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信託

【家族信託】受益者代理人ってどんな人③

2021.02.11

【家族信託】受益者代理人ってどんな人③「受益者代理人」は、受益者に代わり、適切かつ迅速な意思決定を行うために非常に強力かつ排他的な権限を有します。

そのような強力な権限を持つ「受益者代理人」には、どのような人を選ぶべきなのでしょうか?

 

前回の記事はこちら:【家族信託】受益者代理人ってどんな人①
          【家族信託】受益者代理人ってどんな人②

まず、「受益者代理人」は適切かつ迅速な意思決定をする必要があるので、未成年者や当該信託の受託者は、「受益者代理人」になることができないと定められています(法144条、同124条)。

未成年者や当該信託の受託者以外であれば誰でも「受益者代理人」に就任できます。そのため、家族の中から受益者代理人を選ぶことが可能です。

たとえば、長男を受託者、次男を受益者代理人とすることができます。
繰り返しになりますが、「受益者代理人」の権限は非常に強いことから、当該家族信託契約の中に「受託者」と同等の権限を持つ者が存在することになります。

そのため、「受益者代理人」を設置した場合、財産管理の方針を決める「船頭」が二人いることになり、財産管理の方針の違いから対峙してしまうと「船頭多くして船山に上る」状態になる危険性があります。
親の財産を巡って、兄弟姉妹間の争いが生じることが少なくありません。
そうすると、家族から「受益者代理人」と「受託者」を選ぶことは、将来の争いを生じさせる危険性を生んでしまいかねません。

では、弁護士・司法書士などの専門職に「受益者代理人」に就任してもらうことはどうでしょうか?
この点、家族信託の制度設計に関わった法律専門職を頼ること自体は悪くありません。しかし、法律専門職であっても第三者ですから、受益者と同じ立場に就任させてよいか、すなわち、本当に信頼できる人物であるかは、なお慎重に考えなければなりません。

家族信託の制度設計としては、「受益者代理人」を最初から設置するのではなく、「受託者」が急病や事故で意思表示ができなくなった場合に備えることもできます。「受託者」は死亡・後見人が就くなどしない限り、当然に「受託者」でなくなることはありません。

それ以外の場合、「受託者」が辞任の意思表示することが必要になります。急病や事故で意思表示ができなくなった場合、「受託者」に後見人がつかない限り、「受託者」を辞任できず、「家族信託」に関する業務が停滞することになります。

そこで、「受託者」が意思表示できなくなった場合、指定した人が「受益者代理人」に就任の承諾をすることを条件に、「受益者代理人」の任務を開始するようにしておけば、成年後見人がいなくとも、「受託者」を解任して、信託事務を続けることができます。

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