前回お話しした通り、後継ぎ遺贈は、その効力が確実とは言えません。
しかし、このような効力を有する財産処分は、遺族の生活保障や、個人企業経営者による後継者確保の手段として需要があります。
そこで、このような財産処分を行う方法として、信託法に、後継ぎ遺贈に類似した、受益者連続の信託というものがあります(信託法91条)。
信託とは、委託者が信託行為(契約・遺言)によって、他人(受託者)に一定の財産(信託財産)の管理処分権を与え、委託者の定めた信託目的に従って、受託者が受益者のために信託財産の管理や処分を行う法律関係をいいます。
これを利用することで、例えば、自己の土地・家屋を信託財産とする信託を遺言によって設定し、妻の生存中は妻を受益者として家屋に居住し続けられるようにし、妻死亡時には子が受益権を取得するという形の信託を設定することで、後継ぎ遺贈のような状態を実現することができます。
もっとも、このような信託は、存続期間が制限されており、信託の受益権の取得も当然に遺留分減殺請求の対象となっていることには注意が必要です。
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