- HOME>
- 遺産分割
遺産分割協議・調停・審判
遺産分割についてお悩みの方へ
相続の問題では一般的に、相続に関するトラブルが発生した場合に弁護士に相談に来られる方が多いです。しかし、一度トラブルが発生してしまうと、解決するためには相手方と交渉を行い双方が納得する解決策を見つけなければなりません。
相続に関するトラブルが泥沼化したり長期化したりするのを防ぐためには、トラブルが発生する前の段階で弁護士に相談し、遺産分割協議を円滑に進めるためのアドバイスを受けることが重要です。
また、相続について考える上で、相続税申告は切っても切り離せない問題です。遺産分割の方法によって相続税が変わるため、相続税申告まで考慮した上で遺産分割について検討することが非常に重要です。
遺産分割問題については、「>>遺産分割専門ページ」もご確認ください。
遺産分割協議
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、相続人全員で相続財産をどのように分けるかを協議することです。被相続人の遺言がある場合、遺言書に従って相続が行われるのが一般的ですが、遺言書がない場合は遺産分割協議を行わなければなりません。
遺産分割協議の方法
遺産分割協議は、相続の開始後は原則としていつでも可能です。遺産分割協議は、必ず法定相続人全員で行わなければなりません。もし1人でも遺産分割協議に参加していない相続人がいた場合、遺産分割協議は無効になってしまいます。
遺産分割協議の内容
通常、被相続人が死亡したら、法定相続分通りの遺産分割が行われます。しかし、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議において相続財産をどのように分割するか自由に決めることができます。特定の相続人1人が全て相続することや、特定の相続人1人だけ何も相続しないといった内容でも可能です。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議がまとまれば、協議内容を遺産分割協議書として作成します。協議書は相続人の人数と同じ通数を作成し、相続人全員が各自1通ずつ原本を保管します。協議書の書式に決まりはありませんが、以下の点に気を付けて作成しましょう。
- 被相続人の名前、相続日(死亡日)、協議した相続人を明記すること
- 相続財産一覧を正確に記載すること
※土地や建物の不動産は、登記簿謄本や権利証に照らして所在と地番・家屋番号を正確に特定すること
※預貯金や株、生命保険解約金などは通帳や証券に照らして正確に特定すること - 相続財産の処分内容を具体的に記載すること
- 代償分割の場合は、代償内容と支払期限を記載すること
- 相続人全員により直筆で署名・捺印し、印鑑証明書を添付すること
遺産分割調停
遺産分割調停とは?
遺産分割協議を行っても協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停とは、家庭裁判所の調停委員を交え、当事者間の主張を整理し双方が納得する解決策を話し合う手続きのことです。
調停では、調停委員が当事者双方から事情を聞き、必要に応じて資料の提出を求めたり、不動産鑑定を求めたりして双方の主張を整理します。そして、分割方法について解決案を掲示したり、解決のために必要な助言を行ったりします。
遺産分割調停の申立て方法
遺産分割調停を申し立てる場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。申立てに必要な書類と費用は以下の通りです。
(申立必要書類)
- 申立書とその写し(※写しを相手方の人数分)
- 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票又は戸籍の附票
- 相続財産に関する証明書
※相続財産の種類に応じて、以下の各種証明書を提出する必要があります。 - 土地や建物等の不動産の場合…不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書
- 預貯金の場合…残高証明書や通帳の写し
- 有価証券の場合…証券の写し
※この他、相続人にどの立場の人が何人いるかによって提出書類が異なります。
(申立費用)
- 収入印紙(被相続人1人につき1,200円)
- 郵券(裁判所によって異なります。各裁判所のホームページに記載されています)
遺産分割調停の内容
遺産分割調停の期日は回数や期間に制限がないため、合意が成立する可能性がある限り調停が行われます。調停期日を重ねても双方が納得できず話し合いがまとまらなければ、調停は不成立となります。
調停はあくまで調停委員を交えた話し合いであるため、合意が成立する見込みがない場合にどちらかの当事者に結論を強制付けることはできません。調停が不成立となった場合、自動的に遺産分割審判に移行となります。
一方、双方が納得できる内容で合意がまとまれば、調停は成立となります。調停が成立すると、裁判官により合意内容が記載された調停調書が作成されます。この調停調書は、確定した判決と同じ効力を持つため、金銭の支払等を約束した場合当事者はこれを守る必要があります。
約束が守られない場合、調停調書をもとに強制執行等の手続きを行うことができます。また、調停調書によって、相続登記の手続きや預貯金の払い戻し等の相続手続きも行うことができます。
遺産分割審判
遺産分割審判とは?
遺産分割調停での話し合いがまとまらず調停が不成立に終わった場合、遺産分割審判の手続きへ移行します。調停は話し合いで解決することを目的としているのに対し、遺産分割審判は当事者が自らの主張とそれを立証する証拠を準備し相手方と争う仕組みになっています。
相手方から反論があれば、さらにそれに反論する書面と立証できる証拠を提出して議論を繰返すことで審判の手続きを進行するため、調停と比べてより法的な知識が求められます。
遺産分割審判の内容
遺産分割審判の期日は、回数や期間に制限がないため、双方の相続人の主張内容や争点が整理されるまで期日が開かれます。当事者による議論が尽くされた後、裁判官が双方の主張と証拠を踏まえた上で、審判を下します。
審判が行われると、家庭裁判所から当事者に審判書が送付され、審判書の送達後2週間で審判内容が確定します。
審判の確定後は、審判書によって各種相続手続きを行うことができます。また、審判書は判決と同様の執行力があるため、差押等の強制執行手続きも可能となります。
審判の決定内容に不服がある場合、審判の送達から14日以内であれば即時抗告という不服申立てを行うことができます。抗告をすると高等裁判所の判断を仰ぐことができ、高等裁判所が抗告に理由があると認めた場合は家庭裁判所へ差し戻しとなります。理由がないと判断された場合は棄却されます。
・遺産分割問題については、「>>遺産分割専門ページ」もご確認ください。
当事務所の遺産分割のご依頼の流れ
遺産分割のご依頼があった際に、基本的な進め方について簡単に説明します。
遺言書の種類や有無・財産状況・相続人などの状況が違うと遺産分割の方法も変わってきます。
遺言書の有無
遺言書がある場合
遺言書が全遺産を網羅していれば遺言書によって相続手続が可能です。
※網羅していない場合には漏れている部分について遺産分割協議が必要です。
※遺言執行者が選任されていない場合には相続手続に滞りが出ることもあります。
※時効(1年)に注意が必要です。
遺言書がない場合
遺産分割協議が必要です。
遺産の範囲の確定と遺産の評価
ア.財産の範囲を調べる
(ア)不動産
①名寄帳(固定資産課税台帳)の入手
市町村単位で入手可能です。
※固定資産税が非課税の物件は記載されません。
②登記簿の取得
※登記を網羅したものはないので注意が必要です。
(イ)預貯金
①各銀行に一括照会をかける
※JAなど、全国の全支店を調べられないものもありますので注意が必要です。
※全銀行の一括照会の制度は現時点では存在しないため、銀行にあたりを付け調査する必要があります。
(ウ)有価証券
①各証券会社に一括照会をかける
②証券保管振替機構への照会
(エ)生命保険
①各保険会社に一括照会をかける
②一般社団法人生命保険協会への照会
※死亡保険金は原則遺産の範囲に含まれないが、受取人が被相続人の保険や、被相続人より先に受取人が死亡している場合の死亡保険金には相続財産になるので注意が必要です。
イ.財産の評価をを調べる
(ア)不動産
①固定資産評価証明書
※時価の5~7割の相場です。
②路線価・倍率評価(相続税評価額)
※路線価については補正等を考慮する場合は複雑な処理が必要です。
※時価の7~8割の相場です。
③不動産業者による簡易査定
④不動産鑑定士による鑑定評価
※いずれの場合も原則現時点評価とされています。
(イ)預貯金
死亡時の残高がそのまま評価されます。
(ウ)有価証券
・上場株式
遺産分割協議成立時又はその直前の株価が原則です。
・非上場株式
各社の財務諸表から計算されます。
※税務上の評価や鑑定評価に依らざるを得ない場合が多いです。
(エ)生命保険
※受取人が指定されている死亡保険金を除く(具体的には、受取人が被相続人の保険や、被相続人より先に受取人が死亡している場合の死亡保険金等)
死亡日時点の解約返戻金の金額(相続財産となる生命保険金の金額は、通常、死亡日時点の解約返戻金(解約したらいくら戻りがあるか)で評価する)
Nexill&Partners Groupの強み
当事務所では、弁護士としてだけでなく税理士としての視点も含めて遺産分割の手続きをサポートして解決に導くことが可能です。
一般的な法律事務所では、遺産分割の手続きが終了すると、その後の相続税申告の手続きは他の税理士事務所へ依頼する流れとなります。
しかし、相続税の金額は遺産分割の方法によって異なるため、相続税についても考慮した上で遺産分割方法について検討する必要があります。
当事務所では、遺産分割から相続税申告までの全ての手続きを一括で行うため、お客様にとって最も相続税の負担が少ない遺産分割の方法を検討することが可能です。
たとえば、父親が死亡した際の相続で、配偶者である母親がいる場合、相続税に配偶者控除が適用されます。しかし、その数年後に母親が死亡したら、配偶者控除が存在しないため莫大な相続税がかかる可能性があります。そのため、父親が死亡した段階で、二次相続まで見据えた上での遺産分割方法を検討する必要があるのです。
当事務所では、父親と母親の1つの世代としての相続と捉え、最も相続税負担が低くなる方法をシミュレーションしてご提案することが可能です。