被相続人が死亡する前に、相続人となるべき人(以下「推定相続人」といいます。)が既に死亡していた場合以外にも、代襲相続が発生することがあります。それは、被相続人が相続人を廃除した場合や、相続人が相続欠格者となった場合です。
相続人の廃除とは?
相続人の廃除とは、相続人から被相続人に対して重大な侮辱行為や虐待、その他の著しい非行があった場合に、被相続人が自らの意思によってその相続人から「相続人としての権利」を剥奪することです。廃除を行うには2つ方法があり、1つは被相続人が生存中に自ら家庭裁判所に申立てを行う方法、もう1つは被相続人が遺言書によって廃除の意思表示をする方法です。相続人の廃除が認められると、相続人は民法で一定の相続人に最低限保障されている「遺留分」を請求する権利も剥奪されることとなります。
相続の欠格とは?
相続の欠格とは、相続人が被相続人に危害を加える等の生命を脅かす行為を行った場合や、詐欺や脅迫により遺言書を偽造・破棄する等の行為を行った場合に、相続人としての権利を失うことをいいます。相続欠格事由に該当する相続人は、被相続人の意思に関係なく、法律上当然に相続権を剥奪されることになります。
廃除・欠格の場合の代襲相続について
相続人の廃除・欠格は、各推定相続人個人の問題を原因とするものであるため、その子供や孫の責任まで問われるわけではありません。被代襲者が既に死亡してしまっていた場合だけでなく、相続権を廃除された場合や、相続欠格事由に該当する場合にも代襲相続が発生します。推定相続人に子供がいれば子供が代襲相続をすることになるため、廃除・欠格が発生したとしてもその家系に対する相続分は変わらないという結論になります。