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寄与分

寄与分って何だろう?②

2020.11.09

監修 菰田泰隆 代表弁護士


相続の際に問題となりうる「寄与分」について、みなさんはご存知ですか?

改正前の「寄与分」は、法定相続人のみが対象とされており、法定相続人以外の親族が相続の際に寄与分をもらうことはできませんでした。

しかし、現実問題としては、介護や財産管理等を担うのは法定相続人に限られないはずです。例えば、一方の配偶者の両親の介護を同居している他方の配偶者が担うこともありますよね。にもかかわらず、その介護に要した労力や金銭的負担が法定相続人でないがために全く報われないとなると、不公平な気持ちになる方も多くいらっしゃったかと思います。

特別寄与制度

そこで、公平を図るために平成30年の民法改正によって新設されたのが「特別寄与制度」です。

特別寄与とは、相続人以外の親族が被相続人の療養看護等を行った場合、一定の条件のもとで相続人に対して金銭の支払いを請求することができる制度です。
特別寄与をした人のことを「特別寄与者」といい、特別寄与者は相続人に対して、その寄与に応じた「特別寄与料」の支払いを請求することができます。

特別寄与料を請求する条件として、以下のようなものがあります。

1.被相続人の親族

特別寄与料を請求できる人は、被相続人の親族(6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族)と限られています。友人や内縁の妻は親族ではないため、特別寄与者になることはできません。相続人の廃除によって相続権を失った者も対象外です。

これによって、例えば前述した一方配偶者は、他方配偶者の両親との関係では1親等の姻族にあたることから、請求権を有する親族にあたります。

介護

2.無償で療養看護その他の労務を提供したこと

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務提供し、その結果、財産の維持または増加をさせたことが必要となります。

例えば、介護施設への入居代等を自宅での介護によって浮かした場合や、病院への入院代や治療費を負担した場合には、財産の維持に貢献したといえます。

3.特別の寄与

「実質的公平の理念及び被相続人の推定的意思の尊重」というこの制度の趣旨に照らして、労務の提供をした者の貢献に報いるのが相当といえるような程度の顕著な貢献があったかどうかという観点から判断すべきであると考えられています。

したがって、個別具体的な判断が必要となります。

では、寄与分としてどこまで請求することができるのでしょうか。

請求額については、原則として相続人と話し合いによって決めることになります。

しかし、療養看護といった寄与は形として残らない性質上、金銭に換算するとどのぐらい寄与したといえるのか判断するのは難しいです。

そこで、一定の基準として、「仮に専門機関等の第三者に委託していたら要したであろう日当×療養介護にあたった日数×裁量割合(通常であれば0.5~0.8)」といった計算方法があります。

とはいえ、具体的に何日療養介護にあたったのか、完璧に把握しておくことは難しいですよね。そのため、介護に関するメール等の記録や日記、領収書等は後に重要な証拠となりうるので、できるだけとっておくようにしましょう。

また、寄与分の請求方法としては、当事者間での話し合いが原則ですが、話し合いによる解決が難しい場合には、裁判所による調停や審判によって請求することになります。

高齢化が進む現代社会において、介護問題は誰であっても直面しうる事態です。

後になって「たくさん介護に貢献したのに…」と相続人と揉める前に、寄与分として請求することができる条件や範囲を知っておくことで、相続人とのトラブルを回避できるかもしれません。
ご自身が行った行為が寄与行為に該当するのか分からない方や、親族として相続人に対して特別寄与料を請求したいがどうやって請求したらいいか分からない方など、寄与分についてお困りの方は、まずは弁護士にご相談してみることをおすすめします。
当事務所では、初回のご相談を無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
 

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KOMODA LAW OFFICE(弁護士法人菰田総合法律事務所)

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