| 年齡 | 40代 |
|---|---|
| ご相談者様の状況 | 相続人本人 |
| 遺産の種類 | 不動産・現金・預貯金 |
| ご相談分野 | 遺産分割 |
| 担当弁護士 | 國丸 知宏 |
| 解決までの期間 | 約1年7ヵ月 |
ご相談時の状況
依頼者様は、祖父が亡くなり、祖父の子であるお父様は既に他界されていたため、代襲相続人となりました。被相続人には長年同居していた内縁の妻が存在し、その方が生前の預金管理や医療手続きなどを行っておられました。しかし、亡くなった直後の預金の動きや生前の出金履歴に不自然な点が多く、さらにその内縁の妻の家族へ定期的に送金が行われていた形跡が確認され、依頼者様は不安を抱かれていました。
その後、被相続人の自筆証書遺言が見つかり、そこには全財産を内縁の妻に遺贈するという内容が記載されていました。遺言書が存在する以上、法的にはその内容が優先されることになりますが、依頼者様としては、生前の資金の扱いや管理状況について納得できない部分があり、相続人としてどこまで請求できるのか、また遺留分侵害額請求の対象となり得るのか知りたいというお気持ちでした。
当事務所の対応と交渉の流れ
受任後、当事務所ではまず依頼者様が直接相手方とやり取りする必要がないよう、代理人として窓口を一本化しました。あわせて、遺言書の効力や法定相続割合、生前の出金記録が法的にどのように評価されるかについて整理し、依頼者様と丁寧に打合せを重ねました。
そのうえで相手方代理人に対し、生前の資金移動の説明や、管理体制に関する情報開示を求めました。
交渉の過程では、被相続人の退職金の行方、不正な出金、名義預金の可能性など複数の争点が存在し、依頼者様は当初、そのどれも追及したいとお考えでしたが、裁判になった際の立証可能性、追加の費用・時間的コストを考えながら、依頼者様にとって現実的な解決方法を検討しました。
結果として、遺言内容を前提としつつも、依頼者様は、相手方から生前の支出や管理体制について一定の説明責任が果たされたと納得され、相手方より金銭解決を受ける形での合意が成立しました。
解決にあたってのポイント
本件では、疑義のある財産処理をそのままにせず、代理人を通じて透明性のある協議が行われたことが重要でした。また、依頼者様が法的に主張できる範囲と、実際に争う際のリスク・コスト・精神的負担を整理し、納得のうえで判断できる状況を作ったことが、結果として負担の少ない解決につながりました。
争いを避けつつも、疑問点を放置せず、話し合いを継続したことで、依頼者様は「納得して手続きを終える」という目的を達成することができました。
まとめ
相続では、法定相続人間に交流がなかったり、生前の財産管理状況に疑義があったりする場合、今回のように疑念や不信感が生じやすく、感情的な対立に発展することがあります。
特に、生前に家族以外の方が財産管理を担っていた場合、資金移動が不明確となり、相続開始後にトラブルになるケースが多く見られます。
今回の解決のように、法的根拠を踏まえつつ、現実的な落としどころを探りながら進めることで、裁判に発展させることなく、適切な形で相続問題に区切りをつけることが可能です。
相続に関して納得できない点がある、遺言書があるが疑問が残る、相手と直接話したくないという場合でも、まずは専門家に相談いただくことで、選択肢が整理され、判断しやすくなります。お気軽にご相談ください。