養子縁組には2種類あり、「普通養子縁組」「特別養子縁組」があります。
今回は、「普通養子縁組」について成立に必要な条件や普通養子縁組が成立したことで何が変わるのか、などご説明いたします。
1.養子縁組とは
まずは、養子縁組を簡単に説明しますと、
養子縁組とは、「人為的に血縁関係とは無関係に親子関係を発生させること」をいいます。
2.普通養子縁組
(1)普通養子縁組とは
普通養子縁組とは、養子と実親との親族関係は終了させないまま、養子は、養親・実親と親子関係を持つ縁組のことをいいます。
(2)普通養子縁組の成立に必要な条件
普通養子縁組を成立する為には、下記5つの条件が満たされている必要があります。
②養子となる者が養親となる者よりも年長者でないこと
③養親となる者に配偶者がおり、未成年者を養子とする場合には、原則として夫婦が共同で縁組をすること
④養子縁組の届出をすること
⑤養親となる者と養子となる者の間に意思の合致があること
(3)普通養子縁組の効果
養子縁組をすると何が変わるのかについて、項目に分けてご紹介いたします。
①養親の氏を養子が称する
ただし、養子が婚姻により、氏を改めている場合においては、婚氏が優先となります。
②養子の戸籍
普通養子縁組が成立すると、養子は養親の戸籍に入り、養子の戸籍には「父母欄」に加え「養父母欄」が設けられます。
しかし、養子が婚姻により、氏を改めている場合は、戸籍の変動はありません。
また、夫婦で養子となる場合や養子が既婚でありかつ、氏を改めなかった場合は、その夫婦に新戸籍が編成されます。
③親権
養子縁組が成立すると、実親は養子に対する親権を喪失、養子の親権は養親が持つ形となります。
④相続権
普通養子縁組の場合、養子は実親との親族関係にあるため、実親の相続又、養親の相続をすることが可能です。
⑤養親・養子・養子の子・実親の血族関係
養子の子(=養親又は実親にとって、孫にあたる者)と養親・実親との血族関係は、養子の子が縁組前に出生したのか、縁組後に出生したのか、により異なります。
⑥相続税の基礎控除額
普通養子縁組で養子となった者は、日本の法律上、法定相続人に含まれるため、基礎控除額の算定にカウントされます。
しかしながら、「被相続人(=亡くなった養親)に実子がいる場合は、1人まで」「被相続人(=亡くなった養親)に実子がいない場合は、2人まで」と制限が設けられております。
※養子を法定相続人に含め、不当に相続税を減少させていると判断された場合、その養子は、法定相続人に含まれない可能性もございます。
3.まとめ
今回は、また2種類ある養子縁組のうち「普通養子縁組」にスポットを当てて、ご説明しました。
次回は、「特別養子縁組と相続」についてご説明します。
相続にあたって、養子縁組を考えられている方はぜひ参考にされてください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
弁護士法人菰田総合法律事務所
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