1.はじめに
相続登記は、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の名義を相続人に移す手続きを指します。
登記をしないまま放置すると、後々不動産の売却や名義変更において大きな問題が生じる可能性があります。
また、相続人が複数いる場合や、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など多くの書類が必要となるため、手続きが複雑になりがちです。
本記事では、相続登記に必要な書類とその手続きについて、4つの相続登記のケースに分けて詳しく解説します。
2. 4種類の相続登記と必要書類
相続登記は、4つの異なるケースに分けて行うことができます。
それぞれのケースにおいて必要な書類が異なるため、しっかりと理解して手続きを進めることが重要です。
(1)遺産分割協議による登記
遺産分割協議とは、相続人全員が協議の上、相続財産を分ける手続きです。
この場合、全員の合意が必要となるため、協議がまとまらないと登記ができません。
必要書類は以下の通りです。
- ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- ・相続人全員の戸籍謄本および住民票
- ・相続人全員の印鑑証明書
- ・遺産分割協議書
- ・不動産の固定資産評価証明書
これらの書類を揃えることで、遺産分割の結果を反映した登記が可能になります。
(2)法定相続による登記
法定相続とは、法律で定められた相続分に従って、相続財産を分ける方法です。
遺産分割協議が行われない場合に適用されます。
必要書類は以下の通りです。
- ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- ・相続人全員の戸籍謄本
- ・相続人全員の住民票
- ・被相続人の住民票の除票
- ・固定資産評価証明書
法定相続では、全員が相続するため、全員の住所を登記上に記載する必要があります。
(3)遺言による登記
遺言書によって特定の相続人に不動産を相続させる場合、このケースに該当します。
遺言書が正しく作成されていれば、他の相続人の同意や参加は必要ありません。
必要書類は以下の通りです。
- ・遺言書
- ・被相続人の死亡時の戸籍謄本
- ・相続人の戸籍謄本および住民票
- ・固定資産評価証明書
この手続きでは、被相続人が遺言書で指定した相続人に、スムーズに財産を移転することが可能です。
(4)遺贈による登記
遺贈とは、相続人以外の第三者に不動産を贈与する場合を指します。
遺言書が必要であり、遺言執行者がいるかどうかで必要書類が変わります。
遺言執行者がいる場合、手続きが簡素化されます。
必要書類は以下の通りです。
- ・遺言書
- ・被相続人の死亡時の戸籍謄本
- ・受遺者の住民票
- ・遺言執行者の印鑑証明書
- ・固定資産評価証明書
遺言執行者がいない場合は、相続人全員の印鑑証明や戸籍謄本も必要になるため、手続きがより複雑になります。
3.おわりに
相続登記は、必要な書類や手続きが複雑であり、個人で行うには時間と労力がかかることが多いです。
特に複数の相続人がいる場合や、遺言書の内容が絡む場合には専門家のサポートが求められます。
また、相続登記を放置していると、後々不動産を売却したり融資を受けたりする際に大きな問題が発生します。
現在は罰則がありませんが、将来的には法律改正によって登記の放置に対する罰則が導入される見込みです。
相続登記に関してお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。
専門の弁護士や司法書士が、迅速かつ的確にサポートいたします。
家族の未来を守るためにも、相続登記は早めに行うことをお勧めします。
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