家族の誰かが亡くなった際には、相続手続が必ず発生します。
生前、遺言書を遺してくれている場合は、誰に財産を受け取って欲しいのかが記載されていますので、その相続人が財産を受け取る形になりますが、現代の日本では遺言書の作成をしていない人もたくさんいます。
そのときには、相続人全員が集まって遺産の分け方について話し合いをする「遺産分割協議」というものが必要になってきます。
しかしながら、いざ遺産分割協議をしようと思い、相続人全員に連絡を取ったところ、1名だけ連絡もつかない、どこに住んでいるのかさえも分からない、という状況になるかもしれません。
そういった場合が発生しても、その人だけを除いて遺産分割協議をしてしまうと、その話し合いは無効となってしまいますので、必ず相続人全員で協議をしないといけません。
どう進めていけばいいのかをお話する前に、まず、「不在者」という言葉について考えましょう。「不在者」とは、民法によって、「家出やさまざまな事情によりもともと住んでいた住所や居所を去った人」と定義されています。
ここで定義されている不在者とは、「生死ははっきりしているのにどこにいるのかもわからない状態」と「生きているのか亡くなっているのかもはっきりしていない状態」のどちらのことも指しています。
生死もはっきりしていないときには、その人を死亡したものとみなす「失踪宣告」という制度を活用することになりますが、前者の「生死ははっきりしているのにどこにいるのかもわからない状態」になった際には「不在者財産管理人」という制度を利用し、第三者の方が不在者の代わりとなって手続きをしていくことになります。
次回は、この「不在者財産管理人」についてご説明します。