| 年齡 | 60代 |
|---|---|
| ご相談者様の状況 | 相続人本人 |
| 遺産の種類 | 不動産・現金・預貯金 |
| ご相談分野 | 遺産分割 |
| 担当弁護士 | 久富 達也 |
| 解決までの期間 | 約2年1ヵ月 |
ご相談時の状況
依頼者様は、被相続人である母を長年にわたり支えてきました。母の死後、遺産の分け方について弟にあたる相手方と意見が大きく分かれ、どのように話を進めればいいのか分からないという不安を抱えて当事務所に相談されました。
相手方は生前に母からまとまった金銭援助を受けていた可能性があり、依頼者様はその点を踏まえて遺産分割を行うべきだと考えていました。しかし、相手方は援助を受けたことを認めようとせず、対立は深まり続けていました。兄弟間の感情的なしこりも大きく、直接話し合うことが難しい状況でした。
当事務所の対応
受任後、まずは遺産の内容、生前の金銭援助に関する記録、不動産の評価資料などを整理し、争点を明確化しました。そのうえで相手方との協議を進めましたが、生前贈与の有無など根本的な認識が一致せず、調停に移行することとしました。当事務所では調停に向け、不動産査定を複数取得し、依頼者の主張を裏付ける資料を丁寧に準備しました。
調停では、依頼者様の長年の介護の実情や相手方が受けていた金銭援助の経緯を踏まえつつ、双方が受け入れられる現実的な案を目指して協議が進められました。その結果、不動産は依頼者様が取得し、相手方に対して代償金を支払うことで折り合いがつきました。また預貯金の分配についても、相手方が援助を受けたことを考慮し、最終的に依頼者様にご納得頂ける形で合意に至りました。
解決のポイント
今回の案件では、感情面の対立が大きかったものの、調停という第三者を介した場で話し合うことで、双方の主張が整理され、現実的な解決が図れた点が大きなポイントでした。特別受益の有無は最終的に形式的に確定されたわけではないものの、不動産の取得と代償金の支払いという形で、依頼者が長年担ってきた負担が一定程度考慮された結果となりました。
また、調停に向けた資料準備が非常に重要でした。事前に不動産の査定を複数取得し、財産全体の評価を明確にしたことで、調停の場でも話を進めやすくなりました。依頼者自身が抱えていた不満や不安を、法的な枠組みに落とし込みながら整理していったことも、スムーズな成立につながったといえます。
まとめ
相続は家族間の感情が絡むため、話し合いがこじれると当事者だけでは前に進めなくなることがあります。本件では、被相続人を支えてきた依頼者様と、金銭援助を受けていた相手方の認識の違いが大きく、協議だけでは解決が難しい状況でした。しかし、調停という仕組みを利用することで公正な場で話し合いが進み、双方が納得できる形で解決に至ることができました。
家族間の話し合いが難しいと感じるときや、相手との認識がどうしても噛み合わないときは、早めに専門家へご相談いただくことで、適切な方向へ進めることができます。当事務所では依頼者に寄り添いながら、負担を最小限にしつつ最善の解決へ導くサポートを行っています。