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生前の相続対策

相続税対策とは?~生前贈与による相続税対策③~

2021.02.02

前回は、生前贈与による相続税対策のうち、相続時精算課税制度についてご説明させて頂きました。

今回は、前回に引き続き生前贈与による相続税対策のうち、住宅取得資金の贈与税の非課税の特例、及び住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例の活用について詳しくご説明させて頂きます。

1 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは?

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とは、父母や祖父母等の直系尊属から 住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上の者で、その年の合計取得金額が2000万円以下である者が、贈与を受けた年の翌年3月15日迄にその住宅取得等資金を以て自己の居住の用に供する一定の家屋の新築や増改築又は取得等をし、その日までに居住の用に供したときは、その住宅取得等資金のうち一定の額までが非課税となる制度です。

なお、この特例における非課税限度額については、取得する住宅の「契約時期」により判断することとなります。

また、個人間の売買において、建築後使用されたことのある住宅用の家屋(中古住宅)を取得する場合には、原則として消費税等がかかりません。

したがって、中古住宅の売買については、下記の表のうち、「消費税10%が適用される場合」に該当しませんので、「左記以外の場合」に区分され、非課税枠は家屋の内容によって最大700万円が上限となります。

■ 住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額

契約締結期間 消費税10%が適用される場合 左記以外の場合
良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
~平成27年12月 1500万円 1000万円
平成28年1月~令和2年3月 1200万円 700万円
平成31年4月~令和2年3月 3000万円 2500万円
令和2年4月~令和3年3月 1500万円 1000万円 1000万円 500万円
令和3年4月~令和3年12月 1200万円 700万円 800万円 300万円

 

 以上のとおり、この特例を利用した場合、最大3000万円まで贈与税が非課税となり、
かつ相続時に相続財産に加算する必要もないため、贈与税・相続税を抑えることが可能となります。

2 住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例とは?

上記1で説明させて頂いた「住宅取得等資金に係る贈与額の非課税の特例」とは別に、
「住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例」という特例もあります。

「住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例」とは、令和3年12月31日までに、
親又は祖父母等の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上(贈与を受けた年の1月1日おいて20歳以上の者に限られます。)の子又は孫が、
贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充て、
その家屋に同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日以降遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金の贈与者である親又は祖父母が60歳未満であっても、相続時精算課税を選択することができる制度です。

住宅取得等資金の贈与の非課税の特例の適用を受ける場合ですと、
当該特例適用後の住宅取得等資金について贈与額の課税価格に算入される価額がある場合に限り、この「住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例」の適用を受けることができます。

また、この特例は、前回ご説明した相続時精算課税制度と同様であり、
節税効果を直ちに発揮するものではありませんが、推定相続人に現時点でまとまった資金が必要な場合に、当面の贈与税の負担することなく贈与を行うことができるメリットがあります。

以下に、住宅取得等資金の贈与時に用いることのできる特例の要件をまとめておりますので、是非参考にして頂ければと思います。

■ 住宅取得等資金の贈与に係る特例の適用要件

項目 住宅取得等資金に係る相続時精算課税 住宅取得等資金の贈与
贈与者 親又は祖父母(年齢制限なし) 親又は祖父母(年齢制限なし)
受贈者 その年の1月1日現在20歳以上(令和4年4月1日以後の贈与は18歳以上)の子又は孫 その年の1月1日現在20歳以上の子又は孫で合計所得が2000万円以下の者
非課税枠 2500万円 最大3000万円
税率 非課税枠を超えた額に対して一律20%課税 非課税枠を超えた場合には暦年課税か左記の相続時精算課税の税率により算出
相続発生時の相続財産への加算 贈与を受けた全ての贈与額を加算 なし
相続発生時の贈与税額の扱い 相続税額から控除又は還付

 

3 適用を受けるための手続きは? 

それでは、上記1・2で説明した各特例の適用を受けるために、
どのような手続きが必要でしょうか?

各特例の適用を受けるためには、いずれについても贈与を受けた年の翌年2月1日から
3月15日までの間に、非課税枠の特例を受ける旨を記載した贈与税申告書に、
戸籍謄本・登記事項証明書・相続時精算課税選択届出書(「住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例」の場合)等の一定の書類を添付のうえ、納税地の所轄税務署に提出して頂く必要がございます。

その他、前回ご説明させて頂いた内容の繰り返しとなりますが、相続時精算課税を選択した場合には、今後当該贈与者との間で生じる贈与については相続時精算課税が適用されることとなるため、贈与の都度申告が必要となりますので、注意が必要です。

4 まとめ

今回は、生前贈与による相続税対策のうち、住宅取得資金の贈与税の非課税の特例、及び住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例についてご説明させて頂きました。

相続税対策として住宅資金による贈与を活用する場合に、どの制度を適用すべきなのかは、個別のご事情によって大きく異なります。

そのため、事前に十分な検討を行う必要がありますので、是非一度相続関係に詳しい専門家にご相談されることをお勧め致します。

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