もくじ
ご相談事例
父は姉のために借金を肩代わりしていました。
相談内容
父が、2ヶ月前に亡くなりました。
姉には、300万円の借金がありましたが、父は姉のために借金を肩代わりしていました。
私は、姉だけ特別扱いされて不公平だと思って、2年前、姉に、父に肩代わりしてもらった借金はきちんと返すよう言いました。
しかし、姉は、「関係のない話だ!父と私の問題に口をはさむな!」と言って、これ以上話はできませんでした。
この頃から折り合いがかなり悪くなりました。
今では口もきけない状態で、遺産分割の話し合いをできる状態ではありません。
- 相談者・・・長男(依頼者)
- 被相続人・・・父
- 相続人・・・長女
弁護士の対応
1.はじめに
ご家族が亡くなられた場合、相続人は、遺産全体を把握して、遺産分割協議を行う必要があります。
そこでまず、預貯金・不動産・株式等、被相続人の遺産全体を把握し、相続人全員が、遺産全体を把握する必要があります。
2.生前の贈与・遺贈について
ご相談者様の話によりますと、被相続人である父が、相続人である姉に対し、生活費を援助したり、借金を肩代わりしていたとのことでした。
ご相談者様としては、他の相続人が、特別扱いを受けているのであれば、不公平感を感じることは当然のことです。
そこで、このような不公平を解消するために、特別受益という制度が存在します。
3.特別受益の計算方法
特別受益とは、相続人に対する生前贈与・遺贈分を、相続財産に持ち戻した上で、具体的な相続分を算定することをいいます。
具体的な計算方法は以下になります。
- ①みなし相続財産=相続財産+特別受益分
- ②具体的相続分=みなし相続財産×各相続人の法定相続分
- ③特別受益控除後の具体的相続分=具体的相続分-各相続人の受けた特別受益
4.借金の肩代わりが特別受益となるか
借金の肩代わりが、特別受益となるかは、まずは借用書等の契約書があるかを確認する必要があります。
あった場合、もはや貸付の請求権を放棄しているとの事情があれば「生計の資本としての贈与」に該当すると考えられます。
5.本件での成果
本件では、借金の肩代わりに関する借用書が存在しました。
しかし、これは時効で消滅していること、父から姉に対し、請求したような事実はないことから、特別受益であると主張しました。
ご相談者様と姉の仲がそもそも悪かったとの事情もありましたが、早期に代理人として弁護士が介入することで、話し合い自体はスムーズに進みました。
一方で、特別受益に関し、遺産分割調停及び遺産分割審判のフェーズとなると立証の困難性があるため、遺産分割協議の段階で、いただいた資料をもとに粘り強く交渉を続けたところ、姉は理解を示され、借金の肩代わり分を相続財産として、持ち戻すことに同意してくれました。
仮に、調停、審判の段階であれば、このような解決は望めなかった可能性すらあり、早期に弁護士に相談することが重要であることを示した事例でもあります。
ご相談事例・解決事例の掲載について
事例回答はあくまでご参考となります。
実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。
※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。
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KOMODA LAW OFFICE(菰田総合法律事務所)
2013年に開業した、弁護士、司法書士、税理士が在籍する総合法律事務所です。
年間680件以上の相続相談実績があり、相続関連業務の弁護士(代理人)業務だけではなく、相続手続きから相続登記、相続税申告まで全てをワンストップで解決できる相続特化の法律事務所として、福岡県内だけでなく、県外からのご相談者様も多数いらっしゃいます。