前編では、故人が亡くなられたのち、まず始めに行うべき手続きである「死亡届の提出」~相続の手続きを行う上で大切な「相続財産の確定」までの流れをご紹介させていただきました。
今回は、前編の記事の続きとなる「単純承認・限定承認・相続放棄」から紹介させていただきます。
前編はこちら:故人が亡くなられてから4カ月以内に行うべき相続手続きの流れ(前編)
1. 単純承認・限定承認・相続放棄
⑴単純承認とは
単純承認とは、相続人が相続をする意思表示のことを意味します。民法第915条第1項では、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と定められており、期間内に限定承認あるいは相続放棄をしなかった場合、単純承認をしたものとみなされてしまいます。
借金や未払い金などのマイナスの財産が相続財産に含まれていた場合、単純承認してしまうと、それらを自身が背負うこととなりますので、ご注意下さい。
⑵限定承認とは
限定承認とは、「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすること」と民法第922条にて定められております。「遺産の相続をしたいが、被相続人の借金や未払い金がのちにでてくるのは不安」と悩まれている方は、限定承認の検討も視野に入れてもよいかもしれません。ただし、限定承認を行う際は、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成し、家庭裁判所に提出。限定承認をする旨を申述しなければなりませんので、期限にはご注意ください。
⑶相続放棄とは
相続放棄とは、その名の通り、相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に否定する意思表示のことを意味します。相続を放棄したい場合は、自身のために相続が開始されたことを知って三か月以内に、相続放棄する旨を家庭裁判所へ申述しなければなりません。
家庭裁判所へ申述後、相続放棄が正式に認められるまでの流れは以下の通りです。
②家庭裁判所より「照会書」という書類が届き、そちらの書類に記述されている質問へ回答→返送
③回答が承認されると「相続放棄申述受理通知書」が届く
④相続放棄手続き完了
「相続放棄申述受理通知書」が届きましたら、相続放棄が正式に認められたことを意味します。
2. 準確定申告
準確定申告とは、被相続人の代わりに相続人が行う確定申告のことを意味します。
被相続人が亡くなった年の1月1日~死亡日までに確定した所得金額及び税額を計算。
相続の開始があったことを知った翌日から4カ月以内に申告・納税しなくてはなりませんので、申告・納税の期限には気を付けましょう。
前編を含め以上が、故人が亡くなられてから4カ月以内に行うべき相続手続きの流れとなります。
これらの手続きを完了したのちにも、まだまだ相続の手続きはございます。相続手続きに不安を抱えていらっしゃる場合は、専門家へ相談することをお勧めします。