今回は、前回に引き続き、遺産分割のご依頼の基本的な進め方について簡潔にまとめさせていただきます。
前回の記事はこちらから:当事務所の遺産分割のご依頼の流れ ~基本~
1.預貯金・有価証券からの不正出金・生命保険の不正解約等があった場合
当事務所でも他の相続人による預貯金の使い込み等で、ご相談に来られることがとても多いです。
預貯金・有価証券からの不正出金・生命保険の不正解約等があった場合は以下の3つの照会を行います。
(1)各種財産の取引履歴や解約記録の照会
(2)解約時書類の照会
(3)生前の状況を示す資料の照会
①診療録(カルテ)、看護記録等の医療機関の記録
→医療機関で照会します。
②施設記録、訪問記録
→施設で照会します。
③介護認定の調査時の資料
→自治体、ケアマネの所属組織等で照会します。
2.手続き
(1)遺言書の効力自体を争う場合
遺言無効(有効)確認訴訟を行います。
(2)遺産分割が必要な場合
①遺産分割協議(裁判外の話合い、家裁)-終わり方:遺産分割協議書
②遺産分割調停(裁判所での話合い、家裁)-終わり方:遺産分割調停(調書)
③遺産分割審判(裁判官が決める手続、家裁)-終わり方:遺産分割審判
(3)遺言書がある場合(又は生前贈与)で、遺留分が侵害されている場合
①遺留分侵害額請求協議(裁判外の話合い、家裁)-終わり方:合意書等
②遺留分侵害額請求調停(裁判所での話合い、家裁)-終わり方:遺留分侵害額請求調停(調書)
③遺留分侵害額請求訴訟(裁判官が決める手続、地裁)-終わり方:判決
⑷不正出金を争う場合
①不当利得返還請求協議-ほとんどの場合、(1)(2)の①②の中で話をすることになります。
②不当利得返還請求訴訟
3.分割の種類
(1)現物分割(例:200万円の現金を100万円ずつで分ける)
※不動産など分割が困難な場合には向きません。
(2)代償分割(例:相続人Aが2000万円の評価の不動産を取得し、相続人Bに対して1000万円を支払う)
※資力が重要です。
(3)換価分割(例:2000万円の評価の不動産を売却して、相続人AとBとで1000万円ずつ分ける)
※売れない、売りにくい不動産には向かないです。
(4)共有分割(例:不動産を2分の1ずつの共有持分で、相続人AとBとで共有する)
※潜在的紛争の積み残しになるため、推奨されないです。
4.まとめ
今回は、遺産分割のご依頼の進め方について、概要をまとめました。
今回の内容だけではご依頼者それぞれの状況の理解を深めることは難しいかもしれませんが、今回の内容を軸に、更に個別のトピックについても考えながら、ご依頼を進めております。
ご依頼の全体像を俯瞰しながら検討し、体系的な理解を進めていき、ご依頼者様に寄り添った解決に努めています。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
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