遺言書が本人の真意かどうか疑わしい
見つかった遺言書が有効かどうか争われるケースというのは、意外とたくさんあります。
「法的な要件を満たしていない」
「判断能力がないのに遺言書を書いている」
「本人は判断できたかもしれないが、生前の意向とあまりにもかけ離れており、他の相続人に丸め込まれて書いたものなんじゃないか?」
など、実際に遺言書が残っていたとしても、有効性がないのではないかということで揉めているケースは多いものです。
遺言書が有効かどうかは裁判所しか決められない
あまり知られていないかもしれませんが、今ある遺言書が有効かどうかということについて、最終的に判断をするのはご自身でも相手方でもなく、裁判所なのです。
そのため、裁判所が有効だと判断すれば遺言書通りに遺産を分けることができますし、無効だと判断すれば、遺言書は無かったものとしてゼロから遺産分割協議を行う必要が出てきます。
このように、遺言書が有効かどうかを唯一決められるのは裁判所になるので、何らかの事情があって「遺言書が無効なのではないか?」と疑いを持った相続人がいる場合は、管轄の地方裁判所に対して「遺言無効確認訴訟」という裁判を提起することになります。
客観的な証拠集めは難しい
遺言書の有効性に疑問がある場合は、裁判所に訴訟を提起した上で、裁判所の判断を仰ぐことになります。
そのため、有効性を証明するためには多くのことを考えていかないといけません。
なぜなら、遺言書の有効性を判断するうえでは、残された遺言書が本人の真意に基づいているかどうかという部分が重要になるものの、作成した本人は既に亡くなっていますし、作成自体も過去のことです。
その時に実際どういう状態で遺言書が作られたのかという本人の真意や作成状況は、今となっては神のみぞ知るという状態です。
しかし、裁判所で遺言書が有効かどうかを決めるとなると、必ず客観的な資料が必要になります。
(裁判所は客観的な証拠を最重要視しますので、この資料がないと証明が非常に厳しくなります。)
本人がどの程度の判断能力があったのかが第三者から見ても明らかになるような根拠資料を含めて、遺言書が作られた過程を裏付けするための様々な専門的な資料を収集し、当時の状況を想像しながら、裁判所に対して証明していく手続きになりますので、弁護士が間に入らずに全てを裁判所に説明しながら進めていくのは中々難しいことが予想されます。
訴訟を見据えて弁護士に依頼を
遺言書が有効かどうか疑問があるという方は、その先の訴訟を見据えて動く必要がある方になりますので、必ず弁護士に相談に来ていただきたいです。
作成された遺言書をめぐって争われるのは様々なケースがあり、経験とノウハウが大事になってきますので、相続の取扱い実績が豊富な事務所にご相談されることをお勧めします。