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遺言書作成・遺言執行者の選任

遺言執行者って何をするの?

2017.09.01

遺言執行者って何をするの?

<相談内容>
遺言を作成しようと思っているのですが,その話を友人にすると「遺言が確実に実行されるために遺言執行者を選任するといいらしいよ。」と言われました。遺言執行者とは,何をするのでしょうか。誰を選任しても問題ないですか。

 遺言執行者とは,遺言者の死後,遺言の内容を確実に実現してくれる人のことをいいます。遺言執行者がいなくても問題ない場合もありますが,遺言の内容によっては,必ず遺言執行者を選任しなければならない場合もあります。今回は,遺言執行者についてご説明していきます。

1 遺言執行者の権限

遺言の内容には,遺言の効力発生と同時に当然にそれが実現されて何らの手続を必要としないものと,それを実現するには一定の手続(これを執行行為といいます。)が必要なものとがあります。相続分の指定,特別受益の持戻しの免除,遺産分割の禁止,未成年者の後見人の指定などは,執行行為を必要とせず,遺言に記載しておくだけで,遺言者の死亡時に効力が生じます。
執行行為が必要なものの中でも,遺言執行者又は相続人のいずれでも執行できるものと,遺言執行者だけが執行できるものとがあります。遺贈,財団法人設立のための寄附行為,信託の設定などは,執行行為が必要ですが,遺言執行者又は相続人のいずれでも執行できます。認知,推定相続人の廃除,廃除の取消しなどは,執行行為が必要で,遺言執行者だけが執行できるものです。

そのため,遺言の内容に遺言執行者だけが執行できるものを含む場合には,遺言執行者が必要となります。相続人又は遺言執行者のいずれでも執行できる場合でも,相続人の協力を得ることが困難なときには,遺言執行者がいることが望ましいでしょう。
遺言執行者は,遺言で指定されたと
きには,その指定された者が承諾することによって就任します。遺言執行者がいないとき,いなくなったときは,家庭裁判所に遺言執行者の選任審判申立てをすることになります。

遺言執行者は,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し(民法1012条),この権限に基づいて遺言の内容を実現すべく執行を行うことになります。遺言の内容が遺贈など,財産の処分に関するものである場合には,遺言執行者は財産目録を調製の上,遺言の内容に従った財産の引渡しや移転登記手続を行います。もし相続財産を不法に占有している者がいたり,登記名義を有している者がいたりして,この者が遺言の執行に協力をしない場合には,遺言の執行をするために,遺産の引渡請求,抹消登記手続請求などの訴訟をすることもあります。

 

2 遺言執行者の解任

先日,内縁の夫が亡くなり,遺言によれば,私が遺贈を受けることになっています。ところが,遺言執行者に指定された内縁の夫の親戚の方は,なかなか手続を進めてくれません。相続税の申告もしなくてはならないので,遺言執行者を別の人にして早く手続を進めたいのですが,何かできることはありませんか。

 遺言執行者が任務を怠るなど解任をする正当の事由があるときは,相続人や受遺者等の利害関係人は,家庭裁判所に遺言執行者の解任を請求することができます(民法1019条1項)。

 「任務を怠ったとき」とは,遺言執行者が任務を放置し実行しない場合のほかに,管理に服さない相続財産を理由なく相続人に引き渡さなかったり,執行行為の報告を理由なく拒絶する場合などがあります。
また,「正当な事由があるとき」は,長期間にわたって執行行為の障害となるような疾病,行方不明,不在などのほか,遺言執行者が一部の相続人の利益に加担し,公正な遺言の実現が期待できないような事情がある場合などが当たります。なお,遺言執行者が相続人と遺言の解釈が違うというだけでは,解任をする正当の事由があるとはいえません。
 今回の相談は,遺言執行者が手続きを進めてくれない期間によっては,任務を放置しているといえるため,解任を家庭裁判所に請求することができるでしょう。

 

3 まとめ

 今回は,遺言執行者についてご説明しました。
 遺言書で遺言執行者を指定するには,「Aを遺言執行者に指定する」と記載すれば足りますが,後々トラブルにならないために,あらかじめ遺言執行者になってもらえるかどうか,話をしておきましょう。

遺言執行者の資格には制限がなく,未成年者や破産者以外なら,相続人,第三者,法人などを問わず遺言執行者となることができます。親戚の方を遺言執行者に指定するケースもありますが,遺言を執行するには不動産の名義変更,預貯金の解約や株式の名義変更など様々な手続が必要となり,手間も時間もかかります。また,相続人が遺産執行者となった場合,他の相続人との間でトラブルが発生するおそれもあります。
そこで,弁護士などの専門家を遺言執行者に指定する例が多いようです。弁護士個人を遺言執行者とすると,遺言者より先にその弁護士が亡くなってしまうことがないとも限りません。可能であれば,弁護士法人を指定するとその心配がないので安心です。遺言作成を相談する際に,遺言執行者についても尋ねてみると良いでしょう。

 

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