年齡 | 60代 |
---|---|
ご相談者様の状況 | 相続人本人 |
遺産の種類 | 不動産・現金・預貯金 |
ご相談分野 | 遺留分侵害額請求 |
担当弁護士 | 國丸 知宏 |
解決までの期間 | 約1年 |
ご相談時の状況
依頼者様は、お母様が3年前に亡くなり、相続人は依頼者様を含む姉妹でした。 最近になってお母様の遺言書を発見され、その遺言書には、不動産の一部を依頼者様に相続させる内容が記載されていたため、その有効性を主張したいとのご相談をいただきました。
解決に向けた当事務所のアドバイス・対応
当事務所は、まず依頼者様がお持ちの遺言書に記載された不動産の登記情報を取得しました。複数の不動産がありましたが、どれも依頼者様の姉か、姉の子の相続登記が完了していました。 そこで、法務局に照会し、お母様が公正証書遺言を作成していたかどうかを確認したところ、依頼者様がお持ちの遺言書よりも後に公正証書遺言が作成されており、その公正証書遺言には、不動産や預貯金などの全ての遺産を、姉や姉の子に相続させる内容が記載されていることが判明しました。 民法では、前の遺言が後の遺言と抵触する場合、後の遺言が前の遺言を撤回したものとみなされます。そのため、依頼者様がお持ちの遺言書の有効性を主張する余地はなくなりました。 そこで、姉とその子に対して通知書を送付し、遺留分の請求を行うとともに、被相続人の財産調査を開始しました。 遺留分の請求を受けた相手方は、代理人弁護士を通じ、遺留分請求権が時効により消滅していると主張しました。遺留分請求権は、遺留分侵害の事実を知った時から1年以内に行使しなければ時効により消滅しますが、相手方は、依頼者様が被相続人の財産所有状況を認識していたこと、相続税を支払っていないこと、相続開始から3年が経過していること等を時効の理由として挙げました。 さらに、仮に時効にかからないとしても、不動産の評価について、被相続人が所有していた建物が老朽化していたとして、建物の評価額を解体費用相当額の赤字として算定すべきと主張しました。その上で、1500万円の遺留分を支払う旨の提案がありました。 これに対し、当事務所は、依頼者様が遺留分侵害の事実を知ったのは公正証書遺言の存在を知った時であり、時効にはかからないと再度主張しました。また、不動産の評価についても、建物の老朽化は評価額に影響を与えるものの、評価額が赤字となるのは不当であると主張しました。 最終的には、相手方より遺留分として3000万円の支払いを受けることで合意しました。 相手方に通知書を送付してから解決に至るまで1年未満と、比較的早期に解決することができました。
解決にあたってのポイント
依頼者様は、公正証書遺言の存在を知らず、大変驚かれていました。 自筆証書遺言の場合、検認手続が必要となりますが、公正証書遺言の場合は検認手続を経ずに登記を移転したり、預貯金を解約したりすることが可能です。 そのため、ある相続人がすべての財産を取得する内容の公正証書遺言が存在する場合、他の相続人はその遺言書の存在に気づかないことがあります。 相続人間の関係が希薄である場合、相続に関する話し合いを避ける方もいらっしゃいますが、まずは遺言の有無から調査を始めることをお勧めします。 相続手続きや遺留分請求に関してお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。専門的な知識と経験を活かし、きめ細やかなサポートを提供いたします。