前回説明した通り、相続人の中に「生きているだろうけど、どこにいるのか分からない状態」の人がいた場合、相続人が全員揃わないので遺産分割協議が進めることが出来ません。
前回の記事はこちらから→https://nexillpartners.jp/law/sozoku/blog/general-inheritance/3458/
そういったときには、不在者財産管理人という制度を活用することができます。
本来「不在者財産管理人」とは、不在者が戻ってくるまでの間、暫定的に財産を管理する人ですが、遺産分割を行うために不在者財産管理人を選任することも可能となります。
不在者財産管理人に選任された者は、不在者の代わりとなって不在者の権利や財産を保護する役目を担うことになりますので、遺産分割協議に参加する形となります。
不在者財産管理人に一度選任されたら、最後まで職務を全うする必要があります。
具体的には、受け取った財産のみならず、もともと不在者が保有していた財産を調査し、定期的に家庭裁判所へ報告を行います。
なお、不在者財産管理人の職務は以下の状態になると終了となりますが、該当しない場合は半永久的に続けなければなりません。
②失踪宣告がなされたとき
③死亡したことが確認されたとき
④管理していた財産がなくなったとき
なお、本来は不在者の権利や財産を保護することが目的のため、財産維持をするために必要な行為をする権限は持ち合わせていますが、遺産分割協議に参加することは、不在者財産管理人が持っている権限を越えることになりますので、家庭裁判所に許可をもらう必要があります。
では、不在者財産管理人を選任するためにはどうしたらいいのでしょうか?
不在者が元々住んでいた住所地又は居所地にある家庭裁判所に、利害関係人(配偶者や他相続人など)が申立をすることになります。
申立書を作成し、添付書類とともに前述した管轄の家庭裁判所へ申立を行います。
その後は、1~2か月間の時間をかけて審理を行い、最終的には裁判官が選任の可否を判断します。
これまで述べてきた通り、家庭裁判所に申し立てを行い、国から認められたら不在者の財産を管理することができます。
かなりの長期間に及んでの職務になる可能性もありますし、専門知識が必要な業務になりますので、もし身近に依頼できるような人がいない場合には、弁護士事務所に相談に行くなどしましょう。