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その他

相続した不動産が共有だった場合について【2023年民法改正】

2024.03.14

共有物について、お悩みを持たれている方―例えば、相続した不動産が全く面識のない人との共有だったなど、は多いかと思います。そのようなお悩みを解決できる方向で、民法が改正されました。

1.共有者が不明、所在がわからない、連絡が取れない場合について

土地の利用を円滑にすることを目的の一つとして民法の一部が改正されました。その一環として、土地や不動産が共有だった場合(以下「共有不動産」といいます。)ついても円滑な活用ができるように改正がなされています。
今までは、共有不動産は共有者の全員の同意や持分の過半数で決めなければいけなかったため、共有者が誰であり、どこにいるのかを調べる必要がありました。もっとも、時間が経ってしまうとそのような調査をすることが困難であり、共有不動産を売却するなどの利用することができませんでした。

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この点が次のように解消されています。

(1) まず、他の共有者が誰であるかわからないまたは行方不明(以下、「所在等不明共有者」といいます。)の場合であっても、共有物について形状が変わるような大きな変更―例えば、建物を増改築すること、を所在等不明共有者以外の共有者の同意を得て、裁判所に請求することができるようになりました(民法251条1項、2項)。この法改正によって、他の共有者が誰かわからずまた行方不明で連絡が取れない場合においても、裁判所に請求をすることで共有物に大きな変更を加える工事などが可能となりました。
(2) また、改正前は、連絡を取り合うことができる共有者全員の持分で、過半数を超えることができない場合においては、共有物の管理(賃貸借契約の設定など、土地の形状を変更しない行為)について決定することができませんでした。
しかし、共有者が誰かわからない、行方不明である、または共有者に共有物の管理について連絡を取っても、一定期間連絡を返してこない場合でも共有物の管理ができるようになりました。
このような場合、所在等不明共有者以外の共有者の方の過半数によって裁判所に請求を行うことで、それらの共有者様方の過半数によって共有物の管理を行うことができることとなりました(252条2項)。
(3) さらに、改正前は、所在等不明共有者の持分を取得するには、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、家庭裁判所の許可を得て、持分を購入するなどの手続きを行う必要があり、時間や手間がかかっていました。
この点、裁判所に所在等不明共有者の持分を他の共有者に取得させるという裁判をすることができるようになりました(民法262条の2第1項前段)。

2.共有物の管理者

さて、今までの話は、相続などで初めて不動産が共有だったときに有用な話でした。
もっとも、今回の改正では、そうなる前に対策をすることができるようにもなっています。
(1) 共有不動産の管理について、予め権限を有する者を決定しておくことができる条文が新設されました(252条の2第1項)。共有物の管理者を予め決定しておくことにより、共有物の管理については管理者が他の共有者の過半数の同意を得ることなく行うことができることとなります。
(2) 共有物の管理者に、どのような管理もさせることができるとすることが不安な場合、管理行為の権限について制限を加えることができます(252条の2第3項)。
しかし、気をつけておかなければならないのは、管理者のできることに制限があることを知らなかった人に対しては、管理者が一般に法律で認められている管理行為を行った場合(賃貸借契約を結ぶ権限は与えていないのに、賃貸借契約を結んでしまった場合など)には、その制限があったことを、主張することはできないことです(252条の2第4項)。つまり、管理者が勝手にその共有不動産を貸した人に対して、賃貸借契約を無効だとは言えないのです。
そういった意味では、きちんと信頼できる人を管理者にする必要があります。

3.まとめ

以上のように、共有物についても、より円滑な利用が可能となるような改正がされております。裁判所への請求が必要となる場合もありますが、共有者多数の共有物や、持ち分を多く持つ共有者が所在不明の場合など、様々な場面で活用が期待できるかもしれません。

 

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