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遺産分割コラム

一般的な相続について

2024.11.26

監修 國丸知宏弁護士

一般的な相続について

1.はじめに

相続は、誰にとっても避けられないものです。
しかし、相続手続きは複雑で、戸惑うこともあります。
本記事では、一般的な相続の流れについて、特に、遺言書の有無による手続きの違いなどについて解説します。
相続に関する不安を少しでも軽減し、スムーズな手続きを進めるための参考にしていただければ幸いです。

2.遺言書の有無の確認

相続発生時、まずは遺言書の有無を確認する必要があります。遺言書の有無によって手順が変わってきます。

(1)自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言の場合、ご自宅から遺言書が見つかったとしても勝手に開封せずに、被相続人の所在地を管轄している家庭裁判所に検認手続きの申立てをしないといけません。
家庭裁判所より、検認の期日が告げられ、相続人の前で遺言書の開封と確認が行われます。
検認が終わると、検認済みの証明書が発行されます。
開封してしまった場合、相続人が中身を入れ替えたのではないか等、変な憶測を生むことにつながりかねません。
裁判所で開封された場合、そこで確定するので無用な争いが起きなくて済みます。
遺言書を見つけた時、中身を確認したくなるかもしれませんが、ご自身で開封せずに裁判所で初めて開封する流れを守っていただければと思います。

(2)公正証書遺言の場合

公正証書遺言の場合は、近くの公証役場で遺言書の有無と保管場所を教えてもらえるので、保管されている公証役場が分かればそこで遺言書を受け取ることができます。
また、公正証書遺言の場合、検認手続きは不要です。
遺言書が作成されているときは、基本的に遺言書通りの手続きを行います。
ただし、遺言書に遺産分割協議の禁止を書かれていなければ遺産分割協議をすることができます。
一般的な相続について

(3)遺言書がない場合

遺言書が存在しない場合、相続人間でどの財産を誰が相続するのかを話し合って決めてから財産を分ける必要があります。
これは、相続人全員が参加して、全員で同意をしなければ遺産分割協議は成立しません。
遺産分割協議を行っても話がまとまらない場合、自分以外の相続人を相手方にして家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行うことが必要になります。
そこで、遺産分割調停という話し合いをしていくことになります。
遺産分割調停とは、裁判所で遺産に関する分割の話し合いというものです。
2~3回話し合いを重ねていっても中々話がつかないとなってしまったら最後に遺産分割審判に移行され、裁判官が資料を基に結論を決めるという手続きになります。
これらの話し合いは、法的な知識が必要になるので、専門家に依頼することもお勧めします。

3.相続放棄・限定承認

相続発生時、「自分は相続しません。」という場合もあると思います。この時、相続放棄をする必要があります。
相続放棄ができる期間は、亡くなられたことを知ってから3か月以内にしないといけません。
相続放棄をする理由として「借金が多くて相続したくない」や「他の相続人と話し合いをしたくないから」「亡くなられた方と長年音信不通だったから」等が挙げられます。
また、3か月間では債務がどれくらいあるのかは調査しきれないということも十分あり得ます。
その時は、その3か月以内に、期間を延長させるために、家庭裁判所に財産の調査中ということで期間伸長の申し出をしなければなりませんので、ご注意ください。
中には、亡くなられた方の借金が多いか少ないかわからない時、「限定承認」という借金が少なければ借金を差し引いた金額を相続し、借金が多かった場合にはその借金はいらないという手続きをすることができます。
しかし、限定承認は相続人全員で行わなければいけないことに注意が必要です。
この手続きはかなり複雑で専門的ですので、専門家に相談された方がいいかも知れません。

4.各種相続手続き

遺産分割の方針が決まったら実際に相続手続きに移ります。
主に預貯金と不動産の相続に関する手続きについてご説明します。

(1)預貯金の相続

預貯金の相続を行う際は、口座の入出金停止措置(=凍結)を取った後に、必要書類を準備して金融機関に提出します。
その後払戻の手続きへと移ります。手続きに必要な書類は金融機関によっても異なりますので、お問い合わせが必要です。
一般的に必要な書類は以下のようになります。

遺言書通りに相続する場合

・被相続人の戸籍謄本・受遺者の印鑑証明書・実印・遺言書・検認済みの証明書

遺言書がない場合

遺産分割協議書がある場合
・被相続の戸籍謄本・すべての相続人の戸籍謄本・すべての相続人の印鑑証明書・手続者の実印・遺産分割協議書
遺産分割協議書がない場合
・被相続の戸籍謄本・すべての相続人の戸籍謄本・すべての相続人の印鑑証明書・手続者の実印

(2)不動産の相続

不動産を相続する際は、相続登記を申請が必要です。
必要書類は遺言の有無やその内容、あるいは遺産分割の内容によって若干の相違があります。

遺産分割協議の場合

・被相続人の戸籍謄本・住民票の除票・名義人になる相続人の住民票・印鑑証明書・固定資産課税明細書・申請書・遺産分割協議書

法定相続分の相続の場合

・被相続人の戸籍謄本・住民票の除票・名義人になる相続人の住民票・印鑑証明書・固定資産課税明細書・申請書

遺言書がある場合

・被相続人の戸籍謄本・住民票の除票・名義人になる相続人の住民票・印鑑証明書・固定資産課税明細書・遺言書・申請書

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5.おわりに

相続手続きは、多くの時間と労力を要するものです。
しかし、専門家の助けを借りることで、スムーズに進めることが可能です。
相続に関する不安や疑問をお持ちの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
相続手続きをサポートし、安心して次のステップに進むお手伝いをいたします。

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