実務上、遺産分割の対象財産が確定する基準時は、遺産分割時となっています。
しかし、相続開始時には存在していたけれども、遺産分割時には、その財産がすでに存在しなくなっている場合もあり得るでしょう。具体的には、相続開始後に、相続人が相続財産を処分してしまった場合や、何らかの事情により、相続財産が滅失してしまったような場合です。
このような場合、遺産分割時を基準とするならば、処分あるいは滅失してしまった財産は、遺産分割の対象とはならないということになります。
もっとも、その相続財産が消滅して遺産分割の対象財産ではなくなったとしても、消滅したことによって、別の財産的利益が発生することはあります。例えば、相続開始後に相続人によって売却されてしまった財産の売買代金や、火災によって相続財産である不動産等が滅失してしまったことによって発生した火災保険金などです。
このように,相続開始時に存在していた相続財産を処分することによって得られた財産を「代償財産」といい、この代償財産は、原則として遺産分割の対象財産にならないとされています。
ただし、共同相続人全員によって遺産分割の対象に含める旨の合意がなされている場合には、遺産分割の対象となります。
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