない」と思っている方は多くいらっしゃるかと思いますが、揉めているか否かは関係ありません。
亡くなられた方の口座の解約手続き、住んでいたお部屋の賃貸借契約の解約手続きなど、身の回りのものすべてを綺麗に精算しなければなりません。
不動産を誰が受け継ぐか、お金は誰がもらうのかだけではなく、亡くなられた方が関わっているものすべてについてきちんと手続きを行うこと、これこそが相続手続ともいえます。

ただし、これらの手続きをするにあたって、単に関係各所に相続人である旨を伝えるだけでは手続きは行えず、適切な必要書類を収集する必要があります。
例えば、戸籍を収集し、ご自身が法的に認められた相続人であることを証明する必要があるのですが、ご自身の現在戸籍だけではなく、原則として亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍すべてが必要となりますので、そうなるとかなりの枚数の戸籍を収集することになります。

そして、手続きごとに戸籍一式が必要になりますので、最終的に数えきれないほどの戸籍を集めなければなりません。
かなり大変ですよね?これを何とかする方法はないのでしょうか?
そこで、平成29年より、「法定相続情報証明制度」というのが始まりました。
これは、法務局に戸籍謄本等の一式を提出することによって、法務局から法定相続情報一覧図が手に入ります。
それを利用することで、膨大な戸籍謄本を収集することなく、一覧図で各種手続きが出来るようになりました。

1.法定相続とは

法定相続情報証明制度について説明する前に、法定相続についてご説明します。
「法定相続」という言葉はなんとなく聞いたことがある方もいるかと思いますが、きちんと理解されている方は少ないのではないでしょうか。
法定相続とは、その名の通り「法律で定められた相続」です。
亡くなられた方の親族のうち、誰が相続人になり、どの相続人がどれくらいの割合で相続できるのかは、すべて民法に定められています。

この法定相続というのがすべて基本形となり、あらゆる相続の場面で活用されます。
例えば相続人同士で話し合って分割方法を決める「遺産分割協議」の場面においても、民法の規定に基づき相続人となった者全員が参加しないと成り立ちません。
そのため、民法で定められている「法定相続人」が誰にあたるのかは、把握しておいたほうが良いでしょう。
簡単に説明すると、亡くなられた方の配偶者が生存している場合は、配偶者は必ず相続人になります。

 

配偶者以外は、以下の順番で配偶者と一緒に相続人となります。

第1順位:死亡した人の子ども・・子どもが先に死亡している場合は、その子の子
第2順位:死亡した人の直系尊属・・父母や祖父母など
第3順位:死亡した人の兄弟姉妹・・兄弟姉妹が先に死亡している場合は、その子ども

 

2.法定相続情報証明制度について

法定相続について理解が出来たと思いますので、ここからは本題の「法定相続情報証明制度」について述べていきたいと思います。
先に述べた通り、平成29年5月29日にこの制度が始まり、簡単に言えば、家系図を作成し、その内容が問題ないことを法務局に証明してもらうものです。
法定相続人を特定するためには、亡くなられた方が生まれてから亡くなるまでの戸籍を収集し、家族が把握していない相続人がいないかどうか隅々まで調べる必要があります。

そして、各金融機関での手続きの際には、相続人が誰なのかの証拠書類として戸籍の提出が必要となります。
しかしながら、手続きするたびに戸籍を集めるのはかなり大変な作業のため、そこを簡略化することを目的として、たくさんの戸籍をもとに作成された家系図を法務局が問題ないことを証明してくれるのです。
現在、不動産の名義変更を含め相続手続が放置される事案がたくさん発生しています。
その一因として、相続手続時の収集する書類の多さもあるのではと考えられたため、一覧図を作成して手続きを少しでも簡略化しようとこの制度が始まりました。

一覧図の取得手続としては、①戸籍の収集(亡くなられた方、相続人全員分など)、②家系図を作成、③それをもって法務局に申請し、その家系図に認証文を付してもらう、というのが一連の流れです。
なお、手続費用は無料となっておりますので、たくさんの戸籍を集めるよりも費用を押さえることができます。
皆さんも利用されてみてはいかがでしょうか。

3.まとめ

平成29年に始まったこの制度ですが、なかなか浸透しておらず、減ってはきていますが、いまだに法定相続情報一覧図だけでは手続してくれない金融機関等が存在しているのも事実です。
そのため、相続手続が発生した場合は、手続きが必要な先に法定相続情報一覧図で手続き可能かは一度問い合わせをしておいたほうが良いでしょう。
また、この法定相続情報一覧図は相続人の方はもちろんのこと、各専門家(弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士など)での作成・申請も可能となっておりますので、相続が発生した場合は、専門家にご相談されてみてください。

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