成年後見人には誰が、どの様に選任されるのでしょうか?
今回は、成年後見人となる可能性のある方、選任される際のポイントについてご説明します。
成年後見人には誰がなる?
成年後見人には、どの様な人物がなるのでしょうか?基本的には、親族、専門家(弁護士、司法書士等)などが選任されるケースが多いです。その他には、社会福祉協議会が成年後見人に選任されるケースも増加しています。
社会福祉協議会が成年後見人に選任される件数が増加している背景としては、身寄りのない高齢者が増加し、成年後見人となる親族が不在であるしているといった事情があります。また、被後見人本人の資産が乏しく成年後見人への報酬が支払えないため専門家も成年後見人に就任しないといったケースが増えていることも一つの要因であると考えられます。
成年後見人はどの様に選任される?
成年後見人選任の流れ
成年後見人に選任されるには、後見開始等申立時に成年後見人候補者として記載したうえで、家庭裁判所から選任されることが必要となります。なお、後見開始等申立時に後見人候補者の記載が無い場合は、家庭裁判所に備え付けられている後見人候補者名簿から家庭裁判所が成年後見人を選任することになります。
成年後見人選任の基準
成年後見人候補者の記載がある場合は必ず候補者が選任されるのでしょうか?答えは「いいえ」です。民法では成年後見人選任に関し次の通り定められています。
成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
以上の通り、民法では「①成年後見人候補者の職業及び経歴」、「②成年後見人候補者と成年被後見人との利害関係」、「③成年被後見人の意見」の3つが重要であると示されています。
なお、実際の家庭裁判所の運用としては、「成年被後見人との利害関係」、「成年被後見人の推定相続人が成年後見人候補者の就任に同意しているか」の2点が重要視されています。その他には、成年後見人候補者の居住地と成年被後見人の居住地の距離が適正な後見業務を遂行できる距離であるか、成年被後見人が意思表示を示せる場合には成年被後見人の意向も家庭裁判所が成年後見人候補者を選任する際の1つの判断材料となります。
まとめ
成年後見人候補者となる方、選任方法についてご理解いただけたでしょうか?成年後見人になれる方は親族だけではありませんし、後見人になりたいと思っても必ずなれるわけではありません。成年後見人が選任されると、基本的には成年後見人の変更は認められませんので、事前に専門家へ相談して準備を徹底するようにしましょう。