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相続人調査はどこまでやるべき?戸籍収集の範囲・手順と調査を行うメリットを弁護士が解説

2025.03.13

相続が発生すると、まず確認しなければならないのが「誰が相続人なのか」という点です。相続税の申告や遺産分割協議、相続放棄の手続きでも、相続人調査を行わずに進めてしまうと「実は別の相続人がいた」「戸籍収集に漏れがあり、法定相続人が把握できていなかった」というトラブルが起こりかねません。
とりわけ相続人に兄弟姉妹、甥や姪が絡む場合や、被相続人が死亡するまでに何度も転籍・改製をしていた場合は、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍といった多くの書類を取り寄せる必要があります。実際に作業を行うと負担が大きく、「どこまで集めればいいのかが分からない」と悩まれる方は少なくありません。
本記事では、遺産分割を円滑に進めるために必要な相続人調査の基礎知識・範囲(どこまで調べるのか)・具体的な手順を詳しく解説していきます。また、実務上多いトラブル事例や、弁護士に依頼するメリット、費用や期間の目安も紹介しますので、相続人調査に行き詰まっている方はぜひご覧ください。

もくじ

1.相続人調査とは?なぜ必要なのか

相続人調査とは、被相続人(亡くなった方)の戸籍(改製原戸籍・除籍謄本など)を通して、法定相続人が誰なのかを確定する手続きです。相続税の計算や遺産分割協議、あるいは相続放棄など、あらゆる相続手続きにおいて「誰が相続する資格を持つのか」を明確にしておかないと、後になって相続人が追加で見つかったり、協議そのものが無効になったりするリスクが高まります。
相続の現場では、被相続人が意外なところで婚姻歴や離婚歴を持っていたり、認知した子供がいたりといった例もあり、「自分はその存在を知らなかった」というケースが少なくありません。こうした相続人の確認漏れが起こると、遺産分割協議をやり直すことになり、トラブルが発生する可能性が非常に高いのです。
そのため、相続人調査は「単に戸籍を集めるだけ」にとどまらず、法定相続分の計算や相続放棄の手続きにおいても重要な作業になります。相続を円滑に進めるうえで不可欠な工程であり、専門家のサポートを得ることで余計な時間・労力を節約できるでしょう。

2.相続人調査の範囲はどこまで?戸籍収集のポイント

①法定相続人の範囲と順位

相続人調査を行う際は、まず民法上の法定相続人の範囲と順位を理解する必要があります。順位は以下のとおりです。

①配偶者は常に相続人(+各順位と共存)
②第1順位:子(実子・養子・認知された子)
③第2順位:直系尊属(父母・祖父母)
④第3順位:兄弟姉妹

被相続人に子がいる場合は、第2順位・第3順位には相続権がありません。しかし、子がいない場合は直系尊属、さらにそれらもいない場合には兄弟姉妹が相続人になります。さらに、兄弟姉妹がすでに死亡している場合には、甥や姪が代襲相続することになるため、相続人調査の範囲が拡大することも珍しくありません。

②代襲相続や数次相続がある場合の注意点

被相続人より先に相続人が死亡していた場合、死亡した相続人の子(甥・姪)が相続人になる「代襲相続」が発生します。また、相続が連続して起こる「数次相続(父が亡くなり、その父の遺産分割が終わる前に母が死亡する等)」がある場合は、より多くの戸籍をさかのぼる必要があります。こうしたケースは相続人調査が複雑化しやすいため、戸籍の取得範囲も拡大しがちです。

③「どこまで」戸籍をさかのぼって集める必要がある?

相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になります。具体的には、被相続人が最初に記載された戸籍(出生時の戸籍)から最後に記載された戸籍(死亡時点の戸籍)まで、一つ一つ欠けなく取り寄せることが原則です。改製原戸籍や除籍謄本など、古い戸籍を取得する際は本籍地の役所や郵送請求などを利用しますが、転籍を何度も行っていると複数の役所を回らなくてはならず、誤りや漏れが起こりがちです。

3.実際の相続人調査の手順

STEP1:被相続人の本籍地・除籍謄本・改製原戸籍を取り寄せる

相続人調査の第一ステップは、被相続人の本籍地を調べて「除籍謄本」「改製原戸籍」「戸籍謄本を取得することです。現在の本籍地がわかっている場合は、その役所で必要書類を請求すれば、過去に本籍が移動している場合の手がかりも得られます。ただし、被相続人が何度も転籍をしていると、一つ前の本籍地、さらにその前の本籍地というように段階的に調べる必要が生じ、煩雑になりやすい点には注意が必要です。

STEP2:改製原戸籍・除籍謄本を時系列にチェック

改製原戸籍や除籍謄本には、被相続人や親族の出生・婚姻・離婚・死亡など、さまざまな情報が記載されています。これらを時系列で並べ、「兄弟姉妹がいるか」、「認知された子がいないか」、「既に死亡した子に代襲相続がないか」を丹念に確認する必要があります。もし漏れがあると、その後の遺産分割協議が無効になりかねないため、慎重に行いましょう。

STEP3:兄弟姉妹・甥・姪がいるケースで確認すべきこと

兄弟姉妹が相続人になるケース(被相続人に子どもがいない場合や、直系尊属がいない場合)は、被相続人の両親・祖父母の戸籍も収集しておく必要があります。さらに、その兄弟姉妹が死亡している場合には甥・姪が相続分を引き継ぐため、彼らの出生まで遡って戸籍を調べる必要が出てきます。このように、当初の想定より調査範囲が大きく広がる可能性がある点に注意してください。

4.相続人調査を行わないとどうなる?リスクとトラブル事例

遺産分割協議が無効になる可能性

相続人が1人でも欠けた状態で締結された遺産分割協議は、原則として無効となります。せっかく遺産分割案をまとめても、後から「実は他に相続人がいた」と判明すれば、協議を最初からやり直さなければなりません。

予期せぬ「新たな相続人」の登場によるやり直し

被相続人に認知された子どもがいたり、前婚姻関係で生まれた子どもを知らなかったりといったケースは、現実に多く存在します。相続分の再計算を余儀なくされ、兄弟間のトラブルに発展することも珍しくありません。

相続放棄・名義変更でも必要な調査

相続放棄を検討している場合でも、法定相続人全員の意向を確認する必要があり、誰が放棄して、誰が遺産を承継するのかを正確に把握しなければなりません。不動産の名義変更(相続登記)預貯金の払い戻し手続きでも、金融機関や法務局に提出する書類として、相続人全員の確認が要求されるため、相続人調査が不十分だと手続きが進められないのです。

5.住所や連絡先が分からない相続人がいる場合の対処法

戸籍の附票を活用する

行方が分からない相続人を探すには、まず戸籍の附票を取得して住所を調べる方法があります。戸籍の附票には、戸籍上の本籍とともに住民票の移動履歴が記載されており、最新の住所を見つけられる可能性があります。

住民票の移動歴や不明者の家族をたどる

住民票の移動歴が複数回ある場合には、それぞれの住所をたどっていく必要があります。途中で親族が転居しているかもしれませんし、不明者の家族が同居しているかもしれません。地道な作業になりますが、遺産相続を円滑に進めるうえでは欠かせない工程です。

専門家への依頼も選択肢に

どうしても所在が分からず、かつ期限が迫っているなどの場合は、弁護士に相続人の所在調査を依頼することも可能です。ただし、個人情報に関わるため、違法な手段を用いない範囲での調査となります。

6.相続人調査を弁護士に依頼するメリット

①複雑な戸籍や古い除籍・改製原戸籍にも対応

相続人調査で苦労しがちなポイントは、被相続人が何度も転籍していたり、古い戸籍(除籍・改製原戸籍)が手書きのため解読が難しかったりすることです。弁護士に依頼すれば、これらの戸籍を正確に読み取り、相続人を漏れなく特定することができます。兄弟姉妹や甥・姪が絡む複雑なケースでも安心です。

②平日に必要な役所手続きや書類取得を代行

戸籍の請求や住民票などの書類を取得するには、平日に役所へ出向いたり郵送手続きを行ったりする必要があります。仕事をしながら個人で進めるのは大変ですが、弁護士事務所に相続人調査を依頼することで弁護士が調査を代行できますので、依頼者の負担を大幅に軽減できます。

③遺産分割協議までスムーズに進められる

相続人調査が完了したら、その後は遺産分割協議を行う必要があります。相続人の調査から弁護士に依頼をしておくことで、その後の遺産分割についても必要であればそのまま継続して対応を依頼できますのでスムーズです。

7.相続人調査にかかる費用と期間の目安

戸籍の取り寄せ費用・郵送費

戸籍・除籍謄本・改製原戸籍などを取得する場合、1通あたり数百円の手数料がかかります。たとえば被相続人が何度も本籍地を変更している場合は、その分だけ多くの戸籍を請求しなければならず、郵送費も増加します。相続人が複数いる場合は、対象の戸籍を特定することも大変になるため、各自で集めるよりも弁護士などの専門家に一括して集めてもらったほうが効率的なケースも多いです。

弁護士へ依頼した場合の費用

相続人調査を弁護士に依頼すると、戸籍収集代行費調査費用といった名目で費用が発生します。事務所によって料金体系は異なりますが、相続財産の規模や戸籍の数、調査の難易度などに応じて見積もりが出されるのが一般的です。

通常どのくらいの期間で完了する?

戸籍が少ないケースであれば、数週間から1カ月程度で相続人調査が完了することもあります。一方で、被相続人が海外に長く住んでいた兄弟姉妹が行方不明になっている数次相続が絡むといった複雑な事例では、2~3カ月以上かかることも珍しくありません。相続人調査の後の遺産分割協議にかかる期間や相続税の申告期限(死亡から10カ月)を考慮し、早めに着手するのが得策です。

8.よくある質問—相続人調査のQ&A

Q1:「相続人を調べるのに、両親の結婚や離婚歴まで見ないといけない?」

被相続人が生まれた時点から、結婚・離婚を経て、死亡するまでの戸籍を確認する必要があるため、結果的に両親(先代)の結婚や離婚歴に関する記載も含めてチェックが必要になる場合があります。兄弟姉妹の有無や認知がないかを確認するうえで、両親の婚姻関係がいつからいつまでだったのかは重要な情報です。

Q2:「行方不明の相続人がいるときはどうする?」

行方不明の相続人が見つからないと遺産分割協議が進められません。その場合は、戸籍の附票を取り寄せたり、不在者財産管理人を選任して家庭裁判所の手続きを踏んだりする方法があります。専門的な対応が必要になりやすいので、弁護士に相談するのが確実です。

まとめ—相続人調査は丁寧に行い、後々のトラブルを回避しよう

相続手続きでは、被相続人の相続人が誰なのかを確定する「相続人調査」が極めて重要です。戸籍を漏れなく収集し、兄弟姉妹や甥・姪、認知された子など、想定外の相続人がいないかを細かくチェックしなければ、遺産分割協議のやり直しなど、大きな問題を引き起こしかねません。
特に、死亡した被相続人の戸籍をもとにどこまでの範囲で相続人の戸籍を取らなければいけないのか、古い除籍謄本・改製原戸籍をどのように取得し、読み解くのかなど、慣れていない方にとっては負担の大きい作業です。時間と労力をかけても不備が見つかった場合には、再び書類を請求する手間が生じるため、スムーズに進めるためのコツとしては、専門家(弁護士・司法書士など)に相談するのが最適といえます。

弁護士法人Nexill&Partnersでは、初回無料相談を通じて、相続人調査の必要書類や調査の範囲、費用などを詳しくご案内しています。被相続人の死亡後は相続税申告の期限(10カ月)も念頭に置く必要があり、対応が後回しになるほどトラブルリスクが増大します。まずはお気軽にお問い合わせいただき、専門性を活かしたサポートをご活用ください。後々の紛争や二度手間を防ぎ、安心して相続手続きを進めるためにも、丁寧な相続人調査を行うことが何より大切です。

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