今回は減殺の対象ではなく、遺留分権利者が複数いた場合についてお話しします。
遺留分権利者が複数いる場合、各自の侵害額の割合に応じて、遺贈・贈与の順番に減殺をしていくこととなります。(1037条)
例えば、300万円の侵害額のAと、200万円の侵害額のBがいて、300万円の甲遺贈と、1000万円の乙贈与があった場合を考えてください。
この場合、甲についてAは180万円、Bは120万円の減殺をし、乙についてAは120万円、Bは80万円の減殺をすることになります。
もし、Aが先に甲遺贈に300万円全額の減殺を行えるとすると、Bは甲遺贈について減殺ができず、乙贈与に対し、200万円の減殺を行うことになりますが、これはAB2人の遺留分権利者の公平を害することになります。
なぜかというと、遺贈は相続開始時の話なので、確実に減殺することができますが、贈与は過去の話なので、贈与を受けた人がすでに無資力になっているリスクがあるためです。
このようなリスクを同じ遺留分権利者であるABのうちBのみが負うというのは、不公平な結果となるため、各自の侵害額に応じて減殺をしていくと定められているのです。
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