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遺産相続コラム

身内に失踪者や行方不明者がいる場合は相続はできないの?

2020.08.23

日本の令和元年における行方不明者数(警察に行方不明届が出された数)は、86,933人にものぼります(警察庁webサイトより)。

では、行方不明者が身内にいる家族や親族は、死亡が確認できない場合、行方不明者の財産をいつまでも放置しなければならないのでしょうか?
行方不明者がいる場合に相続手続きがどうなるのか、考えてみましょう。

相続とは、ある人が死亡したときに、死亡した人の財産を配偶者や子などの親族が引き継ぐことをいいます。

つまり、被相続人の死亡により、被相続人の財産を次の世代である相続人たちに引き継ぐことを相続と言います。

相続の開始原因である死亡には、自然死亡(老衰や病気、事故などが原因で亡くなること)だけでなく失踪宣告や認定死亡によって法的に死亡したとみなされる場合も含みますので、必ずしも死亡者数と相続発生件数は一致しません。

失踪宣告とは、不在者の生死不明の状態が一定期間継続した場合に、家庭裁判所の審判によってその者を死亡したものとみなす制度のことです。

失踪には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。

普通失踪とは、不在者の生死が7年間明らかでないときに、家庭裁判所は、利害関係人(一定の事実または他人のある行為などによって自分の権利または利益に影響を受ける人)の請求により、失踪の宣告をすることができます。この場合、失踪期間の満了時(最後の音信から7年後)に死亡したものとみなされ、その時点で相続が開始します。

特別失踪(危難失踪)とは、戦争・船舶の沈没・震災等の危難に遭遇して生死不明となり、危難が去った後1年間生死が明らかでないときに、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます。この場合、危難が去った時に死亡したものとみなされ、相続が開始します。

認定死亡とは、災害等の事変によって死亡が確実であり、死体が発見されていない場合に法律的に亡くなったものとして扱う制度です。
通常、死亡届は、届出義務者が医師の死亡診断書または死体検案書を添付の上、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村に提出します。

しかし、もし死体を発見できない場合、これらの資料を添付することができません。
そのため、災害等の事変によって死亡が確実である場合には、死体が発見されていない場合であっても、取り調べをした官公署が死亡地の市区町村に死亡報告をすることによって、戸籍に死亡の記載がなされる扱いがとられます。この場合、戸籍に記載された日時に死亡したものと推定され、相続が開始します。

このように、身内に失踪者や行方不明者がいる場合も条件等により相続が可能なケースがあります。
また単に行方不明の場合、タイミングやニーズによっては、失踪宣告ではなく不在者財産管理人の選任申立てが有用なケースもありますので、専門家にご相談ください。

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