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相続一般

預貯金の仮払制度ってなんでしょうか?

2020.11.17

預貯金の仮払制度ってなんでしょうか?前回は、預貯金の仮払制度が創設された背景をご説明しました。
前回の記事はこちら:預貯金仮払制度はこうして創設された
今回は、具体的な内容についてお話をしていきます。

今回の民法改正で新しく創設された預貯金の仮払制度とは、「相続人間での遺産分割協議がまとまる前でも、一定額の範囲であれば家庭裁判所の関与なしに相続人単独で預貯金の引き出しができる」という制度で、この場合の一定額というのは、計算式で定められています。

計算式は以下のとおりで、各相続人が引き出せる金額はこの計算式で算出されます。

相続開始時の預貯金金額×3分の1×その共同相続人の法定相続分

例えば、相続人が被相続人の配偶者と子2人だったとします。
被相続人が残した預貯金が3000万円だった場合、上記の計算式に当てはめると、3000万円×3分の1=1000万円で、この数字に配偶者と子供の法定相続分をそれぞれかけることになります。
そうすると、配偶者が引き出せる金額は1000万×2分の1=500万円、子どもたちが引き出せる金額は、1000万円×4分の1=250万円という計算になるので、合計でこの金額までであれば、遺産分割が完了する前でも払出ができるようになりました。

このとおり、前述の例ですと、配偶者は500万円、子どもたちは250万円まで引き出せるという計算になるのですが、ここで注意が必要なのは、「金融機関ごとに引き出せる額は150万円が上限」ということです。
先ほどのケースですと、配偶者は500万円、子どもたちはそれぞれ250万円ずつ単独で引き出しが可能にはなるのですが、1つの金融機関からは最大150万円しか引き出しができないため、仮に被相続人が1つの金融機関の口座しかもっていなかった場合は、配偶者、子どもたちそれぞれ150万円までしか引き出しはできませんので、気を付けてください。

次回は、仮払制度を使う上での注意点について、より詳しくご説明します。
次回の記事はこちら:預貯金の仮払制度を使うと、相続放棄ができなくなるかも?

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