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自分の思いどおりに相続させたい人が知っておきたい3つの方法 ①~生前贈与編~

2023.07.21

遺言書を残す人は、近年少しずつ増加しているとは言え、まだまだ生前贈与や遺言書を作成せずに亡くなっている方が多く、現在行われている相続のほとんどは、民法に規定のある法定相続により行われ、「妻が全財産の2分の1、子が2分の1(子どもが複数人いれば均等に分けます。)」を相続しています。
この法律に釈然としない気持ちを抱いた人も多いのではないかと思いますが、苦労して築いた財産、出来ることなら自分の思い通りに渡していきたいもの。

自分が亡くなった後、家族が争わないで済むように、自分自身も財産の整理を行う事で気持ちよく今後を過ごせるように、相続について早めに考え、思い通りに相続を成功させていきましょう。

1.相続の方法

法律上、自分の思い通りに相続させるための方法は、以下の3つがあります。

①生前贈与
②遺言書による相続
③死因贈与と遺贈

ここからは、それぞれの制度について詳しくお話させていただきます。

2.生前贈与

生前贈与とは、生きているうちに財産を無償で渡す(贈与する)ことです。
生前贈与には不動産や物(動産)のように現物を渡す方法と、現金で渡す方法などがあります。
生前贈与で気を付けて置くべき点は、一度贈与してしまうと、自分の財産が減るということです。
当たり前の事ではありますが、このことは老後のための自分の財産が少なくなることを意味します。
老後にどの程度の財産が必要なのかは、その人の寿命にもよりますので、一概には言えませんが、月々の生活費および収入を試算し、慎重に決めるべきです。

また、贈与する際に贈与税が発生するので、その点は注意しておきましょう。

3.遺言による相続

遺言とは、自分の死後にその効力を発生させる目的で、生前に書き残しておく意思表示のことです。
遺言では、遺留分を侵害しない範囲で民法で定められた法定相続分と異なる相続分を指定したりすることが可能です。
もっとも、遺言が存在する場合でも、相続人全員が同意すれば遺言によらず遺産分割を行うことは可能であるため、遺言どおりに相続されたかどうかを知る事が出来ません。
遺言が形式不備で無効になったり、遺言書を紛失、破棄されたりなど、遺言どおりに相続されないケースもよくあります。
こうした事態を避けるには、公正証書遺言を作成し、遺言執行人を指定しておくと良いでしょう。
また、法律上は10年も前にした遺言でも有効です。
しかし、現実には、本人の気持が変わっていたり、財産や相続人の状況も変わります。遺言は、一度書いたからと言って放置するのではなく、適宜書き換える努力も必要です。

自分の思いどおりに相続させたい人が知っておきたい3つの方法 ①~生前贈与編~

4.死因贈与と遺贈

死因贈与とは、「自分が死んだ場合は○○をあげる」という約束(契約)です。
通常の贈与契約と同じく口頭でも契約は成立しますが、書面によらない贈与契約は、履行が終わるまでは、いつでも撤回できます。

遺贈とは、相続人以外の人に遺言で贈与することです(相続人に法定相続分を超える相続財産を与える場合も含みます)。
死因贈与との違いは契約ではないことで、受遺者の承諾なしに効力を生じます(受遺者が受け取りたくなければ、相続と同じく「放棄」をすることもできます)。
遺贈をするときは、遺留分を侵害する恐れもあるため相続人とのトラブルを避ける配慮をするべきでしょう。

以下では、先程ご紹介したそれぞれの制度のメリットとデメリットをお話致します。

①生前贈与
メリット

財産を渡すには最も確実な方法で、生きているうちに贈与されたことが自分の目で確認できます。
また、条件を付ける事も可能なので、妻のこれからの生活の面倒を見ることなど(負担つきで)、特定の子などに贈与をすることもできます。
ただし、抽象的な表現でなく、具体的な条件をつけることが必要です。

デメリット

一度渡してしまった財産は、原則、取り戻すことはできなくなるので、老後の生活資金が少なくなります。
また、財産を贈与した後は、子などの相続人からないがしろにされないとも限りません。
相続税よりも高い贈与税もかかって来ることも注意が必要です。

死因贈与
メリット

契約は口頭でも成立する上に、遺言に書くなどの面倒な手間がありません。
ただし、通常は証拠のために契約書を作成します。
また、契約なので、履行される確実性は高いです。

デメリット

口頭の契約(約束)では、契約の履行が贈与者の死亡後になる為、契約があったことの立証が困難になります。

婚姻外女性への贈与では、公序良俗違反(民法90条)が問題となる事もあります。
また、遺留分を侵害した場合、相続人から遺留分侵害額請求がなされる場合もあります。
 

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弁護士法人菰田総合法律事務所

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