general inheritance

相続一般

3.指定相続分と法定相続分

2016.06.15

監修 菰田泰隆 代表弁護士


相続によって、各相続人には「相続分」が発生します。相続分とは、共同相続における各共同相続人が相続財産上に有する権利義務の割合(分数的割合)のことをいいます。
そして、相続分には「指定相続分」と「法定相続分」という2つの種類があります。
今回は、指定相続分と法定相続分について解説していきます。

1 指定相続分とは
指定相続分とは、遺言によって自由に指定された相続分のことをいいます。
被相続人が第三者に相続分の指定を委託することによって相続分を定めることもできます。
これによると被相続人は、民法の規定にかかわらず、誰にどの遺産をどのくらい相続させるかを自由に指定して相続させることができます。つまり、具体的に誰に何をいくら分相続させるとかではなく、法定相続分とは異なる割合を遺言書で明記するやり方ですね。

2 法定相続分とは
法定相続分とは、民法の規定によって定められる相続分のことをいいます。これが各相続人がそれぞれの地位に基づいて取得する相続割合の原則となります。
そして、民法には相続分のほかに、法定相続人の範囲及び順位も定められているので、これに従って各相続分を各相続人が相続することになります。

3 法定相続人の範囲
法定相続人の範囲は、以下の通りです。

① 配偶者
② 被相続人の子
③ 被相続人の直系尊属(父母や祖父母)
④ 被相続人の兄弟姉妹

配偶者は常に相続人となりますが、②から④についてはこの順に相続人となります。
つまり、②から④の相続人全員が相続人となるのではなく、このうち一番上の順位にある地位の者のみが相続人となります。
例えば、被相続人の子の順位に当たる者がいない場合には、順位が1つ繰り下がって被相続人の直系尊属が相続人となり、兄弟姉妹は相続人とはなりません。

ただし、相続開始前に被相続人の子に代襲原因がある場合には、被相続人の孫がいる場合にはその孫が代わって相続することになります(これを代襲相続といいます)。
代襲原因は、死亡、相続欠格、廃除のいずれかにあたれば認められます。
さらに、孫も死亡していた場合には、ひ孫による再代襲が生じることになります。
また、代襲相続は、被相続人の兄弟姉妹が既に死亡していた場合にも、甥又は姪に生じます。
ただし、兄弟姉妹の場合には再代襲は生じません。つまり、甥・姪の子供までは行かないのです。
これらの代襲相続等が生じる場合には、下の順位の者は相続人にはなりません。
例えば、被相続人の孫が代襲相続する場合には、被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹は相続人にはなりません。
相続
4 各相続人の具体的相続分
各相続人の相続分は、以下のパターンに分けられます。

① 相続人が配偶者と子の場合
配偶者の相続分:2分の1
子の相続分:2分の1

② 相続人が配偶者と直系尊属の場合
配偶者の相続分:3分の2
直系尊属の相続分:3分の1

③ 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者の相続分:4分の3
兄弟姉妹の相続分:4分の1

ただし、配偶者以外の相続人が複数人いる場合には、それぞれの地位に基づく相続分を人数で割った分が個別の相続分となります。
例えば、相続分が配偶者と子2人の場合には、配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1を2で割り、それぞれ4分の1となります。
また、代襲者の相続分は、本来の相続人が有していた分をそのまま承継することになります。

5 指定相続分と法定相続分の関係
では、指定相続分と法定相続分のどちらが優先するでしょうか。
それは、遺言書等による指定がある場合には、遺言者の意思をより尊重するために、指定相続分が優先されることになります。

したがって、誰にどの遺産をどのくらい相続させるかを決めておきたい場合には、遺言によって相続分の指定をしておくと良いでしょう。
遺言書の作成については、作成から保管、執行まで当事務所の専門家にぜひお任せください。
 

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