相続人の優先順位についてご説明いたします。民法で定められた相続人のことは「法定相続人」と呼ばれ、法定相続人になることができる人は、さらに「配偶者相続人」と「血族相続人」に分けられます。
配偶者相続人とは言葉通り被相続人の配偶者を指し、どんな場合でも相続人になる権利を持っています。
しかし、あくまでも法律上の婚姻関係にある配偶者に限られるため、相続開始前の段階で離婚をした場合には相続権を得られません。一方、血族相続人とは被相続人の子ども(実子・養子は問わない)、孫、ひ孫といった「直系卑属」や、父母もしくは祖父母の「直系尊属」及び兄弟姉妹を指します。なお、血族相続人の相続の優先順位は以下のようになっています。
〈第2位順位〉被相続人の「直系尊属」…①父母→②祖父母→③曾祖父母
〈第3位順位〉被相続人の「兄弟姉妹」…①兄弟姉妹→②甥・姪
次に、相続分の割合についてですが、受け継ぐことができる相続の割合についても民法で定められており、これを「法定相続分」と言います。法定相続分がどのように分けられるのか、代表的な3パターンを紹介いたします。
①配偶者と子供が相続人になる場合
それぞれの相続分は2分の1ずつになり、子どもが数名いる場合は相続分の2分の1を均等に分割します。なお、従前は、子どもの中に、婚姻している父母から生まれた子どもである「嫡出子」と婚姻していない父母から生まれた「非嫡出子」がいる場合、非嫡出子への相続分は嫡出子の2分の1とされていました。しかし、平成25年9月に最高裁がその内容を定めた民法の条文について憲法14条(法の下の平等)に違反するとして違憲の判断をしたことにより、平成25年12月に民法が改正され、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同じ(平等)になりました。
②配偶者と父母もしくは祖父母が相続人になる場合
配偶者が3分の2、直系尊属である父母もしくは祖父母が3分の1となります。直系尊属が数名いる場合は、相続分の3分の1を均等に分割します。
③配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合
配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。兄弟姉妹が数名いる場合は、相続分の4分の1を均等に分割します。ただし、兄弟姉妹の中に半血兄弟(父母どちらか一方のみを同じくする兄弟)がいる場合は、半血兄弟の相続分は全血兄弟の2分の1となります。