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遺言書作成・遺言執行者の選任

遺言書の付言事項って何?

2021.01.24

「遺言書には何を書いて良いのですか?」と聞かれる方が多数いらっしゃいます。
結論としては「遺言書には何を書いても構いません。」となりますが、何を書いても法的拘束力があるというわけではありません。

遺言書に書くことによって法的拘束力が認められる事項を遺言事項と呼びますが、その他の事項については、法的拘束力は認められないため付言事項と呼ばれます。

では、遺言書には付言事項を書いた方が良いのでしょうか?その意味や目的を理解しながら付言事項について理解を深めてみましょう。

1 付言事項とは?

付言事項は遺言書としての法的拘束力はありませんが、相続人に対する手紙としての意味はあり、伝えたいことを付言事項として書き残しておくことによって、遺言者の気持ちが相続人にきちんと伝わり、これに伴って相続手続きが円滑に進んだり、紛争化しないよう働きかけることにも繋がりますので、やはり一定の意味があるものです。

世の中で発生する紛争とは、必ずしも法的な紛争ばかりではなく、感情的な事柄が対立軸となって紛争化するケースも多数見受けられます。
そのため、付言事項をしっかり書いておくことによって被相続人の感情がきちんと伝わり、これに伴って事実上紛争を予防できるのであれば、遺言書を書く意義が十二分に発揮されます。

この世の付言事項を遺言書のどこに書くのか決まりは全くありませんが、通常は遺言事項と区別をする意味で、遺言書の本文を記載した後に【付言事項】と記載して別立てで付言事項を記載します。
このように別立てで記載することで、法的拘束力を持つ遺言事項と法的拘束力を持たない付言事項を明確に分離し、より分かりやすい遺言書が出来上がることになります。

2 具体的内容

付言事項としてよく書かれるのは、そのような内容の遺言書にした理由や経緯です。具体的にどのようなケースで付言事項が書かれるのか見て行きましょう。

①単純に分けたい内容だけを見ると、特定の相続人に偏って相続されているようなケースの場合は、なぜそのような分け方を行っているのか本人なりの理由を説明しておきます。

②遺留分を侵害しているような遺言書の場合、なぜ遺留分を侵害してまでこのような内容にしたのか理由を説明しておきます。

③遺言者としては遺留分を侵害しないと判断して決めた内容であり、どのような計算をすると遺留分を侵害しないと評価できるのか、遺言者なりの考えをまとめておきます。

④相続税の配偶者控除の適用もあり、ひとまず妻に全てを残したい遺言者は多数いらっしゃいます。
このような場合、形式的にはその他の相続人の遺留分を侵害してしまいますので、それでも遺留分減殺請求などを行わず、妻が亡くなるまでは何も文句を言わないようにと付言事項を記載される方もいらっしゃいます。

⑤その他、会社を運営している場合に、その会社の自社株を評価するとそれなりの金額になってしまうケースがあり、しかしこの株式を看過して流動資産にできるわけでもないので、形式的には偏った遺言書になるケースが多いです。
そのような場合にも付言事項として、会社の株式を引き継がせるものの、遺留分減殺請求などを会社のためにも行わないように諭すケースも見受けられます。

3 代表的内容

以上の通り、遺言書で良く書かれる付言事項としては、遺言書作成の経緯や理由、遺留分を求めないよう自粛要請、遺言者が相続人に対して承継した財産をむやみやたらに使わないよう伝える、自分の生き方や思いを伝える、家君を受け継ぐように指示をしたり、生前に一生懸命面倒を見てもらったことに対するお礼など、本当に多種多様な記載があるものです。

4付言事項を書く場合の注意点

この付言事項を記載するかどうかについては、人によって結構スタンスが変わるものです。
付言事項はあくまで付言事項にしか過ぎませんので、想いを残したりするのは別途手紙を書くなどして残すケースの方が多いでしょう。

やはり遺言書はあくまでも法的な文書としてとらえている人が多く、だからこそ付言事項を記載したりせずに、遺言事項のみに特化して遺言書を作成するケースの方が大多数かと思います。

5まとめ

付言事項は相続人に対して様々な思いを伝えるために便利な代物です。
しかし、遺言書の中に書き込む以上、最も書きたい遺言事項と内容が混在してしまい、何かの支障をきたすケースもたまにあります。
そこで、付言事項として相続人に伝えたいことがある方は、別途手紙を書くなどして、それを遺言書と一緒に保管することで付言事項に変えた方が良いでしょう。

遺言書に書き込んでも構わないのですが、きちんと遺言事項と混在しないように区別して記載しなくてはなりませんので、詳しい専門家に相談しながら書かれることをお勧めいたします。

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