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相続の手続きが「わからない」と感じたときに読む記事|何から始めるべきか、途中から専門家に相談するタイミングまで弁護士がわかりやすく解説

2026.03.25

「相続手続き」と一括りに言っても、役所への届け出から財産調査、遺産分割、そして相続税の申告まで、その手続きは多岐にわたります。「何から始めればよいのかわからない」「調べながら進めてみたけれど、このやり方で合っているのか不安」と立ち止まってしまうのは珍しいことではありません。本記事では、相続手続の基本的な流れを整理したうえで、自分で進められる部分と専門家に相談した方がよい場面について、実務の視点から分かりやすく解説します。

第1章 相続の手続きは何から始めるべきか?全体像と優先順位の整理

1-1 まずは期限がある手続きを確認してスケジュールを立てる

相続が発生した際、まず注意すべき点は「期限」の存在です。すべての手続きを並列に進めるのではなく、法律で定められた期限から逆算して優先順位を決める必要があります。
例えば、相続放棄や限定承認を検討する場合は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述をしなければなりません。また、後述する相続税の申告・納付は「10ヶ月以内」という明確なデッドラインがあります。
まずは、これらの期限がカレンダー上の何月何日になるのか具体的に把握し、いつまでに何を終えるべきかの全体スケジュールを可視化することから始めましょう。

1-2 相続人を特定するための戸籍収集と遺言書の有無の確認

次に着手すべきは、相続人になる人の確定です。亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて収集し、法律上の相続人を一人漏らさず特定する「相続人調査」を行います。
これと並行して、遺言書の有無を確認することも極めて重要です。遺言書が存在する場合、原則としてその内容が法定相続分よりも優先されるため、遺言の有無によってその後の遺産分割の進め方が大きく変わるからです。

1-3 預貯金から不動産まで漏れなく進めるべき相続財産の調査

相続人を特定すると同時に、亡くなった方がどのような財産を、どの程度遺したのかを把握する遺産調査を進めます。
預貯金であれば通帳や残高証明書、不動産であれば固定資産税の納税通知書や名義を確認するための登記事項証明書などを集めます。
借金などのマイナスの財産も相続の対象となるため、消費者金融や銀行からの通知、信用情報の確認なども漏れなく行う必要があります。
この調査結果が不十分だと、後から隠れていた財産が見つかり、遺産分割協議をやり直さなければならない事態にもなりかねません。

第2章 書類収集や財産評価で立ち止まってしまう理由|自力での手続きになぜ限界がくるのか

2-1 書類の不備が招く法務局や金融機関での手続き停滞

戸籍の収集や財産調査を自力で進める際、多くの方が直面するのが書類の差し戻しです。相続の名義変更では金融機関や法務局で厳格な書類確認が行われるため、例えば戸籍謄本が1通欠けているだけでも手続きが進まなくなることがあります。とりわけ戸籍については、被相続人の出生から死亡までのものを連続して確認できる状態にする必要があり、思いのほか手間がかかる場合があります。
戸籍は必ずしも死亡時の本籍地の自治体だけで揃えられるとは限りません。転籍や婚姻などにより、本籍地が複数の自治体にまたがっているケースも少なくないためです。このような場合には、それぞれの役所に郵送で戸籍を請求する必要があり、すべての戸籍を収集するまでに想定以上の時間を要することもあります。

2-2 財産の評価額を計算する際に直面する専門的な判断の難しさ

財産の種類や所在が把握できたとしても、その評価額をどのように算定するかという点で悩む場面もあります。特に不動産については、一般的な市場価格だけでなく、路線価や固定資産税評価額など、目的に応じて複数の評価基準が存在します。
また、非上場株式(いわゆる自社株)を保有している場合、その評価は会社の財務状況や資産内容などを踏まえて算定する必要があり、計算方法も複雑になります。
評価を誤ったまま遺産分割を進めてしまうと、相続人間の公平性に影響が生じるおそれがあるだけでなく、相続税申告を行う場合には税務署から指摘を受ける可能性もあります。

2-3 遺産分割協議において親族間の対立が生じる可能性

相続手続の多くは書類作成や名義変更といった事務的な作業ですが、遺産の分け方を決める「遺産分割協議」では、相続人それぞれの事情や認識の違いが表面化することがあります。
例えば、被相続人と同居していた相続人が生前の介護や生活支援を理由に多くの取得を希望するケースや、生前贈与や資金援助があったかどうかをめぐり意見が対立するケースなどがあります。こうした問題は、民法上の特別受益や寄与分といった考え方とも関係し、当事者だけで整理することが難しい場合もあります。
遺産分割を円滑に進めるためには、法的なルールや過去の裁判例、実務上の取り扱いを踏まえた客観的な視点から分割方法を検討することが重要になる場面も少なくありません。

第3章 相続税申告が必要かどうかの判断と期限・特例の注意点

3-1 基礎控除額を超えているか判断するための簡易的な計算方法

相続税は、すべてのケースで発生するわけではありません。
遺産の総額が「基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」を超えない場合は、原則として相続税はかかりません。
しかし、注意が必要なのは、生命保険金や死亡退職金などの「みなし相続財産」や、生前贈与された財産の一部も合算して計算する必要がある点です。「うちは大丈夫だろう」と判断し、特段相続税申告の手続きをしていなかったところ、専門家に相談の上で改めて精査した結果、実際は基礎控除を超えており、短期間でバタバタと相続税申告をしなければならなくなったというケースは実務上少なくありません。

3-2 申告期限に間に合わない場合に発生する延滞税や加算税のペナルティ

相続税の申告と納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
この期限は必ず守らなければならず、1日でも過ぎると延滞税が課されるほか、申告そのものを忘れていた場合には無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります。
また、相続税申告・納税の期限までに遺産の分割内容が決まっていない場合でも、一旦は法定相続分で分けたと仮定して申告(未分割申告)をしなければなりませんので、遺産分割が長引きそうな場合でも相続税申告の手続は止めないように注意しておきましょう。

3-3 特例の適用を受けるために必要な税務知識

相続税には「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、納税額を大幅に軽減できる仕組みがあります。
ただし、こうした特例は自動的に適用されるわけではなく、期限内に正しい形式で申告書を提出することが要件となっているものがほとんどです。手続きのミスや期限徒過で特例が適用できなかった場合、適用されれば払う必要のなかった税金を負担することになる事態にもなりかねません。
相続税が発生する可能性がある場合には、申告期限が近づいてから慌てて対応するのではなく、早い段階で税理士などの専門家に相談し、特例の適用可否や申告の進め方を確認しておくことが重要です。

第4章 途中まで自分でやった相続手続きを専門家へ相談するメリット

4-1 弁護士に依頼することで得られる紛争予防と権利関係の確定

ご自身で収集した戸籍や財産目録がある場合、弁護士はそれらの資料を法的な視点から精査します。
相続人調査において、本来含まれるべき相続人の見落としがないかを再確認し、後日、分割協議が無効となる可能性などのリスクを回避することにつながります。また、遺産分割協議書を作成する際、曖昧な表現を排除し、権利関係を明確に整理した書面を作成することで、親族間での将来的なトラブルを回避できる点もメリットといえます。

4-2 税理士に依頼することで実現する適正な税務申告と特例の活用

戸籍収集や相続財産の調査を終えた段階で相談すると、税理士は相続財産の内容をもとに相続税のシミュレーションを行います。
例えば、自身では一般的な土地と考えていたものでも、税理士が路線価図などの資料を確認して評価を検討した結果、土地の形状や接道状況などに応じた評価減(減額補正)が適用でき、相続税の評価額が下がる可能性があります。
また、先に触れた配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった納税額を抑える仕組みも、税務の専門家にバトンタッチすることで過不足のない申告を行いやすくなります。結果的に、税務調査のリスクを抑えながら、期限内の適正な納付を期待できます。

4-3 名義変更や登記手続きまで一括して任せられる安心感

遺産分割の内容が確定した後の最終工程として、不動産の名義を書き換える相続登記や、金融機関の解約手続きがあります。
自身で揃えた資料に加えて、専門家が法務局への申請書類を正確に作成することで、登記義務化に伴う法的義務を適切に果たすことができます。書類の不備による差し戻しのリスクを抑えやすく、煩雑な行政・金融機関とのやりとりも代行してもらえるため、日常生活への影響を抑えながら相続手続を進められることも専門家を活用するメリットといえます。

第5章 相続手続きに不安を感じたら専門家へご相談ください

相続の手続きは、一つひとつの作業は単純に見えても、それらが積み重なり、かつ期限に追われることで、負担が想像以上になるケースが少なくありません。ご自身で戸籍収集や財産調査を少しずつ進めてこられた努力は、決して無駄ではありません。その先の遺産分割や税務申告において、迷いや不安を感じたのであれば、そこが専門家に相談すべきタイミングといえます。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループは、弁護士だけでなく、税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士が一体となって運営しています。相続手続きの代行から、複雑な遺産分割の交渉、節税を考慮した相続税申告、不動産の名義変更まで、窓口一つで対応するのが特長です。「何から手をつけていいか全くわからない」という方はもちろん、「途中までやってみたけれど、この先が不安だ」という方も、どうぞ安心してお問い合わせください。それぞれの状況に寄り添い、円満な相続の実現に向けて全力でサポートさせていただきます。

 

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監修者:松﨑 洋二
弁護士松﨑 洋二

弁護士法人Nexill&Partners

弁護士松﨑 洋二

  • 2015年3月
    私立九州学院高等学校 卒業
  • 2015年4月
    福岡大学法学部 法律学科 入学
  • 2018年3月
    福岡大学法学部 法律学科 早期卒業
  • 2018年4月
    福岡大学法科大学院 入学
  • 2021年3月
    福岡大学法科大学院 修了
  • 2025年4月
    弁護士法人Nexill&Partners 入所

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