今回は相続財産の中でも「農地」と「生命保険」がどのように扱われるのか、ご紹介いたします。
はじめに、農地の相続財産としての扱われ方についてです。
農地は相続財産として遺産分割・相続税課税の対象です。
ただし、農地の種類によって評価方法が大きく異なるため、評価の際は注意が必要です。
また農地を特定遺贈により取得する場合には許可が必要です。
農地については、優良農地の確保のために農地の所有権移転や転用が許可制とされているという特殊性があります。
農業上の支障なく開発要請を満たすために、立地条件等により農地を区分し、その区分ごとに許可方針の強弱が設けられているために、農地の価額については、その転用可能性に応じた独特の財産評価が必要となります。
遺産分割による農地の取得の場合には所有権移転制限は及ばないので、遺産分割の際に許可条件を気にする必要はありません。
ただし、特定遺贈による農地取得の場合には、通常に農地を売買や贈与する場合と同様に、農業委員会あるいは都道府県知事の許可が必要となりますので、その許可が得られなければ受贈者が農地を承継することはできません。
次に生命保険金の扱われ方ついてご紹介いたします。
生命保険金は、保険契約に従い受取人が定まっていますので、遺産分割協議は不要です。尚、相続税課税の対象になります。
生命保険金は保険契約によって受取人が受け取るものであるため、受取人の固有財産となります。
したがって、生命保険金は遺産分割の対象とはならないことが通常であり、この場合には保険契約で定められた受取人が生命保険金を受け取ることができます。
なお、受取人が指定されていない場合や受取人が相続発生前に死亡していた場合などに関する保険契約の内容が民法の法定相続人や法定相続分の定めと一致するとは限らず、例えば、配偶者と子がいる場合でも、配偶者のみが受取人となるようなこともあります。また、相続放棄をした者でも死亡保険金を受け取ることはできます。
生命保険金は、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります。生命保険金の全額が課税対象となるものではなく、500万×法定相続人の数の金額については、非課税となります。また、生命保険の契約者・被保険者・保険金受取人が誰かによって、相続税ではなく所得税や贈与税の課税対象となることもあります。
今回は相続財産の中でも、「農地」と「生命保険」についてご紹介いたしました。財産によって引き継ぎ方が異なりますので、ご不明な点等があったら専門家にご相談ください。