養子縁組とは、血縁上の親子関係がない者同士に、法律上の親子関係を成立させるための制度です。
養子縁組をすることで法定相続人の数を増やすことができるため、代表的な節税対策の1つとして知られています(ただ、養子縁組で相続税の節税を行える範囲は限度が決められていますので、要注意です。)。
今回は前回に続き、養子縁組について説明します。
前回の記事はこちらから:養子縁組とは?
1.普通養子縁組の場合
養子縁組の届出がされると、養子は実親の戸籍から除籍されるとともに、養親の戸籍に入ります。
養子は実親の戸籍から除籍されますが、前述したとおり親子関係が切れることはありません。
また、養子は養子縁組届を出した日から、養親の嫡出子になり相続などの権利は実子と同じ割合で持ちますが、養子の続柄は実子が「長男」「長女」等と書かれるのに対して、養子は「養子」と記載されます。
戸籍に実親の名前が記載される点も、特別養子縁組を行った場合の戸籍表記と異なります。
2.特別養子縁組の場合
特別養子縁組の届出がされると、まず養子が実親の戸籍から除籍されるとともに、養子を筆頭者とする単独の新戸籍が作成されます。
この時点で、養子の氏は養親の氏と同一となり、父母欄には養父母の氏名が記載されます。
その上で、養子は新戸籍から養親の戸籍に入籍することになります。
養親の戸籍において、養子の続柄は、「長男」「長女」のように実子と同様の記載がされます。
このように一度新戸籍を編製することで、養親の戸籍に記載されている養子の欄には、「従前戸籍」として新戸籍(筆頭者は養親の氏を称する養子)が記載されることとなるため、養親戸籍の養子の欄には実親の氏名や、養子の元の氏(実親の氏)が記載されなくなり、一見すると養子縁組がなかったかのような外観となります。
もっとも、養子の「身分事項」欄には、「民法817条の2」と記載されるため、養子が特別養子であることを知る手がかりは残されています。
なお、養子が養親の戸籍に記載されている場合を念頭に置くと、特別養子縁組における養子は「戸籍に記載されている者」として、養親戸籍の謄本等の交付を請求することができ、「その戸籍から除かれた者」として、新戸籍及び実親戸籍に係る戸籍謄本等の交付も請求することができます。
一方で、特別養子縁組が成立した場合には、もはや、養子は実親の「直系卑属」には当たらないため、実親が実親戸籍(特別養子縁組成立時のもの)から除籍されている場合には、養子は、原則としてそれ以降に実親が入籍した戸籍に係る戸籍謄本等の交付を請求することができません。
実親は、特別養子縁組の成立以降は養子の「直系尊属」には当たらないため、新戸籍・養親戸籍等・特別養子縁組成立以降に養子が入籍した戸籍に係る戸籍謄本等の交付を請求することは出来ません。
3.まとめ
今回は養親と戸籍についてご説明させていただきました。
戸籍謄本の取得手続きに不安を感じられている方は、市町村役場や専門家にご相談されてみるといいでしょう。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
弁護士法人菰田総合法律事務所
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