前回の記事:
「【家族信託】受託者ってどんな人①」
「【家族信託】受託者ってどんな人②」
前回に引き続き、受託者の義務について説明させて頂きます。
①自己執行義務(信託法28条)
まずは、自己執行義務ですが、受託者は原則として、他人に代行させず、自分で信託財産の管理・処分をしなければなりません。これは、信託契約は、委託者と受託者の信頼関係に基づいたものだからです。
しかしながら、信託事務は専門化・多様化しているので、受託者だけで信託事務を行うことは困難になっています。
そのため、信託契約に第三者に委任できる規定がある場合だけでなく、第三者に委任できる条項がなくとも信託の目的から相当であると認められる場合や第三者委託禁止の定めがあっても信託の目的からやむを得ないと認められる場合には第三者への委託が認められます。
②公平義務(信託法33条)
単純に、受益者が複数いる場合、受益者全員のために公平に職務を行わなければならないという義務です。
③帳簿等の作成等、報告・保存の義務(信託法37条)
受託者は毎年1回、信託財産にかかる帳簿その他の書類を作成して受益者に報告しなければなりません。
そして、信託に関する書類を10年間保存しておき、受益者の請求に応じて閲覧させなければなりません。
信託契約で受託者の報告義務は軽減できますが、書類の作成・保存義務は軽減・免除ができません。
④損失補填義務(信託法40条)
受託者が職務違反をして、信託財産に損失させたり変更させたりした場合、受益者の請求があれば、受託者は損失の補填や原状回復をしなければなりません。