相続税申告は、他の税金と比べて専門知識が必要で、申告不備が多いとされる税金です。
そのため、相続税の税務調査は申告者の20~30%が受けていると言われています。
国税庁は、システムを使用して納税者の情報管理を一元化しており、その中で相続税の金額が正しいか、申告漏れが無いかどうかなどをチェックしています。
その中で、過少申告の可能性がある場合に税務調査が入るのです。
一方で、税金を過払いしていた場合は国税庁から連絡が入ることは無いので、自分で還付申告をする必要があります。
また、一般的に税務調査の対象として選出されやすいのは、遺産総額が2億円以上の場合と言われています。
さらに、無申告者に対しても税務調査を行い、申告漏れと判断された場合は厳しく取り締まりがあります。
近年では、海外資産の所有者の増加に伴い海外資産保有者も調査の対象となりがちです。
こういった税務調査と対象となり調査を受けた8割が、申告漏れなどで追徴税が発生していると言われています。
ある程度申告漏れの確認を以て行われていると言えるでしょう。
一般的に、税務調査は相続税申告後1~2年後に入ることが多く、事前に調査の旨を納税者(相続人)に通知した上で実施される場合がほとんどです。(悪質な脱税行為が明らかな場合は抜き打ちの可能性あり)
また、相続税の時効期間は申告期限から5年間であるため、この期間が過ぎれば税務調査が入る可能性は無くなり、一通りの相続手続きが完了します。ただし、申告納税の義務のあることを認識しながら正しく納税をしなかったなど、偽りその他の行為により納税を免れたと判断された場合は、申告期限から7年間は徴税が可能となる場合があります。
~税務調査の流れ~
税務調査は、以下のスケジュールで実施されます。通常、1日で終わることがほとんどですが、まれに2日間かかるケースもあります。
場所:原則相続人の生前の住まい
立会人:相続人全員(可能な限り)
―調査官・質問係訪問、ヒアリング実施
この時、被相続人についてだけでなく相続人のプロフィールについて詳細に質問される。
◇13時頃~
―確認調査
通帳や印鑑などの現物を見ながらの確認作業や、遺産分割協議書の内容通りに財産が分割されているかの確認や具体的事象についての質疑応答・指摘など
◇17時頃
―終了
また、税務調査実施が決まったら、事前に行っておいた方が良いことがあります。
それは以下の4つです。
本来被相続人と生前に確認しておくことで申告ミスが防げますが、税務調査実施が決まったら再度見直しを行い適切に財産について把握しておくこと。
②申告内容の再確認
仮に多額の申告ミスが調査前に見つかれば、調査前に修正申告を行うことで加算税が少額で済むこともあるので確認しておくこと。
③遺産分割の記録
税務調査の際、調査官から遺産分割の内容についても確認されるため、詳細に記録しておくこと。遺産分割協議書がある場合はそちらでも可。
④生前贈与について
税務調査では、生前贈与の贈与税が正しく納付されているかどうかも確認されるので記録しておくこと。