heritage division

遺産分割一般

(5)代償分割

2016.06.07

遺産分割の方法には、遺産そのものを分割する現物分割のほかにも、代償分割、換価分割、共有分割といった分割方法があります。

そこで今回は、代償分割に焦点を当ててお話ししていきます。

代償分割とは、換価分割と同様に、現実の金銭で公平を図ろうという方法です。すなわち、特定の遺産を取得した相続人が、他の相続人に対してその相続分に応じた代償金を支払うこととなり、これによって金銭的には平等に分割されたといえます。
遺産分割
これに対して換価分割による場合には、遺産を売却した売却額を各相続人の相続分に応じて分割することになるため、特定の相続財産を取得する相続人がいない点で代償分割とは異なります。

例えば、共同相続人として子AとBがおり、相続財産として価値1000万円の土地があったと仮定します。

この場合、現物分割であれば、この土地をAとBとがそれぞれ2分の1ずつの持ち分で共有することになるでしょうし、換価分割であれば、土地を処分して得た1000万円の金銭を、AとBとで500万円ずつ取得することになるでしょう。

しかし、例えば、Aがこの土地に住んでいる場合には、どうしても土地を引き続き利用取得したいと思うのが通常です。しかし、共有分割にすると現実の利用の点で不便ですし、ましてや金銭に換価することも望んでいません。

そこで、代償分割によると、仮に換価分割したとすればBが取得したであろう500万円については、AがBに対して代償金として支払うことで、Aが土地の所有権の全部を取得することができます。

このように、代償分割による場合には、特に土地や建物といった物理的に分割して利用することが困難な遺産について、従前からこれを利用してきた相続人やこれから利用したいと考えている相続人が単独でその所有権を取得することができるため、大きなメリットとなります。

この他にも、代償分割を活用することで、事業用不動産の承継や事業承継においても役立つことができます。

他方、代償分割による場合には、特定の遺産を取得する相続人に、代償金を支払うことができるだけの資力があることが必要となります。

また、取得した遺産の価額よりも代償価額の方が大きい場合には、その差額について贈与税がかかる可能性もあります。例えば、金銭の代わりに不動産等の現物を代償として贈与する場合には、贈与税がかかる可能性があります。また、生命保険金を活用した代償をする場合にも、生命保険の契約によっては贈与税がかかる場合があります。

そのため、代償金の支払方法については特に注意する必要があります。

このように、代償分割によって遺産を分割することで、特定の遺産(特に不動産)を引き続き利用したいと考えている相続人にとって便宜な分割を実現することができます。

もっとも、代償金の支払方法については贈与税がかかるケースもあり、ご自身で判断するのが難しいことも多いです。

皆様が納得できる遺産分割を実現するために、まずは専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。
 

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監修 菰田泰隆

KOMODA LAW OFFICE(弁護士法人菰田総合法律事務所)

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