相続人が複数いる場合、各相続人が遺産を相続する割合を相続分といいます。
被相続人は、遺言により、各相続人の相続分を指定することや、相続分を定めることを第三者に委託することができ、このようにして定められた相続分を指定相続分といいます。
このような遺言がない場合は、民法に定める相続分に従い相続されることとなり、これを法定相続分といいます。法定相続分として、相続人となるのは配偶者と血族です。
血族がいない場合は、配偶者が全遺産を相続することになり、配偶者がいない場合は、血族が全遺産を相続します。
しかし、同順位の血族が複数いる場合はどうなるのでしょうか。
以下、具体的に例を挙げてみます。
(1)子と配偶者が相続人
「子と配偶者」が相続人である場合は、子の相続分及び配偶者の相続分は各2分の1となります。また、子が複数人いる場合は各自の相続分は平等になります。
例)子3人と配偶者が相続人の場合の相続分は、子が各6分の1、配偶者が2分の1となります。
なお、これまで、民法では、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、平成25年9月に、嫡出子と非嫡出子の相続分に差を設けている民法の規定は憲法に反するとした最高裁判所の判決が出され、この判決を踏まえ、平成25年12月に、民法の規定が改正され、嫡出子と非嫡出子の相続分は同じであることになりました。
(2)配偶者と直系尊属が相続人
「配偶者と直系尊属」が相続人である場合は、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1となり、子の場合と同様、直系尊属が複数いる場合も相続分は平等になります。
他人の養子となった子は、実親との関係でも養親との関係でも相続人となります。逆に、その子が先に死亡した場合、養親と、特別養子縁組をした場合を除く実親がともに相続人となります。養親と実親が相続人となる場合でも、それぞれの相続分は等しいものとされています。
例)養子が死亡して、配偶者と養親2人、実親2人が相続人の場合の相続分は、配偶者が3分の2、養親、実親が各12分の1となります。
(3)配偶者及び兄弟姉妹が相続人
「配偶者と兄弟姉妹」が相続人の場合、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1となり、兄弟姉妹が複数いる場合は各自の相続分は平等になります。
もっとも、父母の一方のみが同じ兄弟姉妹(半血兄弟)の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血兄弟)の相続分の2分の1となります。
例)相続人として配偶者と全血兄弟姉妹が1人、父のみを同じくする半血兄弟姉妹が1人の場合は、配偶者が4分の3、全血兄弟姉妹が6分の1、半血兄弟姉妹が12分の1となります。
(4)代襲相続人
「代襲相続人」の相続分は、被代襲者の相続分と同じです。代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分を複数の代襲相続人が等しい割合で相続することになります。
例)配偶者と子2人が相続人になるところ、子の1人が死亡しており、その子(被代襲者)に子(代襲相続人)が2人いた場合は、配偶者が2分の1、子が4分の1、代襲相続人2人が各8分の1となります。
(5)配偶者がいない
「配偶者がいない」時は、前述(1)~(4)の順位の相続人が全遺産を相続します。
子がいる場合は子が、子がいない場合は直系尊属が、子も直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人となり、子と直系尊属が同時に相続人になることはありません。同順位の相続人が複数いる場合は、等しい割合で相続します。