遺産分割調停の主宰は、裁判官1名、最高裁判所が任命した家事調停委員(2名以上)で構成される調停委員会になります。
遺産分割調停とは、調停の日に当事者を呼び出し、遺産分割が合意するように相続人の意見を調整する手続きです。この場合、原則、相続人1人ずつ交互に調停室に入室し、調停委員が相続人から事情を聞きます。調停は、誰の意見が正しいかを決めるものではありません。
調停は、双方の意見を聞いて妥当な解決策を見つけるための場です。ですので、調停委員が誰かの肩をもつということはありません。
遺産分割調停を申し立てる際には、申立の趣旨、理由を記載した申立書を裁判所に提出します。この申立書は裁判所に置いてありますし、裁判所のホームページでも公開されています。ご自身で申立てをされる際は是非、ご利用されてください。
裁判所に提出した申立書の写しは、原則、相手方にも送付されてしまいます。そのため、相手を刺激するような内容を申立書に書いてしまうと、相手を怒らせてしまい、調停の進行の妨げになることもあります。不要な内容は申立書に書かず、調停の場にて口頭で告げる程度に留めておくほうが賢明です。
また、手間がかかるのが、申立てに必要な資料の収集です。申立てに必要な書類とは戸籍、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書等で、これらを収集する必要があります。
戸籍は被相続人の出生から死亡までの間のものを全て揃えなければなりません。この戸籍は被相続人の本籍地の市区町村役場で取得が可能です。
しかし、被相続人が結婚、離婚等で本籍地を何度か変更している場合は、変更前の市区町村役場にも戸籍の発行を請求しなければなりません。市区町村役場の窓口で取得が可能ですが、遠方の場合は、郵送でも取り寄せすることができますので、郵送請求を利用してみてください。
不動産の登記簿は不動産所在地を管轄する法務局で取得できます。正確な地番、家屋番号が分かっているのであれば、日本全国どこの法務局でも取得することができます。(住所と地番、家屋番号が必ずしも一緒という訳ではないのでご注意してください。)
また、正確な地番、家屋番号を調べたいときは、不動産所在地を管轄する法務局に問い合わせれば教えてもらえます。また、登記済権利証や固定資産税の納税通知書の課税明細書等で確認することもできます。
法務局に行くのが難しいという方は、郵送やインターネットでも取り寄せることができますし、固定資産評価証明書は、不動産所在地の市区町村で取得できます。
これらの資料は、裁判所に申立てる際に必要となりますので、申立て前に準備をしておけば、スムーズに手続きが開始できるでしょう。