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遺産分割コラム

遺言書がある場合の相続手続き

2024.12.19

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遺言書がある場合の相続手続

1.はじめに

相続が発生した際、遺言書の有無によってその後の手続きが大きく変わってきます。
遺言書がない場合には相続人間で遺産分割協議を行わなければなりませんが、遺言書がある場合には、それを用いて、預貯金の解約や不動産の登記手続き等の相続手続きを行うことができます。
遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれの遺言によって、必要となる手続きが異なります。
本記事では、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言についての相続手続きを解説し、遺言執行者の役割や検認手続の詳細についてご紹介します。

2.自筆証書遺言の相続手続

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で作成した遺言書を指します。自宅で簡単に作成できるという利点がありますが、相続手続きにおいてはいくつかの注意点が存在します。
自筆証書遺言が見つかった場合、発見者は勝手に開封してはいけません。遺言書を家庭裁判所に提出し、検認という手続きを経る必要があります。検認については本記事の後半で詳しくご説明しますが、裁判所が遺言書の状態を確認し、その存在と内容を記録する手続きです。この手続きを経ないと、遺言書に基づく相続手続きを進めることができません。
また、遺言書を勝手に開封した場合は、偽造や改ざんをしたのではないか等と疑われ、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。加えて、5万円以下の過料が科せられる可能性があるため、十分注意が必要です(ただし、検認前に開封した場合でも、これをもって遺言書が無効になるということはありません。)。

3.公正証書遺言の相続手続

公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2名以上の立会いのもとで作成されます。
この形式の遺言書は、信頼性が高く、原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんのリスクが低い点が特徴です。
公正証書遺言の大きなメリットは、検認手続きが不要なことです。
遺言書の内容は既に公証人によって確認されているため、家庭裁判所での手続きが省略され、相続手続きがスムーズに進む利点があります。

4.秘密証書遺言の相続手続

秘密証書遺言は、遺言者が内容を秘密にしたい場合に用いる形式ですが、実際にはあまり利用されていません。
遺言者が自筆またはタイプで遺言書を作成し、それを封印した上で、公証人と証人の前で存在を証明します。
この形式の遺言書は、内容を他人に知られないというメリットがあるものの、作成には公証人と証人が必要であり、手続きが複雑です。
また、自筆証書遺言と同様に検認手続きが必要となります。
結果として、自筆証書遺言のような簡便さと公正証書遺言のような信頼性のいずれも兼ね備えていないため、ほとんど使用されていないのが現状です。
遺言書がある場合の相続手続

5.検認について

検認は、遺言書の存在を公的に確認し、偽造や改ざんを防ぐための手続きです。特に自筆証書遺言や秘密証書遺言では、この手続きを経ることが義務付けられています。家庭裁判所で検認を行い、その後、遺言書に基づく相続手続きを進めることになります。
検認はあくまで遺言書の内容や形式の確認であり、遺言書の有効性を判断する手続きではありません。遺言書の有効性について争いが生じた場合は、別途、裁判所で訴訟を起こす必要があります。

6.遺言執行者について

遺言執行者とは、遺言書の内容に従い、相続手続きを進める役割を担う人物です。
遺言執行者がいない場合、相続人自身が手続きを進める必要がありますが、相続人間でのトラブルが発生する可能性があります。
そのため、遺言書を作成する際には、専門家を遺言執行者に指定しておくことが推奨されます。
遺言執行者には、相続財産の管理や相続手続きの代行、不動産の名義変更、預金の解約といった業務が含まれます。
特に金融機関とのやり取りにおいて、遺言執行者がいると手続きがスムーズに進みます。
また、遺言執行者が指定されていない場合、家庭裁判所に申し立てて選任を受けることも可能ですが、手間がかかるため、事前に遺言書で指定しておくことが望ましいでしょう。

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7.おわりに

今回は、遺言書がある場合の相続手続きについてご説明しました。
遺言書がある場合でも、相続手続きは複雑で、その内容は多岐にわたります。
検認をはじめとして、その後の金融機関での解約手続、不動産登記などは、相続人の方が自らされることも可能ではありますが、どうしても時間や手間がかかってしまいます。
当事務所では、経験豊富な弁護士や司法書士が、相続手続全般を迅速かつ丁寧に対応いたします。
スムーズに手続きを進めたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

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