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遺言書

遺言書作成は誰に頼むべき?士業別のメリット・デメリットについて解説

2025.06.21

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「遺言書を作りたいけれど、どの専門家に頼むのが正解なのか分からない」。そんな疑問をお持ちではありませんか?遺言書作成を含めた相続の手続については、依頼する士業によって対応できる業務の範囲が異なります。本記事では、各士業の業務範囲と、依頼時の注意点を踏まえた依頼先を選ぶコツを解説しています。

1.遺言書作成を依頼できる専門家一覧

1-1 弁護士

弁護士は遺言書の起案にはじまり、遺言執行者への就任・実際の相続手続のほか、遺産分割協議や調停・訴訟まで一貫して対応できるのが最大の強みです。

1-2 司法書士

司法書士は弁護士と同じく遺言書の文案作成・遺言執行者への就任ができるほか、不動産の相続登記等の相続手続も対応可能ですが、遺産分割協議の交渉や調停・訴訟の代理は司法書士では対応ができません。

1-3 行政書士

行政書士も遺言書の作成・遺言執行者への就任はできますが、弁護士や司法書士と異なり、登記申請や交渉・訴訟の代理権は無いため、遺言執行を行う際もそこに抵触しない範囲での相続手続に限られます。

関連:信託銀行や金融機関が遺言書「作成」を代行できるのか?

信託銀行は遺言書の保管・執行を一括で請け負う「遺言信託」を提供しているところも多く、窓口が一本化され高齢者でも利用しやすい半面、信託銀行・金融機関が有償で「依頼者に代わって遺言書を起案する行為」を単独で行うと、弁護士法違反となる非弁行為に該当するため、各行は以下のような限定的な方法を取っているのが一般的です。

  • 遺言書のひな型の提供のみを行い、依頼者にすべて自己記入してもらったうえでそのまま公証役場に取り次ぐ(法律判断・条項調整は金融機関側では行わない)
  • 社外の弁護士・司法書士を紹介し、遺言書作成自体を外注する

自己記入の場合は公証人による内容確認は行われますが、あくまで公証役場の定型書式をベースとするため、士業が作成するような柔軟な文案設計や税務や遺留分対策等を含めたコンサルティング要素は含まれない点は留意が必要です。

2.遺言書作成の依頼先を選ぶ際に注意が必要な点

2-1 税務対策が抜けていた

「不動産は長男、預金は次男」など、トータルの金額はほぼ同じ程度になっていたとしても、不動産のみを受け取る相続人は実際に相続が発生した際に納税資金の準備が難しくなってしまったり、配偶者控除など各種控除を気にせず遺産の分け方を決めてしまったために、二次相続で子世代に高額な相続税が発生してしまったりと、税務面を考慮せずに遺言書を作ってしまうようなケースです。

遺言書の文案を作成する際は、税務の面もフォローができる専門家を選ぶことが望ましいでしょう。

2-2 遺留分対策が抜けていた

依頼者が希望する遺産の分け方をそのまま遺言書に反映させた結果、財産が偏ってしまい遺留分を侵害してしまうケースです。特に、事業承継などで特定の相続人に株式や会社不動産などを相続させる必要性があるにも関わらず、遺留分侵害額請求を受けてしまうと、遺留分支払いのために多額のキャッシュが必要になってしまう、株式が分散してしまうなどで経営権にも影響が出てしまう可能性があります。

遺言書作成の際に遺留分に配慮した分け方にしておくことで、将来的な遺留分トラブルの回避につながります。

遺言書を作成する際は、遺留分の面もサポートしてもらえる専門家かどうかは事前にチェックをしておくと安心です。

2-3 相続手続・遺言執行を行う上で対応できない業務が出てきた(登記申請・交渉)

士業によっては、対応できる相続手続・遺言執行業務の範囲に制限があります。

依頼している士業で対応ができない業務が出てきた場合は、その業務を実施できる士業に別途依頼が必要となります。

特に遺言執行を依頼する場合は、執行の内容に応じて士業の業務権限が問題なくカバーされているかという点は事前に確認をしておいた方がよいでしょう。

不動産があるので必ず登記業務が発生してしまう、家族の関係性があまりよくないので遺言執行時に揉めそうというような場合は、そこまで見据えて最初から司法書士や弁護士に依頼しておくとその後の手続もスムーズでしょう。

交渉や調停・訴訟代理ができるのは弁護士だけですので、紛争リスクが大きい場合は初めから弁護士に依頼しておいた方が良いケースが多いです。

3. 結論:どの専門家を選ぶかは「想定リスク」と「求める範囲」で決まります

依頼先 主なメリット 主なデメリット
弁護士 ・紛争を見据えた条項設計(遺留分・遺産分割トラブルに強い)
・遺言執行者就任だけでなく調停・訴訟まで一貫対応
・報酬相場は士業の中で最も高め
司法書士 ・遺言執行時は不動産の相続登記までワンセットで依頼できる
・弁護士より費用を抑えやすい

・交渉、調停・訴訟代理権がなく、紛争時は弁護士へ再依頼が必要
行政書士 ・遺言書作成コストが最も低い ・登記申請、交渉・訴訟の代理権がないため、該当の業務は司法書士・弁護士へ別途依頼が必要

遺言書を作成される際に何を優先したいか?というのは人それぞれです。

財産もそこまで多くなく揉める心配も無いためできるだけ安く作れたら良いのか、税務面や相続発生後のリスクまで踏まえて万全の対策をしておきたいのか、ご家族の状況や将来の相続発生時の手続面を含めて、依頼する専門家を決められてください。

当事務所では、弁護士のほかに税理士、司法書士も在籍しているため、遺言文案を検討する際の遺留分・紛争予防を含めた遺産分割案の設計から、遺言書作成時の税務面のカバーや遺言執行時の相続登記申請まで、遺言書作成の際に重視しておきたい点をワンストップでカバーできる体制を整えております。

費用面は他士業よりも上回ってしまうかもしれないが、将来の相続発生時まで見据えて周辺領域までフォローの上で遺言書を作成してほしいとお考えの方は、まずは初回無料相談をご利用ください。
 

Nexill&Partners Group(弁護士法人Nexill&Partners)

福岡を中心に、全国からご相談をお受けしております。
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